何者かになりたいと東京で就職してから10年、「私」は
何となく実家に戻る。
フリーライターとしてタウン誌で記事を書いている
ものの、親からはフリーターとして見られている。
冴えない日々を過ごしていた「私」は、高校時代に仲の
良かった友達と久々に会った勢いで当時の憧れの的
だった椎名くんに連絡して会いに行くことになる。
その道すがら、「私」の脳裏に椎名くんとの忘れられない
思い出が蘇ってくる。
一方、別れた椎名への思いをまだ引きずっている「あたし」は、
東京への憧れと畏怖を併せ持ち地元を出ずにいた。
椎名の取り巻きの中でも特に冴えない男が彼氏面してきて
断るのも面倒くさく適当に遊んでいるが、心は椎名といたときの
青春の輝かしい記憶に囚われたまま。
二人は、この場所にはない自らの退屈を埋めてくれる
何かを椎名くんに追い求める……。