昨年12月22日の毎日新聞「金言」に、英国の新しい郵便制度についてのコラムが掲載されていました。近代郵便制度は1840年にどこに暮らしていても同一料金で手紙を出せるように改良されたものでした。

 

 今、相次いで設置されているポストは、墓や火葬場の近くにあります。料金は無料です。手紙は亡くなった人に届けられます。祖父母を亡くした10歳の少女が、「おじいちゃんとおばあちゃんに手紙を出したい」といったのが発端になり、母が葬儀屋に相談すると白いポストを設置することになりました。少女はクリスマスに、亡くなった祖父母に宛てて手紙を書きました。すると約100人もの人が次々と投函し、昨年1年間で全英約40か所のポストが新設されました。日本でも、陸前高田市に「漂流ポスト」、大槌町には「風の電話」ができました。

 

 新しい年になりました。春香の命日が近づく年末になると、身体がこわばる日も増えるため、喪中を機に年賀状じまいをさせていただきました。久しぶりに、春香にだけは年賀状を書きました。

 

 夕方からの地震で、心が落ち着かず、テレビの前で皆様の無事をただただ祈るばかりです。

 

※以下「春香への年賀状と同文」

 

『春香への年賀状』

 明けましておめでとう。春ちゃんと別れてから3回目の正月を迎えました。

 

 昨年、一番驚いたことは、春ちゃんから春ちゃんに手紙が届いたことです。本当は21歳の春ちゃんが自分で開けたかったと思いますが、ママが代わりに開封して、家族みんなで読ませてもらったよ。封筒の中には、小学6年生の頃のかわいいプリクラと、内緒の手紙が入っていました。女優になりたいなんて始めた聞いたし、そのために、涙を流す練習をしていたなんて、少し笑ってしまいました。でも、一番驚いたのは、この頃から「漫画家になりたい」という夢を持っていたことです。

 

 昨年6月に春ちゃんが最後に描いた『×くん』が、正式に出版されたんだよ。パパとママと京ちゃんは、すごく嬉しかったです。7月に絵本フェス三人で参加して、『×くん』を販売したんだけど、初めてお客さんに買ってもらった時は、三人とも涙を流して喜びました。春ちゃんの夢がかなった瞬間でした。

 

 そして、なんと、今年は春ちゃんの映画も制作されるんだよ。主役はもちろん、春ちゃんです。何百人というオーディションで決まったんだって。たくさんの人が春ちゃんの思いを伝えるために、力を合わせて頑張っています。完成まで楽しみに待っていてね。

 

 パパとママと京ちゃんは、時々、淋しくなったり悲しくなったりすることもあるけれど、三人で力を合わせて元気で暮らしています。三人の心の中には、いつも春ちゃんがいます。いつまでも「家族は1つ」だから、安心してね。また、手紙を書きます。                 

                    パパより  令和6年1月1日