1月28日の毎日新聞1面記事は、「難病取り巻く日常描く」という見出しで、パーキンソン病をテーマとした映画「いまダンスをするのは誰だ?」の制作までの道のりが掲載されていました。

 

 『春の香り』の映画化や昨日の地元での映画上映会と「映画」が急激に身近な存在になってきましたので、興味深く読ませていただきました。

 

 パーキンソン病のことを映画にして欲しいと古新舜監督に頼み込んだのは、自身がパーキンソン病になった松野幹孝さんでした。熱血サラリーマンとして働くもパーキンソン病にかかり世界は一転します。何よりつらかったのは周囲に病のことを理解してもらえなかったこと。若い頃から好きだった映画にしてもらおうと社会派映画監督として売り出し中であった古新監督を訪ねました。

 

 初めは断っていた古新監督でしたが、患者会などに連れ出され、患者たちの苦悩を知るうちに心境に変化が現れ「やりましょう」と映画化を決意しました。

 

 しかし、松野さんは、完成前に脳出血で亡くなってしまいました。

 

 古新監督が主役に抜擢したのは、パーキンソン病患者でもあるシンガーソングライターの樋口了一さんでした。樋口さんもはじめ病であることを公表しませんでしたが「人前に出る仕事でその病気になったんだから必ず意味があるはず。それを含めて表現するのが役割じゃないか」と諭され、公表に踏み切りました。映画の中に出てくる「諦めることを諦めよう」は、樋口さんが涙を流して決意した樋口さん自身の言葉だそうです。

 

 23年8月に試写会が開かれましたが、そこには亡くなった松野さんの息子さんも招待されました。劇中の「私たちは I amパーキンソン病ではなく、I haveパーキンソン病。特徴の1つなんだよ。」というセリフに父親を重ねました。病になってしまったけど、病によって活動的になったし、良き仲間に恵まれ、映画化も実現したと感謝しています。

 

 主人公をと務めた樋口さんの「うまくいかなかったとしても、それに向き合って何とか乗り越えようと頑張った人すべての人にとって、100%ハッピーエンディングになるんだと思う。」という言葉がとても印象に残りました。

 

 活字だけでも、3人の熱い思いが伝わってきました。これを映像にする過程で、さらに多くの思いが込められていくのが「映画」だと感じました。春香の伝えたかった思いが込められる映画がものすごく楽しみになってきました。