バリ島でのワークショップ | 虹の架け橋のブログ

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演劇、ヒーリング、アメリカやタイでの生活など、日々感じたことを綴りたいと思います。

 

 

 

こんばんは!

バンコクは、引き続き暑い日々が続いています。

 

さて、先週は、インドネシアのバリ島での演劇ワークショップに招聘され、世界各国から集まった俳優たち13人と共に、非常に深い日々を過ごしました。

 

バリ島というのは、私にとっては、子どものころからなかなか訪れることのできずにいた場所で、行きかけるのになぜか行けなくなってしまう場所でした。

今回、正に、「3度目の正直」で、ようやく辿り着くことができました。(^-^)

 

8月は、1年で一番涼しい月だそうで、最高に気持ちの良い気候でした。

1年中クーラーが必要なバンコクで暮らしていると、「涼しい」という言葉を使うことは滅多にないので、それも新鮮でした(笑)。

 

今回ワークショップに参加した俳優たちは、インド、アメリカ、イギリス、ウルグアイ、デンマーク、ウクライナ、と本当に色々な場所から集まっていました。

年齢も経験も様々で、20代前半から40代後半くらいまで、演劇を学び始めたばかりの人もいれば、ベテランで、それぞれの国では外を歩くとサインや写真を求められるような人気の俳優たちもいました。

でも、皆に共通していたのは、「自分の内面の探求をしている」ということでした。

 

ワークショップは3週間の日程で、それぞれの週にはテーマがありました。

第一週目は「Will 意思」。第二週目は「Feeling 感情」。第三週目は「Spirit 魂」。

私は、第二週目、「感情」の週の演技のクラスを担当しました。

 

参加者にとっては(私にとっても)、全く環境の違う国、言葉の分からない国を訪れるということそのものが、まずは大冒険です。

そこで、初めて出会う仲間とすぐに深いつながりを作り、また演劇を通して朝から晩まで自分自身と深く向き合う作業をする・・・。

これらが重なり、おそらく、想像以上に厳しい1週間だったと思います。

 

滞在先のホテルでは、水が出なかったり、水は出ても、シャワーのお湯が出なかったり、黒い水が出てきたり・・・と第一週目は、色々と大変なことが重なったようです。

 

そうして一週目が終わった時に、私が到着しました。

第二週目のテーマは「感情」。

異国の地で、色々なことがなかなか思い通りに進まない状況や、早朝から夜までの長時間のトレーニングで、ちょうど疲れも出てきたころだったと思います。

 

様々な演技のエクササイズは、俳優として自分のあらゆる感情に触れるために行うものです。

ある人は、「怒り」は簡単に表現できるけれども、「涙」は堰き止めてしまうかもしれません。

また別の人は、「笑い」は簡単に表現できるけれども、「官能」のエネルギーに対しては心身を閉ざしてしまうかもしれません。

俳優である以上、舞台の上ではすべての感情を表現できなくてはなりませんから、私たちは、特定の感情や表現を妨げる「障害物」を少しずつ取り去り、手放すことを学んでいるのです。

 

これは、決して簡単なことではありません。

多くの場合、俳優たちは、とても繊細です。人が感じないことまで敏感に感じ取ってしまう。

だから、社会の中で生きにくさを感じることも多々あると思います。

あまりにたくさんの情報を感じ取るので、時には、感受性のセンサーを切ったり、弱くしたりしないと、疲れ切ってしまったりもします。

 

でも、その繊細さと、とてつもない想像力が、創造力とつながって、人の心を揺さぶるような表現が生まれてくるのです。

 

第2週目の「感情」の週は、正に様々な感情が噴き出した週だったのではないかと思います。

クラスでは、背骨を動かす作業をたくさんしました。

背骨を動かすことで、全身の神経系が刺激され、一つ一つの細胞の中で眠っていた「閉じ込められた記憶や感情」への扉が開くことが多いからです。

 

多くの俳優たちが、叫び、涙を流し、大笑いし、性的エネルギーを開放し、怒り・・・と、本当に豊かなクラスになりました。

大の大人が、特に男性が、人前でおいおい泣いたり、女性が怒りに叫び狂ったり・・・というのは、やはり演技のクラスという安全な枠があるからこそ解放されてくるものではないかと思います。

安全な環境で危険を冒す、これは、とても大事なことです。

そして、一つ一つのエクササイズの後で、消化・昇華の時間や話し合いの時間を多く設けたことで、エクササイズの最中の経験だけではなく、私生活や過去の体験、変化したいと感じている部分なども浮き彫りになり、素晴らしい洞察力に富んだコメントが数多くありました。

 

毎日、授業の後に、たくさんの参加者がお礼を言いに来てくれて、本当にありがたいことでしたが、私の恩師の言葉を借りると、「私が教えているように見えるけれども、それは幻想で、実際にはあなた(生徒)自身が気づき、発見しているのだよ。」と、心から感じました。

それでも、誰かの成長や変化の感動に立ち合い、誰かから「ありがとう」と言ってもらえることは、最高に大きな喜びでした。

むしろ、私の方が「ありがとう」とお礼を言いました。

これも、一人一人の参加者が、心と体を開いて授業に臨んだからこそ起きた変化でした。

勇気ある俳優たちと一緒に過ごせたことは、私にとっても大きな幸せでした。

 

バリ滞在中には、観光客用ではない本物のバリの伝統舞踊やケチャ・ダンスを観たり、ワークショップの参加者のお世話をしてくれていた方の村のお祭りを見学する機会にも恵まれました。

バリに到着したその日の晩に村祭りに行ったのですが、なんでも大きなお祭りをするのは5年に一度のことらしく、その日がちょうど、その5年に一度の大きな村祭りの日に当たっていたそうです!

何てツイているのでしょう!!!(^-^)「第一日目」に!!!

初日から、どっぷりとバリ現地の文化に浸からせてもらうことができました。

 

 

 

バリ島では、毎朝、人々がお花やお菓子を葉っぱで作ったお皿のようなものに乗せて、お線香を焚いてお供えの儀式をしていました。

それから、男性も女性も、プルメリアの花や花びらを髪や耳の後ろに飾っていました。

バリの人々は、地球とつながって、大地とつながって生活していることを肌で感じました。

 

 

実際、宿泊先では色々な不都合が生じ、2度宿を変わることになりましたが、その時にふと思ったのです。

水道の蛇口をひねると飲める水が出てくる、というのは、世界的に見たら当たり前のことではないのです。

ましてや、シャワーのためのお湯が蛇口から出てくる、ということも・・・。

そうした便利さを日常的に享受しているのは、全体から見たら僅かで、その他の多くの人達が、水を汲みに長い道のりを歩いて行かなくてはならないのです。

自分にとっての「非日常」に身を置くと、様々な気づきがあり、仕事を通して旅をできることのありがたさを改めて感じました。

 

単なる観光では決して触れることのできなかったことを体験し、私にとっても深い感情や感覚と向き合った日々でした。

 

第3週目、「魂」というテーマと向き合っている俳優たちをバンコクから想いながら、私もまたこの場所で自分と向き合っています。

 

感謝。