2月27日の中日新聞社会面に「行き先照らしたSNS 今度は私が明りに」という見出しで、大津市の大学3年生がSNSで若者や子どもを支援する活動を紹介していました。

 

 女性は3人きょうだいの長女で父親は大学教授でした。周りから見れば「恵まれている」家庭環境ですが、内実は違っていました。酔った際の父親からの暴力、母親からの愚痴。きょうだいも不登校になりました。唯一本音を出せたのがSNSで、大学進学後、福祉を学び「助ける側になりたい」とNPOの支援活動に参加するようになりました。SNSの投稿で「死にたい」「家出」などに目を光らせ、メッセージを送って1対1のやり取りを始め支援につなげます。失敗も多いですが、相手に変化があると「無駄じゃなかった」と感じることもあるそうです。

 

 春香も精神症状を伴う発作と思い通りにいかない苦しさから、何度も自傷行為に走り、「死にたい」と口にしました。私たちはただただ春香の気持ちを受け止めることしかできませんでした。

 

 女性は「苦しさを消す特効薬にはならないかも知れないが、ホタルのように暗闇の中の小さな明りになれたら」と精力的に活動を発展させています。その心意気に胸が熱くなります。

 

 そもそも、「苦しさを消す特効薬」はないような気がします。苦しさを消すためには、この女性のような痛みの分かる人の優しさが苦しみを包み込んだ時かもしれません。