人は、正しいかどうかではなく、「感情」で動きます。

 
 

「人木石に非ず」

 

 

この格言は、「人には木や石とは違い、喜怒哀楽の感情があります。人として、感情があるのは当然のことです」という意味です。

 

 

 

理性的、論理的に正しいからといって、「感情」が伴っていなければ、人は行動に移せないことがあります。

 

 
 
 

私が滞在先のホテルで体験したある出来事は、

 

 

 

⚫︎「論理だけでは、人を満足させることはできない」

 

 

 

⚫︎「マニュアル通りの対応では、人の心は満たされない」

 

 

 

ことを私に教えてくれました。

 

 

 

滞在先のホテルで急に具合が悪くなってしまい、私は「もう1日延泊して、しっかりと体を休めよう」と思いました。

 

 

 

内線電話でフロントを呼び出し、

 

 

 

「具合が悪いので、延泊したいのですが、お部屋は空いていますでしょうか?」

 

 

 

と、息を切らしながら問い合わせたところ、フロントの女性からは、「明るく、快活に」返事が返ってきたのです。

 

 

 

「お部屋はございますので、そのままお泊まりいただけます!

 

 

 

ですが、いまお使いのカードは明日には使えなくなりますから、フロントまで取りに来てください!」

 

 

 

 

 

しばらくベッドで休んだあと、私は、もう一度フロントに電話をかけました。

 

 

 

「冷蔵庫のお水がなくなってしまいました。

 

 

 

買いに行きたいのですが、体調が悪くて外に出られません。

 

 

 

お金を渡しますから、私のかわりに買ってきてくださいませんか?」

 

 

 

するとフロントの女性は、今度も明るい声で、

 

 

 

「申し訳ございません!

 

 

 

お客様からお金をお預かりしてはいけない決まりになっております。

 

 

 

ですので、お客様ご自身で買いに行ってくださいませ!』といいました。

 

 

 

あっさりと断られた私は、受話器を置いたあと「彼女の言い分はマニュアルに誠実なのだろうけれどもっと、ほかの言い方があったのではないか?」と疑問を覚えました。

 

 

 

 

論理的に物事を進めることよりも、まずは「心でつながる」ことが大切です。

 
 
このフロントの対応は、「論理的、マニュアル的」には、正しいのかもしれません。
 
 
 
ですが、ホテルのルールや決まりを押し付けるのではなく、私の「感情」にも気を配ったひと言が添えられていたなら、私は、不快感を感じなかったと思います。
 
 
 
たとえば、はじめに「お客様、大丈夫ですか?」「どのようなご容体ですか?」「病院には行かれましたか?」とひと声かけ、そのあとで「具合が悪い中で大変申し訳ございませんが」と切り出してくれたなら、私の感情は満たされ、不愉快を覚えることはなかったと思います。

 

 

 

人と人をつなげるのは、論理的に正しいマニュアルではなく、「感情」です。

 

 

 

もちろん、マニュアルも大切ですが、ロジカルに、効率的に、論理的に物事を進めることよりも、まずは「心でつながる」ことが大切なのです。