3月5日の朝日新聞の「患者を生きる」のコーナーには、「ALSを乗り越える」のシリーズ4回目で、ALS患者の逗子市の畠中一郎さん(63歳)の記事が掲載されていました。

 

 逗子市から東京のオフィスまで、週に数回、電動車いすに乗って行き来する畠中さんは、危険な目に合うこともあり硬い表情になりますが、車いすユーザーに対しては笑顔を忘れません。笑顔は「世の中を明るくすることに貢献することになる」と話します。現在、進行を抑える薬の服用や歩行機能を維持するためのリハビリを続けています。

 

 診断時には「余命3~4年」と宣告され、2年半が経過しました。症状の進行はゆっくりですが、手足のしびれや麻痺が出てきています。いずれ、人工呼吸器をつけるか否かの決断を迫られることも覚悟しているそうです。それでも、畠中さんは生き続けたいという希望があり、周囲にも伝えています。

 

 妻の慈子さん(63歳)は「診断当初から、どんな形でも生き抜くという彼の意思が明確だった。その気持ちはすべてに優先する。」とどんな状態になっても周囲の力を借りながらサポートする準備をしています。畠中さんは、「寿命に対する宿命は受けているが、残された時間をあきらめるつもりはない。私はそこに生きる意味や価値を見出している」と語っています。

 

 昨夏、ALS当事者の武藤将胤さんの映画「No limit Your life」を拝見させていただきました。ALSの抱える困難は私の想像以上だと思いますが、それでも、春香と同じような「覚悟」が言葉に現れていて、魂を揺さぶられました。

 

生きる尊さを嚙みしめました。