先週の守山図書館でのミニライブで、寺山雅代さんとお会いしました。寺山さんは、舌がんのサバイバーです。がん患者の方は、時に大きな選択を迫られます。答えのない選択に対し、自分で選んだほうを正解にしていくたくましさが必要です。強くしなやかな生き方に、私は心打たれました。

 

 寺山さんは、小中高といじめに合いつらい経験をしましたが、高3の時に出会った音楽に救われました。就職後も、定期的行くライブを励みに仕事を頑張ってきました。その後、結婚、2人の出産、別居、離婚を経験し、2019年に舌がんになりました。初めは白板症ががん化している可能性を指摘され、舌の部分切除をしましたが、2020年に再発し、大部分を切除する手術を受けることになりました。「手術しなかったら余命半年だよ。」と言われた時、娘の卒業式や入学式への参列、話すことや食べることが不自由になること、葛藤はありましたが、生きる方を選びました。

 

 手術後、「話すことは諦めない」と決意していた寺山さんは、電話ボックスやコインランドリーで発生のリハビリを続けました。4年後にコンビニの店員に商品を注文したときに、英語で返されて落ち込んだこともありました。

 

 寺山さんは、これまでの人生で人に頼ってはいけないと思って生きてきましたが、舌を失って、人に頼ることの大切を実感しました。私たちもお世話になった元CBCアナウンサーの平野裕加里さんの話し方講座に参加し、仲間もできました。がん患者の仲間の輪も広がっています。

 

 今、寺山さんは、「せっかく声が出せるなら、自分の気持ちを伝えないともったいない」と、湧き出る思いを素直に表現して生きています。

 

 私は、寺山さんの手術前に生きる方を選択したことや夢をあきらめずに懸命にリハビリに励んだことなど、春香と重なる芯の強さを感じています。私自身が勇気をもらっています。寺山さんが、がんになって一番伝えた言葉は「ありがとう」だそうです。私も寺山さんに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたいと思います。