「親しみの気持ち」こそ、人間関係をよりよくする大切なものなのです。
「相手の気持ちに寄り添ったプラスアルファのひとこと」を添えると、お客様と販売スタッフの見えない壁が、取り払われることがあります。
お客様の心に、「親しみの気持ち」がわいてくるのです。
日本の武道や芸道には「残心」という言葉があります。
残心とは、剣道や弓道などでは、ひとつの動作を終えたあとでも、緊張を持続させ、心身の備えを怠らない、という教えとして使われます。
つまり、「心を切らさず、余韻を残す」ことをいうそうですが、人間関係においても「残心が大切」だと私は思います。
「相手の印象に残る人」は、「別れ際の1秒間」を意識して、最後に、残心を付け加えているのです。
以前放送された、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で話題となったのは、メートル・ドテルの宮崎辰氏です。
メートル・ドテルとは、日本でいう給仕長のことです。
フランスでは、伝統的にシェフと同様の職業的認識を受けており、サービスのみならずレストランという空間全体の演出を任されているのです。
その業務は幅広く、スタッフを率いるだけでなく、お客さんがその場を楽しめるかの重点も、メートル・ドテルが握っています。
つまり、技術や知識だけでなく、的確な判断力や高いコミュニケーション能力が求められる難しい職業だといえるのです。
宮崎氏は、著書『世界一のメートル・ドテルだけが知っている、好感を持たれる60のコツ』で、「また、会いたい」と思わせる人の共通点を紹介しています。
それは、「ラストインプレッション(最後の印象)がとてもいい人」です。
実際に宮崎氏が、先輩のメートル・ドテルや魅力的なお客様と真っ向から立ち向かったときに感じたものです。
「当たり前のこと」や「だれもがしていること」だけでは、相手の印象には残りません。
「だれでもできるのに、ラストインプレッション」が、相手の心を動かすのだと思います。
それこそ、1%の人しかしていないことです。