「戦闘妖精・雪風」 | 裏話

「戦闘妖精・雪風」



神林 長平
戦闘妖精・雪風(改)



神林 長平
グッドラック―戦闘妖精・雪風











ここ数年で一番読んで感動した、SF作品です。


AIを持った戦闘機に乗って、何処とも知れない空間で、誰とも知れない(生物とも知れない)存在と戦い続ける男(たち)の物語体裁をとってます。


ここで描かれる戦闘機は、正に戦闘機械。必ず勝ち続け、帰還する事だけを最優先に思考します。


搭乗する人間は、他の仲間などよりも、機械を最優先に信用するという、偏った(自閉的な)パーソナリティなのですが、それでも矢張り、機械にはなり切れません。


機械の方は、常に「生存し続ける」ために、(ゲーム理論で言うところの)戦略的な選択をしていこうとします。


主人公は、そういう飛行機に対して、一種恋愛感情とか仲間意識みたいなもの、そして自己存在の拠り所を求める、甘えの感情を、抱いていってしまいます。


これはつまり、京極夏彦さんが「陰摩羅鬼の瑕」で蘊蓄してた所の、「異界との婚姻の悲劇」の路を辿る事になります。


あちらの理と、こちらの理が違う以上、まあ、恋が成就するのは難しいです。


哲学的な部分もスバラシイですが、この「悲恋物語」としての、切ない部分とか、登場人物の描き方もステキ。


そうそう、文章も実に独特で、「言葉使い師」な作者の力量を徹底的に味わうことができます。



絶対オススメ!! 女の人にも!!!