クレニオセイクラルセラピーは、1899年にサザーランドD.O.(オステオパシー・ドクター)が発表した頭蓋オステオパシーの考え方やテクニックを取り入れジョン・E・アプレジャーD.O.がさらに発展させたものです。※

 

オステオパシー ホリスティックな視点から』という記事でも書きましたが、オステオパシーは、身体を一つのユニットとして捉えます。

もちろんクレニオセイクラルセラピーも、その原則を基本としていますし、頭だけの施術を行うわけではありません。

それでも、直接、頭に触れる時間の長い珍しいセラピーでもあります。

 

皆さんは、頭-脳という部位をどのようにとらえていますか?

今までは、人体のイメージと言えば、「脳が全体の司令塔となり、他の臓器はそれに従う」というものだった。ところが最新科学は、その常識を覆した。なんと、「体中の臓器が互いに直接情報をやりとりすることで、私たちの体は成り立っている」そんな驚きの事実が明らかになってきた。

2017年の9月から放送されたNHKスペシャル『シリーズ 人体 神秘の巨大ネットワーク』。

上記の言葉はプロローグのページからの引用ですが、わかってきてはいたものの、初めて聞いたときは、やはり衝撃を受けました

 

ましてや、昭和という時代に中高生活を送っていた私にとって、頭‐脳は絶対的な司令塔で、それが狂ってしまったということは、恐ろしい誰にも知られてはいけないことのように思えたのです。

そう、今でいう強迫性障害が、ストレスによる心の反応というレベルでは無いことは、自分が一番わかっていたのです。

それでも、もしあの頃、「脳の病気ですから、薬を飲みましょう」などと言われていたら、打ちのめされていたでしょう。

 

幸い、強迫観念や確認行動といった激しい症状は大学への入学を機に治まりはじめ、強迫神経症から強迫性障害へと診断名が変わり薬物療法が積極的に行われはじめる前には一段落していました。

 

「強迫症状を呈する病気の脳病変」等々の文章を目にするようになった頃には、余裕が出来ていましたが、それでも、いよいよ来たかといった感じでした。

 

頭‐脳も身体の一部という考え方は出来ず、その病は内臓のそれとは一線を画す特異なものに思えていたのです。

 

けれど、そんな私も、32歳の時にひとつの転機を迎えていたのです。

 

深部マッサージとクレニオセイクラルセラピーのセッションを7回ほど受けたことにより、いきなり自分の身体、特に胸から頭部にかけてがひどく居心地の悪い状態であることに気づいてしまったのです。

勧められたから受けただけで、身体には全く問題がないと思っていましたし、緊張のため両肩が上がっていると指摘されることがあっても、強い恐れを抱えて生きてきたのだから仕方ないと思っていました。

 

でも、半端ではない両肩の緊張を実感出来るようになったとき、それは、強迫症状が出始める前からそこにあったとわかったのです。

 

解剖学の知識がありませんでしたから、何がどうなっているのか全くわかりませんでしたが、窮屈で不快な身体の状態と、それを感じられずにいたということが、強すぎる恐れだけではなく強迫症状の出現と関係していたに違いない!と、直感的に思いました。

 

身体の状態と脳の病に関連があるなんて話は聞いたことがありませんでしたから、かなり興奮しましたし、あの時生まれた好奇心は今も色あせていません。

 

頭‐脳も、それだけを切り離せるものではなく身体の一部に過ぎない…。

マッサージとクレニオセイクラルセラピーのおかげで、そんな視点を持てるようになってきたのです。

 

ちなみに、光田秀先生の著書『エドガーケイシー療法のすべて4』には、

(前略)アメリカでケイシー療法の中でも精神疾患をメインに研究しているデヴィッド・マクミランという研究者がいて、彼がリーディングを詳細に研究した結果、今日の医学的基準に照らせば、140人は統合失調症の範疇に入ると考えました。そして、それらのリーディングから、統合失調症の原因を次のように分類しました。

 

原因として最も頻繁に指摘されたのが「脊椎の障害」です。これが28%あります。現代医学では、統合失調症は、てんかんと同様に脳の病気だと考えられています。ところが、エドガー・ケイシーにによると、脳にトラブルがあるケースは非常に少ない。では、どこに原因があるかというと、まずは背骨の障害。その次に多く指摘されたのが内分泌腺の障害で、26件あります。それ以外には、…(後略)

と、書かれています。

 

残念ながらこの本に強迫性障害については書かれていません。

でも、私の場合も、上部頸椎が詰まり 、蝶形骨をはじめ頭蓋骨全体に歪みの生じた状態でずっと生きてきました。

残念ながらいつの間にか元の状態に戻ってしまいましたが、33歳のとき、アルーンコンシャスタッチの創始者であるアヌブッダ氏のセッションで上部頸椎の調整をしてもらった翌日、頭頂骨が持ち上がり、左側のおそらく頭頂骨と側頭骨の間に隙間が出来、液体が溢れ出てくるような感覚を覚えるといった何とも不思議な体験が出来たことで、それがよくわかるのです。

 

もっとも、こんな状態に気づく前に、激しい強迫症状が治ったのも事実です。

 

けれど、脳画像等で問題が見つかったとしても、脳だけは特別なわけではなく他に原因がある場合も充分ありえます。

そして、脳に変化が生じてしまったら服薬等で治療しなければ絶対に元に戻らないかと言えば、私のように、自然とかなり良くなってしまうこともあるのです。

次回書いていきますが、様々な意味で受信機といわれる脳は、触れられることへの反応も他の部位以上にあるように思うのです。

 

とは言っても、もし一人一人、人生のテーマがあるとしたら、私の場合、頭‐脳の病というのはその一つなのでしょう。

 

後に進行性核上性麻痺と診断された母の認知症の進行を知ったときは恐くてたまりませんでした。

そして、髄膜炎を患い入院していた姉を見舞いにいったとき、一時的ではあったのですが、病院の廊下を往復する彼女の、宙に浮いたそこにいないことがわかる目を見てしまった日は、悲しみと恐怖で泣きました。

 

上記の『エドガーケイシー療法のすべて4』に出てくるような奇跡は起こりませんでしたが、頭の病が、大切な人を別人にしてしまうかといえば、そんなことはなくて、本質は変わらないと知ることが出来ました。

 

それでも、振り返ると、母を看取りマッサージ師の養成学校に入ってから、頭-脳についてどこか避けてきたようにも思います。

 

けれど、「たかが頭」と思おうとしても、やはり「されど頭」。

特別な場所であるのは間違いありません。

 

『たかが頭、されど頭 クレニオセイクラルセラピーへの思い-2』

 

 

※『オステオパシーとは何か』(初版1992年 編集:日本オステオパシー学会、代表執筆者:平塚晃一先生)を参考にさせて頂きました。

 

 

クレニオセイクラルセラピー はるのいざない

 

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