妊娠中、子どもを産むということは
大きな幸せであるとともに、
大きな責任も伴うものだと思っていました。

私は大変な出産をのりこえられるのだろうか。
私にちゃんとお母さんが務まるのだろうか。
どうやって子育てしていくのだろうか。
幸せと不安が入り混じっていたように思います。

それから、死産を経験して、
子どもを産むということについて
自分の中で結論が出たような気がします。

人はいつか死んでしまいます。
これはすべての人に等しくある事実です。

死ぬ時、人は何も持っていくことができません。
生きている間に、どんなにお金を稼いでも、
どんなに素晴らしいものを集めても…。
たった一つ持っていけるものがあったとしたら、
それはきっと思い出とか心の中にある
そういった類のものなのでしょう。

そして、持って行けず、地上に残していったものは
いつかなくなってしまうものばかりです。
でも、ここにもたった一つ、
残していけるものがあったとしたら、
それは子孫なのだと思います。

私たち夫婦がこの世界にいて、
確かに愛し合った証として、
子どもを残していけるのです。

それからその子どもがまた子どもを産んで、
そうやっていのちのバトンを繋いでいくのです。
それが確かに私がこの世界にいた証だと思うのです。

なんだか壮大で重苦しい話になってしまいますが、
簡単に言えば、私はだいすきで何より大切な夫と
確かにここにいたということを
残したいと気付いたのです。

私は、子どもを産むことで
そんな幸せをふたりで育みたいと思ったのです。

今回、その夢を叶えることはできませんでしたが、
次はきっと大丈夫だと信じて…。