メジャーリーグで活躍されていたイチロー選手が、小学生の「どうやったら野球が上手くなりますか?」の質問に対して、「バットやグローブなどの道具を大切にすることだよ」と答えたというのは、有名な話です。
手具は、自分の体の一部と同じで、「手具と、もっと一体になりたい」という愛着があるのだな、と感動しました。
パイロットのNさんは、引退するまでの間、フライト前は必ず、操縦桿をなでながら、「今日もよろしく」と親しみを込めて語りかけていたそうです。
命を預ける飛行機と、心を通わせようとしていたのかもしれませんね。
私も、その気持ちが、とてもよくわかります。
セミナー会場では、必ずお世話になる会場に対して、「ひとりでも多くの方々の、お役に立てますように、今日はよろしくお願いします」と語りかけます。
サービスを提供するときも、商品を売るときも、自分が扱っているものに対して、だれよりも愛情を持っている人は、素敵に見えます。
自分が愛してこそ、その商品は人からも愛されます。
愛していれば、自信を持ってその商品を人にすすめることができますね。
「自分が本当に良い!」と思ったものは、やはり熱の入り方が違いますから、その商品の良さを熱く語るだけで、自然と売れていくものなのです。
つねに確固たる愛情を注がれて育てば、根っこの部分がしっかりとして、大崩れしない人になるんじゃないでしょう。
周囲の大人たちから、絶えずたっぷりと愛を受け取っていた。それが芯の強さにつながっています。
人と人が出会い、いろんな関係を取り結んでいくのが、やっぱり楽しいですよね。
大企業で、当時、史上最年少で部長になったFさんは、クライアントを「自分の家族が務めている会社」だと見立てているそうです。
「自分の家族がお世話になっている会社だと思ったら、邪険にはできません。会社の商品に愛情を感じますよね?」とおっしゃっていました。
もし、家電メーカーY社の担当になったとすると、自宅の家電をすべてY社の製品に買い換えるそうです。
Fさんが「史上最年少」で部長に大抜擢されたのは、クライアントに注ぐ愛情が、誰よりも大きかったからではないでしょうか?
自分が扱っている商品やサービスを好きになれないと、「心の底から相手にすすめる」ことができません。
ひとつでも多く、その商品の「いいところ」「好きになれるところ」を探して、愛情をかける努力をしてみましょう。
あらかじめそこにあるわけではありません。
いっしょに暮らして日々何かを積み重ねていったり、自覚的に努めたり、そうやってつくられていくものなのです。
愛情を注ぐ相手がいると、生きるのがシンプルになり、楽しいものです。
この人たちがいまもこれからも、笑って過ごしてくれたらいいなとだけ考えていればいいのです。
それは自分の心を満たそうと必死になるよりずっと楽しいし、気持ちが長続きします。
その商品のことが好きになれば、無理して言葉をつくらなくても、自分の思いが自然と言葉にのって、相手にも伝わるはずなのです。