こんにちは!
あっという間に、8月も最終日。
学生の皆さん、大丈夫です!まだ一日あります!(笑)
いかがお過ごしでしょうか?
今日は、まず、世界最高峰のギタリストと言われているカニサレスさんのテレビ出演の情報をお知らせします。
日本時間の本日午後9時より、NHK Eテレにて放送予定とのことです。
クラシックTV
日本時間 8月31日(木)放送
「後藤輝基meetsギターのカリスマ・カニサレス」
本放送 Eテレ8月31日(木)午後9:00 ~ 午後9:29
再放送 Eテレ9月4日(月)午後2:00 ~午後2:29
番組のウェブサイトはこちらです。
カニサレスさんは、フラメンコ・ギタリストとして、世界各地で演奏されており、ベルリン・フィルとの共演の際にも大きな話題となりました。
作曲家でもあり、フラメンコ・ギターという枠に納まらない、幅広い活動をされています。
以前から、カニサレスさんの演奏を拝聴していましたが、数年前に一時帰国の際、初めてコンサートに伺うことができ、生の演奏を拝見することができました。
その時には、歌手とダンサーを含めた5人の編成でのパフォーマンスでしたが、無言のうちに交わされる、お互いの「音楽的な会話」にいたく感激しました。
誰かが、何か新しいものを投げると、「お、そう来たか!」といった感じでニヤリとして、それに応える。
そのやり取りの憎さに、私は始終興奮しっぱなしで、客席でニヤニヤしていました。
そして、まるで自分も一緒に演奏している仲間の一人であるかのような気になっていました。
そう思わせるパフォーマーの皆さんが、本当に素晴らしかったのです。
今年も、偶然タイミングが合い、カニサレスさんのコンサートに伺うことができました。
今回は、ギター2人の編成でした。
カニサレスさんと一緒に演奏したのは、フアン・カルロス・ゴメスさん。
元々は、カニサレスさんの生徒だったけれども、とても素晴らしいギタリストなので一緒に演奏してもらうようになったというお話を、いつかのインタビューで聞いた記憶があります。
フアンさんはソロでも活動されており、スペイン各地の音楽院で教授活動も行っていらっしゃいます。
このお二人の阿吽の呼吸には、改めて惚れ惚れしました!
正に Musical conversation!!! 音楽の会話なのです!!!
だから、言葉がなくても、そのお二人の「会話」に時々クスっとしてしまったり・・・。
私は、2020年の秋のグラナダ・フェスティバルでの配信コンサートをリアルタイムで拝見して以来、ほぼ毎日のようにその動画を聴いていました。
今回のコンサートでは、その時に演奏された曲も何曲か演奏して下さいました。
プログラムを読まずに拝見したため、次にどんな曲を演奏するのかは「お楽しみに!」という状態でした。
グラナダの映像を聴きすぎていたためか、とある曲が始まる前にチューニングをして、軽くコードを試し弾きした瞬間に、「もしや?!このコードは、もしや?!?!」と期待が高まりました!
そして、演奏が始まった瞬間に、心の中で、「来たーーーーーーーー!!!」と、サッカー決勝戦の実況中継よろしく、叫んでいました!(笑)
何と、私が一番好きな曲を演奏して下さったのです!
しかも、偶然にも席の関係で、かなりの至近距離での演奏でした。
でも、曲が始まって、更に驚きました。
いつも聴いているのとは違い、ものすごくテンポが速い!
そして、静かでメランコリックな曲だと思っていたのに、その日の演奏はまるで怒涛のように流れていったのです。
一体どこまで激しくなるのだろう?!
でも、その時に、ふと、何故か、とある物語の主人公のことが思い浮かび、「あぁ、あの人が弾いたとしたら、こうなるよなぁ・・・。」と、何だか腑に落ちました。
葛藤、もどかしさ、やりきれなさ、切なさ、全ての感情がかき乱されて、まるで崖から飛び降りるかのように、荒くうねっていきます。
一見、雑になるかのように思えて、しかし、そうではなく、原曲のメロディーと荒れた感情のギリギリの狭間の所を駆け抜けてゆく・・・。
ご自分の中でのその駆け引きに、聴いている方としては、胸が締め付けられるようでもあり、どうなってしまうんだろうという怖いもの見たさのような気持ちもあり・・・。
当然ながら、その流れの中では、私が毎日のように聴いている、フアンさんのあの大好きなフレーズが来るはずもなく、彼もまたその瞬間瞬間に生まれくる音に応えていました。
私の「知っている曲」との違いにあまりにも驚きすぎて、口をあんぐりと開けたまま、その曲は終わってしまいました。
その数分のうちに、私の中でも「心の旅」があり、最初は「いつもと違い過ぎる!いつものが聴きたい!」というところから、「待って、そもそもフラメンコ・ギターって即興の要素が強いんじゃないか?」、「カニサレスさんは、今、正にこの瞬間に沸き起こっている感情を弾いているんだ。それこそが、本物の演奏じゃないか!」となり、前述の物語の主人公が登場し、「どこまで行くか分からないけど、とにかく、この瞬間のカニサレスさんを存分に見せてほしい!」となって、「そうだよね、フアンさん、あのフレーズは聞けないよね。でも、そんなことはもうどうでもいい!!」となった末、全ての事の成り行きを見守った、という感じでした。
その演奏の衝撃たるや、もう言葉では言い尽くせません。
その日は、観客の方々も素晴らしく、最初から割れんばかりの温かい拍手!
最初から最後まで、会場全体が熱気に包まれていました。
あの一体感も、やはり生の舞台ならではの感覚です。
皆が、「待っていたよー!」「遠くから来てくれてありがとう!」と言っているかのようでした。
本当に至福の音楽体験でした。
終演後、共通の知り合いを通じて、カニサレスさんとフアンさんにご挨拶に伺いました。
色々と面白いエピソードもあり、カニサレスさんとフアンさん、そして、マネージャーの真理子さんの温かなお人柄に、感動もひとしおでした。
カニサレスさんと
フアンさんと
カニサレスさんから一生の宝物のようなお言葉を頂き、ますます夢見心地で帰途に就きました。
あまりにも素晴らしすぎて、後日、別の会場でのコンサートにも行ってしまいました。
その時には、あの大好きな曲は、緩やかなテンポになり、まるで別れを惜しむかのような穏やかなやさしさとともにありました。
「もしかしたら、カニサレスさんやフアンさんの感情のみならず、その日の観客の意識を、まるで鏡のように演奏に映し出すのかもしれないなぁ・・・。」とふと思いました。
嘘のない、取り繕うことのない、魂からの表現。
それこそが、世の中を本当に豊かにしてくれることにしみじみと思いを馳せました。
是非、今夜お二人の演奏をご覧になってみて下さい。