昨年の晩秋、オステオパシーの先生から施術を受けたとき、途中で、
「歩行はどんな感じ?」と、聞かれました。
眼のせいでエスカレーターにスムーズに乗れない何てことはあっても、歩行には特に問題を感じていなかったので、施術終了後、どうして聞いたのか質問してみました。
すると、先生は、
「小脳が捻れている(もしかしたら歪んでいるだったかもしれません)から、どんな感じかと思って」と、仰ったのです
小脳を軽んじているわけではありません。
でも、どう考えても、つい最近捻れたとは思えない。
きっとずっとそうだったのでしょうから、思わず笑ってしまいました。
そう、もしかしたら、問題もずっとあったのかもしれません。
でも、今は笑える。
それは、本当に幸せなことです。
前回の「私の脳神経と前庭神経」という記事では、平衡覚伝導路について生理学の教科書から引用させて頂きましたが、解剖学の教科書には、
D)平衡覚伝導路
平衡感覚は内耳の前庭器官で受容される。前庭神経は脳幹の前庭神経核に入り、前庭神経核からの繊維は大部分が小脳に入り、大脳皮質に向かう繊維はごく少なく、平衡感覚はほとんど意識されることはない。(東洋療法学校協会 解剖学p.134)
と、書かれています。
実際は、平衡感覚の問題ではないかもしれませんが、
「前庭神経核からの繊維は大部分が小脳に入り、」という箇所を目にしたとき、中高時代、練習してもしてもバレーボールが上手くならなかったのは、小脳が関係していたかもしれないなと思いました。
若い方にはよくわからないでしょうが、私の子供の頃はスポ根ものの最盛期で、特に女の子は「アタックNo.1」「サインはV」といったバレーボールものをテレビで見て育ちました。
自分も、あんな風になれると思っていたんですよね。
「おまえは運動神経が悪いから」と反対していた親も折れてバレーボール部に入れたのは、皆んなから1年遅れて中学2年の時。
努力は必ず報われると思っていましたから、朝練の前に、一人壁にボールをぶつけて練習していました。
けれど、全く上達しなかった…。
緊張の高まる試合で全く役に立たないのはともかく、互いに最もとりやすいボールを出し合うパスでさえ、練習の積み重ねで少しずつ上手くなっていったという実感さえありません。
私の場合、「体が覚える」ということが苦手だったようですが、それには小脳が関係していたのかもしれませんね。
テレビの主人公みたいになれるという夢から醒めると、俄然、練習がきつくなってくる。
それでも、途中でやめたら負け犬だと信じ込んでいましたから、高3の引退試合前にやめるという発想は全くありませんでした。
同期は私を入れて4人だけなのに、下級生にレギュラーの座を奪われて試合に出れない。
悔しくて、翌日、目が腫れあがるほど泣きました。
そうそう、マンガ雑誌に載っていたんだと思うのですが、「運動神経が良くなる」と謳っている広告を見つけて、この教材が欲しいと母に頼み込んだことがありました。
それなりの金額だったと思うし、そんな物を買ってもバレーボールが急に上手くなるわけはないって、誰だってわかりますよね。
それでも、母は了承してくれて、文字や図が印刷された結構厚い紙の束が届きました。
精神を集中させて点を思い浮かべて…何てことがいろいろ書かれていたように思いますが、だめだと諦めたのも早かったようで良く覚えていません。
昭和のあの時代に、心理的なことや脳のメカニズムをふまえた、運動神経を改善させる教材があったとしたら凄いですよね。
私の場合、何せ、強迫症状が真っ盛りでしたし、心理的なことも確かにあったと思います。
心身ともに常に緊張していたのですが、定期試験の最終日だったか寝不足のため余分な力が抜けていることを自分でも感じていました。
体力が持つか心配だったのですが、アタックの練習で軽々と飛び上がれるだけでなく、私が打つのを待っているかの様にボールが止まって見えました。
そんな経験は、あの1日だけです。
部活中に水分を取ってはいけないという考え方も時代とともに変わってきた様ですが、中高の部活に決まり何て無かったんですよね。
最初は上手くいかなくても諦めずに練習を続けて自信を得る人もいるでしょう。
でも、明らかに向かないとわかったらやめて、楽しいと思えることを探したって良かったんですよね。
私の場合、全く無意識のうちに、体を持つことは苦痛なことという概念を補強していたようにも思います。
部活で競い合い勝つことを学ぶのも良いでしょう。
でも、勝ち負け関係なく、体を動かすことを楽しいと感じられる、そんな部活があっても良いと思うのです。
何はともあれ、今も、そしてあの頃も、捻れた小脳も関係してか良いとは言えない運動神経を問題視して悩むことも笑っちゃうことも選べたのですよね。
9/9東京体育館にて
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