期待は自分に対してだけにしましょう。
期待することをやめれば、すべてが手に入ります。
期待がはずれると人間はどんなにがっかりするかを、友人のSさんは身をもって体験したことがあります。
そのときの教訓が、いまでもSさんのなかに生きているそうです。
それはSさんが小学生の頃の、ある誕生日のことでした。
突然、Sさんの家の居間に、いままで考えもしなかったような大きなプレゼントが置かれていました。
Sさんの背丈よりも高く、重さもSさんの体重の数倍くらいあったと思います。
もっと驚いたのは、それがSさん宛だったことです。
誕生日がくるまでの1週間、Sさんはありったけの方法で、この背の高い贈り物の中身を考えようとしました。
ですが、どうやってみても、中身はわかりませんでした。
その1習慣の長かったことといったら。
ほかのことはほとんど手につきませんでした。
Sさんの頭の中は、その贈り物のことでいっぱいでした。
家族や友人が集まり、お祝いがはじまりました。
いちばんの注目は、Sさんのプレゼントを開けることでした。
それまでの1週間、ことあるごとにこの瞬間を夢見ました。
ですがSさんは、包みを開けながら、なんとなく熱気が下がっていく自分を感じていました。
大きな秘密が、いま、暴かれようとしています。
Sさんはもう、夢をふくらませながら、毎日をすごすことはできません。
贈り物の中身は、おじいさんが苦労してつくってくれた手づくりの机でした。
立派な机で、とてもありがたいものでした。
ですが、このときにはもう、世界中のどんなものでも、Sさんの期待を満足させるものはなかったでしょう。
なにを期待していたのかは、Sさんにもわかりませんでした。
ですが、このときの絶望感は、Sさんの教訓となりました。
期待しなければ、私たちはいつでも幸せなのです。
期待すると、どれだけ手に入っても、もっとほしいと望むものです。
愛してほしいと望むことはできます。
ですが、愛してほしいと期待することはできません。
これをしっかり頭に入れておけば、期待に鍛えてほしいと思ったり、期待にこたえようとすることはなくなるでしょう。