東京の片隅の夕刻、お腹に子供を宿した恵理の目には、
自殺した中学の同級生・康臣の影がちらつく。
そんな彼の姉が、1本のビデオテープを渡してくる。
そこには、恵理の知らない康臣の姿があった。
さらにかつての母校で、康臣が残したもう1つのテープを
目にする……。
都会の寒空の下、理奈は円満な家族、気心の知れた友人、容姿端麗な
彼氏、足の怪我のために諦めたバレエなど、かつて見ていたのとは異なる
日常のなかに埋没していた。
しかし、祖母の介護の傍ら清掃員として働く透に言い寄られ、
今とは違う現実を生き直すように詰め寄られた理奈は……。
海に臨む小さな田舎町に暮らす奏恵は、幼いころに亡くした弟と
遊んでいた海辺の廃小屋に足繁く通っていた。
医院を構える父のもと、療養している心の病を抱えた美しい
青年・潔が、奏恵に不気味な笑みを向ける。
奏恵は若くして彼との子を身籠るが、その命は日の目を
見ることはなかった……。
はたして彼女たちは、彼らを本当に愛することが
できるのだろうか?