私は初めて物語を考えてみました。もともと読書好きだったので、本に囲まれて毎日を過ごしていました。きっかけは日記を何日もつけ忘れていたスペースをどうやってうめるか考えた結果、物語を書こうと思ったことです。やってみたら意外と面白くて趣味になりました。まだ短いお話しか書けないけれど一日一物語を目標に書いています。興味を持った人はぜひ読んでみてください。
※あくまで趣味で書いているだけですのでたまに誤字や脱字、言葉の重複などのまちがいやおかしな文があったりもします。ご了承ください。
魔法のドリンク屋四つ葉①
登場人物:三条心(さんじょうこころ)、原真結実(はらまゆみ)、港由美(みなとゆみ)
心は新しい綺麗な建物を見て思う。
(今日からここで1年間お店をやるのね)
ドキドキしながら店内に入ってみると、テーブルや椅子もピカピカでとても綺麗。心は一回深呼吸をすると気合を入れる。あとは「四つ葉」と書かれた看板を出してお客さんを待つだけ。
いよいよ四つ葉、オープンです!
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真結実は会社からの帰り、ずっとため息をついていた。実は会社で明日、朝から大事な会議があるのだ。そこで真結実は大事な役を任されたのだ。真結実の意見で、会社が有利になるらしい。社会人2年目の真結実にとって、初めて大事な役をもらえて今までにな
いくらいとても嬉しいことなのだが、一つ問題があった。会議の準備でいつもよりも早く出勤しなくてはいけないのだ。朝早くに起きる事が苦手で、いつも始業時間ぎりぎりに来る真結実にとってこんなに大変なことはない。
(どうしよう、もし遅刻したらクビにされちゃうかも)
そんな不安が真結実の頭によぎった。あわてていきおいよく頭を左右にふる。でも、一度考えるとずっとその考えが頭から離れず、真結実の心はどんどん重くなっていった。ふと、前を向くと一つのお店が目についた。看板を見ると「四つ葉」と書いてある。
(四つ葉、、、。どんなお店だろう?)
気になってドアを開けるとカランコロンというかわいいベルの音が店内に響いた。
「いらっしゃいませ。こちらの席へどうぞ」
優しそうなお姉さんに言われて、一番真ん中にあるカウンター席に座った。カウンターの奥に棚があって、そこにたくさんの瓶が置いてある。たぶんバーだろう。
「私、明日に大事な会議があっていつもよりも早くに出勤しなきゃいけなくて。でも朝早くに起きるなんて無理、、、」
なぜか言葉が口からすらすらと出てきた。
「では、その悩みを解決できるドリンクを作りましょう」
お姉さんはそう言って手際よくドリンクを作り始めた。最初はそんな魔法のようなことはできないはずと思っていたものの、作っていくところを見ているうちにだんだん本当かもしれないと思った。
「おまたせしました、特別なぶどうを使って作ったワインです。このワインを飲めば、きっとよく眠れて朝、すっきりと起きることができるでしょう」
真結実は透明なグラスに入った濃い赤紫のワインを一目見た瞬間、飲みたい気持ちで心がいっぱいになった。グラスを手に取り、一口飲む。
(美味しい!こんなにぶどうの味が濃いワインなんて初めて!)
ワインはあっという間になくなった。すると、突然すごい眠気におそわれた。思わず目をつぶる。だんだん意識が遠のいていった。
・・・次の日の朝、真結実は目を覚ますと自分の家のベットに寝転がっていた。
「今、何時!?」
あわてて時計を見ると「6:00」と表示されていた。
(よかった、寝坊してない。それにしても昨日あのドリンク屋さんから家に帰った記憶がないな)
不思議なことにちゃんといつものパジャマに着替えられていて、スーツやカバンはフックにかけられていた。
(ま、そんなのことくらい気にしなくていっか)
考えてもしかたがないのでそう思うことにした。真結実は急いでスーツに着替え、髪の毛のセットやメイクをするとカバンを持って走って家を出た。走って行ったおかげか、いつもは会社まで二時間かかるのに今日は一時間三十分で行くことができた。そのあとも順調に行き、会議は無事に成功、しかも残業無しで家に帰ることができた。
(今日は本当に何もかもが順調だな)
そう思いながら家に帰り、玄関でちょうど靴を脱いだタイミングだった。ルルルッルルルッという明るい電話の着信音が鳴った。誰からか見ると、親友の由美からだった。
「どうしたの、由美。何かあった?」
「ごめん、真結実。明日のカフェ巡りは無理かも」
電話越しでも由美の残念そうな様子が伝わってくる。
「そんないきなり、、、どうしたの?」
「実はね、昨日の朝からひどい頭痛がするんだ。病院に行ってお医者さんにきいても原因は分からないって言われちゃって」
真結実はどう返事をすればいいのか分からなくなった。
(何か、由美の頭痛を治す方法はないのかな)
そう考えたその時、突然いいことを思いついた。
(あのドリンク屋さんなら由美の頭痛を治すドリンクを作ってくれるかもしれない)
「由美、いったん電話を切るね!」
そう言うと由美の返事を聞かずに電話を切り、いったん脱いだ靴をまた履いて家を出た。不思議な事に、あのドリンク屋さんへの道はしっかりと頭の中に入っていた。「四つ葉」と書いてある看板の店を見つけると勢いよくドアを開けた。カランコロンというベルの音が前よりも大きく店内に響く。
「あら、前のお客さんですね。どうしたのですか?とりあえず席に座ってください」
お姉さんに言われて前と同じ一番真ん中のカウンター席に座る。そして、由美のことを話した。
「確かに、由美さんの頭痛を治すことはできます。しかし、四つ葉では一人のお客さんにつき一つのドリンクしか提供できないことになっております」
「えっ、でも他にどんな方法があるんですか?」
「真結実さんのドリンクの力を由美さんに移す方法です。ただし、一回移すともう一回移すことはできません。それに真結実さんのドリンクの力は全てなくなります。それでもよいのならばできますが」
そう言われて一瞬どうしようか迷った。でも、由美の頭痛を治すことの方が大切だと真結実は思った。
「ドリンクの力がなくなっても大丈夫です」
「では、この黒い紙に右手の人差し指をおいてください」
右手の人差し指を黒い紙におくと優しい何かに触れているような、ピリピリとした何かに触れているような感じの不思議な感覚になった。
「もういいですよ」
そう言われて指を離すと、一つの袋に粉薬のような白い粉が入っていた。その袋をお姉さんから受け取る。
「あの、急にひどい頭痛が由美にした理由って何なのですか?」
真結実はおそるおそるそうきいた。
「たぶん、これは誰かの呪いによるものだと思います。ここに人を幸せにするドリンク屋があるように、逆に人を不幸にする店もあるのです」
お姉さんの説明を聞いて真結実は背中がぞっとした。
(そんなお店もあるのね。、、、そうだ、早く由美に治す方法を言わなくちゃ)
急いで「ありがとうございました」とお姉さんにお礼を言うと、あわてて店を出て由美に電話をかけた。
「由美、さっきはいきなり電話を切ってごめん。あのね、頭痛を治す方法が見つかったの!」
「本当!?」
「うん。だから、明日会いに行くね」
「今日来て!おいしいご飯を作っておくから。ね、いいでしょ?」
一瞬、本当にひどい頭痛がしているのかと疑ってしまうくらい明るい声が聞こえてきた。一度言い出すと諦めないのを真結実はよく知っている。なので「じゃあ今すぐ由美の家に行くね」とだけ伝えると電話を切り、家に帰る方向とは逆の駅の方に向かった。
(たぶん、30分くらいで着くかな)
由美のことを考えるとつい速歩きになる。急いで駅まで歩く真結実の背中を、月が優しく照らしていた。 終わり