昨年、私の大学のOB会報誌で連載したものを、要約して掲載しています。データなどがちょっと古いかと思います。
■なぜ保育園に入るのが難しいのか
「待機児」。認可保育園(※1)の入所を申し込んでいるけれど、入れなくて入園待ちをしている待機児は、なんと全国に26,383人(2003.4.1現在)もいます。もし、入園できないとなれば、無認可保育園を探すか、親が仕事をやめるかということになります。
保育園の入園申請は毎年冬に行われ、入園の決定は3月に市町村から通知され、晴れて4月入園ができるのです。しかし、利便性の良い保育園はこの年度初めに定員いっぱいになってしまいます。
「保育園に入れなかったら」=「仕事を辞めざるを得ない」このリスクが今は大きすぎます。現在、定員の弾力化が行われ、年度当初は定員の15%まで、年度途中は25%まで、年度後半は定員の25%を超えて入所させることができるとなっています。しかし、満員の状態は解消されていません。一方で、定員が増えても、保育に従事するスタッフの増員はありません。相対的に保育の質は落ちてしまいます。こうした入園状況や保育状況の矛盾はもっと指摘されてもよいのではないでしょうか。
冗談のような話ですが、出産時期をコントロールする人もいます。つまり、4月の入園が可能で、できるかぎり休暇を有意義に取れる時期を選ぶのです。出産予定が4,5月くらいになるように計画的に妊娠を試みます。特に2人目ともなるとこのように時期を考える人は少なくありません。2人目はもうひとつ問題を抱えていて、上の子が3歳未満の場合、下の子を産んで育児休暇を取っている間、上の子は保育園を一度退園させられてしまいます。(※2)当然、再度入園した時の空きを確保してくれているわけではありません。下の子の育児休暇終了時に、2人の入園申請をして、一緒の保育園に入園できるかどうか。これは大きな精神的プレッシャーになっています。
実際、低年齢児の定員が少ないため、兄弟姉妹で別々の保育園に行くことになったというケースもあります。こうなると、朝夕、保育園2箇所を巡回する時間的負担は想像を超えるものがあります。ただでさえ、限られた保育時間に四苦八苦しているのに、さらに勤務時間にしわ寄せがきてしまいます。こういう状況を前にして、「待機児ゼロ作戦」「少子化対策」という言葉も机上の空論のように思えてなりません。
専業主婦世帯を標準モデルとしてきた年金制度や税金制度も、共働き世帯をモデルとする動きがあり、ようやくここまで来たかという思いと同時に、個人ではどうしようもできないリスクや問題が取り残されないように願ってやみません。
※1 市町村が入園者を決定する保育所。それ以外の自由運営の保育所を無認可保育所と呼ぶ。文中ではどちらも保育園という呼称を使っています。
※2 市町村により異なる場合もあります。