ステージは魔物。永遠の課題、一発勝負をどう乗り切るか。 | 田中晴子のブログ "La vie quotidienne"

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フランスバロック、近代の音楽大好き。近頃バッハも好き。シューベルトも。アンリ・バルダ先生にピアノを習って21年目。音楽まっしぐら、でも寄り道、脱線のカジュアルブログを始めました。田中晴子オフィシャルサイトも宜しく。https://www.harukotanaka.com

さて、本番。


舞台袖で、順番を待つ。



私の舞台袖の個人的お供は、ミネラルウォーターのペットボトルに手袋にカイロ💦、勿論楽譜………は Duo のお相手のを今回見せてもらい、後は、舞台に持っていくハンカチ。


最高気温が、32℃になるかも知れないと言うのにカイロを持ってきたのは、やはり心配性だからですが、館内の冷房の効き方がどの程度か解らないから、念の為、あった方がいい。


椅子は2脚、高さを調節できる自在椅子を用意してもらいましたが、出演者1人ずつに、一脚ずつ用意して下さったみたいで、私の椅子の高さは、リハーサル時から変えていないと言うお話。


案外、これ大事です。



さて、本番。


すたすたと、ステージに出て行き、これも打ち合わせ通りに、お辞儀する。


私としては、リハーサルでかなり攻めた弾き方をしたのですが、それからまた考えた、そして思った………。


プリモのパートが出るところは、しっかりいつも通りやろう。


さらに、弱音と主題の表現に、もっと変化、幅をもたせよう。


そして、私がこの半年以上ともに過ごしたシューベルトの幻想曲に注ぎ込めるだけの気持ちを込めようと。


その時心の奥の声が、自然に聞こえたかのように、自然と態度が決まっていた。


本番のステージが、魔物で怖いのは、情熱が溢れて、乗りすぎて無謀な事をやってしまい自滅する…………か、冷静になり過ぎて、全く挑戦をしない無難な場所から出ていかないで終始する…………か。


この2極のどこに自分がいるか、いられるか………に尽きると思う。


いくら調子が良くて乗って弾いていても、どこかに冷静な自分がいなくてはならない…………と私は思う。


溢れでる気持ちは、やはり氾濫してしまったら、取り返しがつかないから。


冷静と情熱の間の何処に自分がいられるか…………。


永遠の課題。



幸いに、何とか一発勝負のステージ…………その時、自分の気持ちが音楽の中に入れ、幸せでした。


大変だったけれど、努力して良かったと思いました。

Duo のシューベルトの幻想曲、お聞き頂いて、本当に有難うございました。