【悪魔の赤ちゃん】 | はるんのブログ

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フランクレノールロサンゼルスに住む、中流階級の

 

平凡な夫婦だった。

 

夫婦の間には11歳の息子クリスがいたが、ようやくできた

 

2人目の子供の産月が近い今一家はささやかな喜びに

 

ひたっていた。

 

やがてレノールの陣痛が始まった。

 

フランクはすぐ身のまわりの荷物をまとめるとレノールを

 

病院に連れていった。

 

分娩室に運び込まれ待合室にはフランクと同じように、お産を待つ

 

父親がいて話題には困らなかったが、その頃、分娩室では想像を

 

絶する事件が、起こっていた。

 

悪魔の申し子のような恐るべき生命力怪奇な姿

 

合わせ持った異様な生物が生まれたのである。

 

しかもその赤ちゃんはお産に立ち合った医師、インターン、

 

看護婦らを惨殺し、分娩室から姿を消していた。

 

警察でもこの事件が生まれたばかりの赤ちゃんの仕業とは

 

信じることができなかったが、その日から、鋭い牙で喰いちぎら

 

れ、獣の爪のようなもので身体を引き裂かれるという惨殺事件

 

次々と起こり、ロサンゼルス警察では非常警戒包囲網

 

しいた。

 

そして赤ちゃんをとある保育園へと追い込んだがその厳重な囲みを

 

ぬって、しかも警官数名を惨殺した“悪魔の赤ちゃん”

 

姿を消してしまった。

 

一方、レノールの身を案じ、仕事も手につかぬフランクは、長期

 

休暇届けを提出すると家に戻った。

 

レノールはショックが癒えたのか何となく嬉しそうな様子を見せている。

 

その夜、寝苦しさに寝室を出たフランクは、冷蔵庫を開けて

 

愕然とした。

 

夕方までいっぱいつまっていたはずの食料が消えているのだった。

 

不審に思ってレノールを問いつめると、レノールは赤ちゃんが

 

帰ってきたことを白状し、殺すことだけはやめてくれと哀願する

 

のだった。

 

その頃、親友チャーリーに預けられていた

 

クリスが、両親に会いたい一心でチャーリーの眼を盗んで

 

家に戻ってきていた。

 

玄関が閉まっているので地下室から入ろうとすると異様な

 

唸り声が聞こえてくる。

 

赤ちゃんは愛情を感じているらしく、襲いかかる気配はなかったが

 

ちょうどその場に降りてきたフランクは、クリスが危ないと思い発砲

 

した。

 

弾丸は赤ちゃんの肩をかすめたらしく、凄まじい叫び声をあげると

 

折り悪しくクリスを追って地下室に入ってきたチャーリーの喉笛を

 

噛み切って闇の中に消えた。

 

駆けつけた警察と一緒にフランクは赤ちゃんの後を追った。

 

血痕は下水道に続いており、数十名の警官が発見次第

 

射殺すべく下水道に入り込んだ。

 

フランクはついに激痛に耐えかねて泣いている赤ちゃんを見つけ

 

銃口を向けたが、どうしても引き金を引くことができなかった。

 

この世のものとも思えぬわが子の哀れな姿に、とめどもない涙を

 

禁じえなかったのである。

 

フランクは赤ちゃんを抱いて家に連れ帰ろうとしたが・・・・