私は2008年の2月、長男を出産して2ヶ月経った頃にパニック発作が出た。
 
長男が産まれてからは、毎日2時間睡眠。
 
それに加えて、毎日のように姑が自宅に来た。(姑は家事や息子の世話を手伝ってくれていました)
 
私は「一人でゆっくりしたい」と感じるようになり、毎日毎日寝不足な状態で、フラフラしながら長男の世話に明け暮れた。
 
いつからだろう。
 
食事の味すら分からない。
 
何に焦り、何に急いでいたのかは分からないが、食事は大急ぎ。
 
長男は母乳で育てていたが、夜になると寝つかない。
 
夜は母乳の出が悪くなるため、ミルクにしようと考えた。
 
しかし、姑も夫もそれを拒んだ。
 
「せっかく母乳が出るのにもったいない」と言われたのだ。
 
私は直感的に「母乳が足りてないから寝つかない」と思っていた。
 
母乳育児を強く希望され、夜中は孤独と闘った。
 
長男は、夜の22時頃〜朝の8時まで全く寝ない日々。
 
私は立ちながら長男を縦抱きにし、フラフラしながら寝かし付ける毎日。
 
布団に置こうものなら、スイッチが入ったかのように大泣きしだす。
 
こんな生活が2ヶ月も続いたのだ。
 
姑は毎日のように手伝いに来てくれていたが、私はプレッシャーを感じ「もう一人で大丈夫です」と伝えた。
 
しかし姑は「まだまだ軌道に乗るまでは、手伝いが必要でしょ?」と。
 
この言葉は「あなたはだめな母親だ」と変換されたのだ。
 
姑が毎日のように自宅に来るのは、私が至らない母であるからだ。
 
ネガティブな思考が頭から離れない。
 
そして長男は、私を寝かせてはくれない日々。
 
朝の8時にやっと寝る長男。
 
そこから2時間私も仮眠し、10時には起きて家事をしていた。
 
姑が来る時間が12時頃だったので、それまでに家事を終わらせていれば「いい母親」と思われるとでも思ったのだろう。
 
姑が自宅に来なくなるには、私が頑張るしか方法はないと思っていた。
 
 
その日は突然やってきた。
 
 
土曜日で夫が休日。
 
夫はトラックの運転手をしていたため、いつも寝室は別だったがこの日は一緒。
 
夫がいてくれる安心感で、私は泥のように眠った。
 
この日の長男は、珍しくベビーベッドで寝てくれていた。
 
朝方に長男の泣き声で起きると夫から叱られた。
 
「泣き叫んでるのに、お前は起きてこなかった。いつもちゃんと起きてるの?放ったらかしにしてるんじゃない?」と。
 
悲しくなった。
 
「それだけ疲れているんだね」と、嘘でもいいから言って欲しかった。
 
朝方に起きて二度寝し、お昼頃夫の両親が我が家へ遊びに来た。
 
夫の両親は「たまには2人でのんびり買い物でも行ってきたら?」と提案してくれた。
 
だが私は、買い物よりも寝たかったのだ。
 
断るのは悪いと思い、お言葉に甘え近くのデパートへ。
 
夫が運転する車で向かい、私は途中銀行でお金を下ろすために下車。
 
お金を下ろした後、夫がいるデパートの階へ急ぐ。
 
エレベーターがなかなか来なかったので、階段を駆け足で。
 
「長男を産んでから運動らしき運動はしていないな。
エレベーターではなく階段を使うのもいい運動になるかも」と考えながらも、寝不足な体には堪え2階からエスカレーターを使う。
 
夫は4階にいるので、2階からエスカレーターで向かった。
 
ふと、エスカレーターに乗ってる体のバランスが取れないことに気付く。
 
しっかり捕まっていないと後ろに倒れてしまいそうなアンバランス感。
 
「エスカレーターも久々だし、体がビックリしてるんだろう」程度にしか思わなかった。
 
4階に着くと、地に足が付かないようなふらつき。
 
デパートの天井が大きく回っているかのような酷い目眩。
 
さらに、今まで経験したことのない大きな不安が私を襲った。
 
「、、、な、、なにこれ、、」
 
動悸も始まり息苦しい。
 
そんな状態で何とか夫を見つけたのち、体の異変を伝えてベンチに座る。
 
それでも体はしんどさが増す。
 
冬なのに手汗が止まらない。
 
何に怯えているのかは分からないが、大きな恐怖感が胸を締め付け頭を支配する。
 
吐き気と息苦しさと、焦点が合わない程の目眩。
 
「もうここにはいられない」と思った。
 
何とか5階の駐車場へ行き、外の新鮮な空気をめいっぱい吸う。
 
心なしか楽になった。
 
夕飯の買い物をして帰ることを夫に伝え、デパートを後にする。
 
外の空気を吸ったら気分が良くなったのも束の間、またあの状態に苛まれる。
 
「買い物に行ける状況ではない」と夫に伝え、自宅まで送ってもらう。
 
自宅へ帰ると「早かったわね?」と姑が驚いていた。
 
「気分が悪い」と伝えトイレへ駆け込むと、生理が始まっていた。
 
産後2ヶ月で母乳育児なら、生理の再開は早い方だと思う。
 
具合が悪いので休ませてもらうため、寝室は閉めた。
 
幸い長男は寝ていたので、私も瞳をつむる。
 
すると夫が帰ってきて「春は?」と私の様子を両親に聞いている。
 
その時舅が「ただの寝不足だろ」と言った言葉が聞こえてきた。
 
私はこの言葉を聞き、心をナイフでえぐられたかのように痛みを感じた。
 
夫が寝室へ入ってきて、私に寝ることを促した。
 
「うっ、、、」
 
私は堪えられない吐き気に襲われ、ゴミ箱を抱えながら嘔吐をした。
 
嘔吐をした後は疲弊してしまい、気付いたら5時間も寝ていた。
 
この日を境に、私は外出ができなくなった。
 
いわゆる、パニック障害に悩まされるようになったのだ。
 
 

私の不安を軽減してくれた書籍一覧