(c)SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 

 

 太平洋戦争末期、フィリピン・ミンドロ島での俘虜経験を持ち、戦争の現実を筆で伝え続けた作家・大岡昇平

 著書の中でも、”戦争文学の金字塔”と称される「野火」が塚本晋也監督によって映画化され、戦後70年の節目となった2015年夏に公開されました。

 以来、毎年終戦記念日に合わせて各地の映画館などで上映され続け、10年目となる今夏もスクリーンに帰ってきます。

 

 

 

 

⚫️塚本晋也監督『野火』戦後79年・10年目のアンコール上映が決定

 

 公開初年、自主配給でこの作品を何が何でも世に出すのだという塚本監督の本気度と、今までの戦争映画とは違う、阿鼻叫喚の世界をこれでもか!と描いた作品の力強さに惚れ込み、一記者の分際ながらボランティアで配給宣伝を名乗り出てしまった者としては、

あとを受け継ぎ配給を請け負って下さった新日本映画社の皆様、上映を続けてくれる映画館の皆様、そして劇場に足を箱んで下さる観客の皆様には、感謝してもしきれません。

 

 なにせ同じ映画業界にいながら配給宣伝は全くの未経験ですから、周囲に迷惑かけまくりです。でもたった一つ、得意分野が生かせたんじゃない?と自負でしていることがあります。それは塚本監督がキャンペーンや舞台挨拶で全国行脚した際の旅程を組んだこと! 

 

 こちら生粋の旅好き+テツですから。各劇場の担当者とスケジュールを調整をしながら、

自分の欲望をこっそり旅のしおりに忍ばせて、塚本監督を送り出していました。

 

 例えば、大分・別府ブルーバード劇場から熊本・Denkikanへの移動。

速さと快適さを優先するなら、特急ソニックでJR小倉駅を経由して九州新幹線で熊本へ。

「マジンガーz」みたいな青いソニック大好きですけどね。

 でもそれじゃあ、なんだか味気ないじゃないですか。

というわけで、小倉経由よりプラス1時間の長旅だけど、乗り継ぎなし+九州の大自然を堪能できる九州横断特急をチョイス。

 

 フォーラムシネマネットワークを巡る東北キャンペーンでは、最終地点はフォーラム八戸(2023年1月5日に閉館)。

 ならばJR八戸線と三陸鉄道で宮古まで行けるよね!

 ってことで、みやこシネマリーン(常設館としては2016年9月に閉館。現在は定期的な上映会や地域上映活動を実施中)での舞台挨拶を追加。

 せっかくなので三鉄ではお座敷車両に乗ってもらって、こちらもせっかくなので、うにあわび弁当を予約。

 

 そうそう、愛媛・シネマルナティックから九州キャンペーンの旅費とスムーズな移動で頭を悩ませていた時、地図で八幡浜 〜 別府のフェリーを発見。

 1日一本だけ出ている、松山市内から八幡浜港に向かう伊予鉄バスに乗れば、乗り換え1回で別府まで行けることを発見した時は、自分で自分を褒めたくなりました。

 

 振り返ると、塚本監督の腰痛を悪化させちゃったかな?と反省しておりますが、塚本監督が個性的な各地の映画館の面白さに嬉々として、今ではお世話になった映画館への恩返しとして「小さな街の映画館」と題したYou tube企画を発信しているのが嬉しい限りです。

 

 

 

 

 今年も塚本監督は可能な限り上映劇場へ足を運ぶ模様。

 その時はぜひ、会いに行ってくださいませ。

 そして『野火』鑑賞前後には、こちらもぜひご一読を。