1月16日の朝日新聞「耕論」には、「ナンバーワンじゃなくても」と題して3つのコラムが掲載されていました。中でもプロ登山家の竹内洋岳さんの言葉にハッと気づかされるものがありました。

 

 山はもともと地球上の出っ張りにすぎませんが、人間と結びつくことで個性を持ちます。中でも標高が1位のエベレストは、「世界最高峰」ゆえに登頂を競い、数々のドラマや名言も生まれました。2番目に標高の高いK2は、1番難易度の高い山とみなされ、「非情の山」として野望を抱いた登山家が挑んでいきました。

 

 筆者は、1996年に両方の山の登頂に成功したのですが、「私の人生は何も変わりませんでした。」と述べます。山の標高や難易度は、周りの人が勝手に決めた序列に過ぎないと気付いたからです。それからは、「自分にとって一番の山はどこか」を探しながら登り続けているそうです。

 

 春香が自作の紙芝居の最後に書いた「ありのままでいいんだよ」という言葉がふと脳裏に浮かびました。人と比較する必要はないんだよ。自分にとっての「いちばんの山」を探して、自分のペースで登っていけばいいだよ。プロの登山家の言葉が、春香の声にこだまして、心に刺さりました。