篤史と良子の夫婦は、第二の人生を大自然に包まれた
美しい土地で過ごそうと、東京下町の工場をたたみ、
北海道に移り住むことを決断。
かつて外国人が住んでいたという瀟洒な家を手に入れ、
良子は野菜作りや家の内装のアレンジなどをしながら日々を
満喫していた。
一方、篤史は仕事人間だったせいか、手持ち無沙汰で暇を
持て余すばかり。
そんな夫を見かねた良子は、家を囲む石塀作りを篤史に
依頼する。
だが、以前から患っていた心臓の病を悪化させ、良子は
突然この世を去ってしまう。
悲しみにくれる篤史だったが、ある日、良子から手紙が
届く。
自分の死期を悟った良子が、篤史のこれからを案じ、篤史に
宛ててたくさんの手紙を書いていたのだった。
そんな良子の手紙に書かれた想いに触れるうち、篤史は
閉ざしていた心を少しずつ開き始める。
石塀作りを手伝いに来る青年・徹との交流、そして
長年疎遠になっていた娘・聡子との再会……。
やがて篤史は、良子を思いながら一つ一つ石を
積み上げていく……。