若いウィリーが、中年男のカールと出逢ったのは
1933年の9月のことである。
カールは、一見平凡な男であるが、足の先から、首まで、
色彩豊かな肌絵をほどこしていた。
ただ、背中に1ヵ所だけ、白く残された素肌の部分があり、
そこを見つめた人の未来の姿を、その場に現出させる
という。
そしてカールは、その肌絵を彫り込み、そのまま何処かへ、
たぶん未来の中へ消えてしまった美しい女彫りもの
師フェリシアを20年このかた探しまわっているという。
ウィリーは、そんな話は信じなかったが、カールの胸のあたりに
彫られたアフリカの草原をみつめていると、たちまちのうちに
現実となって大草原が現れた。
それは21世紀のこと。
試験管生殖の子供たちは精神磁波を通して
感情教育をされる。
だが破壊的な思考が爆発すると、両親をも殺してしまう。
みると両親はカールとフェリシアではないか。
そして健康管理の相談役である博士はウィリーで
はないか。
3人の未来図なのであろうか?
幻想が終わり再び1933年の田舎町に戻る。