不思議なことなのですが、往々にして幸せに不安を感じることはないでしょうか?
幸せなときでも、なぜかそれが長続きしないような気がするのです。
続いて不幸がそんなに遠くへいってしまったはずはないと考えます。
長い間幸せでいると、バチがあたるという気がなんとなくするのです。
そうです、自分に都合のいいことばかりが起こっては、いけないような気がするのです。
曲がり角を曲がると、不幸が身をひそめて待っているのではないかと想像しはじめることもあります。
そうして、不幸を自分で引きよせてしまいます。
私の友人にも、そんな人がいます。
すべてがうまくいっているときでも、電話がなって自分の幸せがこわれてしまうかもしれない、税務署から手紙がくるかもしれない、愛する人の訃報がくるかもしれない、などと思ってしまうといいます。
それは、すべていわれのない不安だということは、それまでの経験からわかっているべきなのですが、どうしてもそう考えてしまうのです。
私たちは、子供時代、あしたはもっとたのしい一日になるだろう、と当たり前のように考えていたと思います。
なにもかもがうれしかったんです。
動物や花、ほかの子どもたち、知ること、大人を愛すること、すべてを両手いっぱいに抱きしめ、ますます幸せを感じたものです。
この素直な喜びが大人になると、どうして屈折してしまうのでしょう?
私たちは、不幸な人には少しでも幸せになるよう、できるだけのことをしてあげたいと思います。
ですが、幸せな人にも幸せが続くように、なにかをしてあげなくてはならないと考えることは、少ないです。
ほんとうは、そうすることも必要であり、大切なのです。