「初心」を忘れないこと

 

 

 

仕事でも、生活でも、前進するためには「初心」を忘れないことが助けとなります。

 

「最初、なぜそれを行おうと思ったのか」「自分はなぜそう決定したのか」

 

 

 

経験がなかった時の気持ちや、向き合わなければならなかった問題など、その時の純粋な気持ちを忘れない人は、謙遜で、感謝を持ち、向上心を保つことができます。

 

 

 

目的がはっきりし、目標を定め、問題を解決し、前進していく原動力を持っている人です。

 

 

 

初心を忘れてはいけないでしょう。

 

 

 

あらゆる事柄を、初めて見たときと同じように受け止める姿勢が大切なのです。

 

 

 

いったん慣れてしまうと、そのほうが楽なので「慣れ」に頼ってしまいがちです。

 

 

 

ですが、そうして初心を忘れ、よくない慣れがあると、前進できないだけでなく、怠慢や驕りが出てきてしまうかもしれません。

 

 

 

定期的な自己吟味が手がかりとなります。

 

 

 

まずはみなさんの心を動かすことが必要ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

初心忘るべからず

 

 

 

この言葉は、みなさんも知っています。

 

 

 

これは社会の歴史でも勉強する、室町時代の能楽の大成者である、世阿弥の言葉だとされています。

 

 


「しかれば、当流に、万能一徳の一句あり。

 

 


初心不可忘(しょしんわするべからず)

 

 


この句、三箇条の口伝あり。

 

 


 是非初心不可忘(ぜひのしょしんわするべからず)。

 

 


 時々初心不可忘(じじのしょしんわするべからず)。

 

 


 老後初心不可忘(ろうごのしょしんわするべからず)。」 『花鏡』奥段

 

 

 

初心忘るべからず」は、ふつう「何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない」という意味で使います。

 

 

 

ですが、世阿弥が花鏡のなかで説明している意味は、ずいぶん違っています。

 

 

 

 

世阿弥がいっている「初心

 

 

 


世阿弥がいっている「初心」は「初心者」の初心のこと。

 

 

 

つまり、まだ未熟な状態のことです。

 

 

 

「なにかを始めたときの下手だった記憶や、そのときに味わったくやしい気持ちや恥ずかしさ、そこから今にいたるまでのたくさんの努力を忘れては甲斐無いですよ」という意味です。

 

 

 

さらに世阿弥は、過去の未熟な状態だけを思うのではなく、今の自分も「未熟」な状態であると自覚しなさいともいっています。

 

 

 

 

 

 

激しい変化のなかで

 

 

激しい変化のなかで、初心と根本のミッションは同じでも、成長していくにしたがって、夢や目標もまた変わるのが自然です。

 

 

 

変化する夢を初心の心で持つことが大事ではないでしょうか。

 

 

 

私は、毎日、新しい初心を持って、明日は今日よりよくなる、そしてみんなと一緒に今日よりよい明日を作っていくことを大切にしています。

 

 

 

芸の上では

 

 

 

 

初心は芸の上では、毎回演じた、そのときどきの対処法を引き出しに入れて取っておきなさいという教えなのだそうです。

 

 

 

そして、それをどんどんアップデートしていきましょう。

 

 

 

一つのところに満足してとどまるのではなく、常に新しいものを追いかけながら、引き出しの中から取り出して、それを新しい状況に合わせていきます。

 

 

 

年齢が上がれば、その年齢に応じたレベルのことをやっていく、ということです。

 

 

 

 

今取り組んでいる「初心」

 

 

 

 

こういう時代に映像を使って、どうやって多くの人に伝えるかが大切だと思います。

 

 

 

あるいは、映像だからこそ多くの人に発信することもできるので、どう発信していくか、「初心」で取り組んでいこうと考えています。

 

 

 

ICT化、グローバル化などで世の中が急速に変わっていくときに、何かに取り組んで1カ月もすれば、もう周りもみなさんも変わっていますよね。

 

 

 

今が未来を作るのだから、結局のところ、今がんばらなくては、よい明日も未来もないのです。

 

 

 

逆に言えば、今をしっかり考えてがんばっていれば、よい明日は来るし、未来もあります。

 

 

 

初心」、つまり今という時間軸が重要で、目標としてこうなりたいということはあるとしても、今この瞬間をがんばっていくことしかないのではないでしょうか。

 

 

 

 

老後の初心

 

 

 

 

これは当時だと50歳くらいの話ですが、今なら80歳、100歳をも包含するものでしょう。

 

 

 

どんなに年をとろうとも、昨日の自分を超えていく、今日の自分より明日はもっとよくなる。

 

 

 

初心をどんどん更新しながら生きていくこと、これこそが初心忘るべからずの意味だと思うのです。