何度も書いてきましたが、
ベッセル・ヴァン・デア・コーク博士は、『身体はトラウマ を記録する』という本に、幼少期の深刻なトラウマ を抱える慢性的なPTSD患者18人のスキャン画像で、脳のある部位にほとんど活性化が見られなかったと書いています。
内側前頭前皮質、前帯状皮質、頭頂皮質、島は、まったく活性化しなかった(p.152)
と、ありますが、島(とう)という箇所を検索していて、今年の5月1日に放送されたNHKのサイエンスZERO「感情の科学 “体”とつながる心の世界」という番組に出会うことが出来ました。
アメブロで紹介して下さっていた皆様、有難うございます。
早速、オンデマンドで見ましたが、大切さを伝えきれずにいた内受容感覚について、とてもわかりやすくまとめられていました。
見て頂くのが一番かと思いますが、一部を引用させて頂きます。
感情を感じるときは体の中で起こっている変化を認識することがとても重要
脳と体の両方の作用によって感情っていうのは生み出されている
例えば動物に突然襲われたっていうシーン
まずその動物がこっちに襲いかかってきている状況を認識する
その後 扁桃体というところが動くと自律神経が興奮傾向になり心臓がドキドキしたり呼吸が荒くなったりとか
この状態を脳が認識
この認識をする場所が島皮質というところ
ドキドキを認識することにより自分はこの状況に怖いという感覚を持っていると(いうふうに説明するんです)
慶応義塾大学の梅田聡教授
(8分40秒頃から)
その脳の情報を体に伝えていくものが自律神経
自律神経は様々な臓器や血管の表面に張り巡らされている
この自律神経を介して伝わってきた体内の変化についての情報を取りまとめて感情を生み出すのに関わっているのが島皮質という脳の場所
司会者(10分頃から)
「内受容感覚」として元々知られているのは痛み、かゆみ
心臓がドキドキしている 呼吸が荒い お腹が空いている だるい 疲れている というのも体の情報
つまり 体がリラックスした状態じゃないという時に島皮質が動く
梅田聡教授(10分30秒頃から)
感情が生まれるのには、島皮質だけではなく脳の他の部位も関わっていますが、内受容感覚と感情の関係を知るのに、上記の説明はとてもわかりやすいですよね。
この「内受容感覚」を正しく認識することの重要性についても語られていますが、先ずは社会性との関係。
共感とは自分の体で相手の痛みや悲しみをシミュレーションし 相手の感情を感じとるものである
自分の体の中の感覚を正しく認識することは 社会性を築く上で欠かせないもの
武蔵野大学 今福理博准教授(15分頃から)
次に語られているのは、感情と慢性痛との関係。
(自分の)感情に気づくのが苦手な人は内受容感覚も低下しているため体内の小さな異変に気づくことが出来ません
そのため気づいた時にはすでに慢性化しているケースが多いのです
(21分30秒頃から)
こうした痛みに対して、九州大学病院では感情からアプローチしたり、内受容感覚に意識を向けるトレーニングを行なったりもしているそうです。
逆に感覚が敏感過ぎて不調をきたしているケースについても語られていますが、こちらは省略させて頂きます。
また、不安を感じやすいという症状に対し、指に付けたセンサーで心拍を測定しながら自分の心臓の動きに意識を向けるというトレーニングが紹介されています。
実際の心拍を確認しながら感覚のズレを修正していきます
これを1日30分程度1週間続けたところ
不安に関する指標が低減
さらに体の不快な症状も改善しました
この時、島皮質と脳の他の部分の結びつきにある変化が見られました
トレーニングの効果があらわれた人ほど、島皮質が活動するとき前頭前野も働くようになっていたんです
(26分15秒頃から)
前頭前野は感情をコントロールする機能があると言われています
ですので、島皮質と前頭前野の結びつきが強くなることで、感情を暴走させない、不安を増大させないで済む効果が得られるのではと期待しています
国立精神・神経医療研究センター 関口敦室長
(27分頃から)
内受容感覚という言葉は、まだまだ知られていません。
また、体と、強すぎる不安・恐れや精神的な問題が関係していると言われ始めたのも、つい最近のことです。
私が今回、島について調べ始めたのは、ネット上で、強迫性障害を患っている人の島である変化が生じているといった記事を見つけたからです。
もしかしたら、痛みなど肉体的なショックを伴うトラウマ が強迫性障害などの発症に関わっているケースも少なくないのかもしれません。
深刻なトラウマ で自律神経のバランスが崩れ緊張の続く体からは脳へとメッセージが送られ続けている。
それでも本人は、体からのメッセージとは認識出来ず、不安や恐れに苛まれ続けている。
気づいてもらえないマイナスの感情が膨らみ、激しい体の痛みとして表れる。
医療における研究が進み、上記の様な方々が、回復のためのトレーニングを早い時期から受けられるようになるといいですね。
「はるのいざない」は、リラクゼーションスペースです。
けれど、ここを見つけて下さる方は、様々な経験をなさった、自分に今、必要なものを選ぶことの出来る方々だと思います。
内受容感覚は、層になっているようにも思います。
例えば、自分の呼吸に意識を向けることを繰り返していると、ある日、突然、吸うことは出来るけれど吐くことはスムーズに出来ないと気づいたり。
あまりにも内受容感覚が低下しているときは、誰かに触れてもらい、その手の感覚や、それによって起きてくる体の変化を意識することから始めるのも良いと思います。
また、ライヒが「筋肉の鎧」と言ったように、特に肩周りの緊張が強すぎるときは、それによって伝達が妨げられている可能性もありますので、マッサージなどのボディーワークもお勧めです。
新しい発見の尽きることのない、自分の内側への冒険。
外側ばかりを見てきたかもしれませんが、始めてみては如何でしょうか?
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