居酒屋でトイレに行って自分の席に戻れなくなり、私の席はどこでしょう?と、店員さんに聞いたことがあります。

 

酔っていたからというわけではなく、かなりひどい方向音痴です。

 

「強迫性障害 わかっちゃいるけどやめられない症候群」(久保木富房氏と不安・抑うつ臨床研究会編 日本評論社刊)という本の中で久保木富房氏は、

「(前略)強迫性障害の患者さんは記憶したものを脳のなかにしまいこんでいる能力(記憶保持)には異常がないといえます。しかし、強迫性障害の患者さんは図形のような視覚的記憶を脳の中から取り出す作業(想起)になんらかの欠陥があるといえます。(後略)」(P.17)と、書いていらっしゃいます。

 

方向音痴だけではなくて、他の人には簡単らしいが私には難しいといったことが確かにあります。

 

でも、強迫性障害の症状が最も激しかったときから、自分はどこもおかしくないと思い込もうとしてきたし、長い間、必死になって皆と同じだということを証明しようとしてきたのです。

自分の脳に欠陥があるなんて絶対に認めたくないことでした。

 

ですから、10年ほど前にこの本を買って上記の箇所等を読んだときも、強迫性症状が治っている自分には関係ないことと流したのだと思います。

 

けれども、、強迫性障害を脳科学的に見直してみたいと思い、もう一度、読み返している今、あらためて、自分の脳には他の人と違うところがあるのだろうと感じています。

 

それを認めることに否定的な感情が伴わないのは、同年代の友人と「人の名前が出てこなくて」と笑い合える歳になったから。

 

そして、宇宙は必要のないものなど創らないという言葉が腑に落ち、生産性重視の社会が求める人間性というものが、個々人の存在価値とは全く関係ないということを受け入れられたからなのでしょう。

 

思い返せば、強迫性障害を発症する前から集団についていくのは難しいところがありました。

私立の小学校に入学したとき、一生懸命やっても、なかなか皆のスピードについていけないという現実にぶつかりました。

 

そして私は、本格的に自分を否定しはじめ、皆と同じになろうとあがきはじめました。

 

皆が互いに縛り合っているだけで、何が出来るとか出来ないとかで各々の存在価値が決まるわけではないとわかっている大いなる自分の本質、それとはぐれ、再びそこからエッセンスを受け取れるようになるまでには本当に長い月日がかかりました。

 

全てが計画どおりだったようにも思いますが、はぐれたことが病の発症と関係していたとも感じます。

 

この社会で生きているのだから、この社会に必要とされる人間にならなくてどうやって生きていくのだと思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

でも、何かしらの障害があったとしても、そのことで自分には価値がないと思い込み何とか他人と同じになりたいと我武者羅になるのと、そのことにとらわれずハートが望むことを選択していくのとでは、道の険しさが違ってきます。

 

そして、前者には信じられないことが、後者に起きることもあるのです。

 

私は、自分の体験してきたことを必要としてくれる人に伝えたいと思っています。

ですから、ブログを書きたいと思っています。

 

けれど、実は私の場合、仕事上の短い報告書でさえ、他の人には不思議に思えるほどの時間がかかってしまうのです。

それでも、かまうものかと思ってきました。

ですが、老眼も加わり、もともと弱い目が、長時間パソコンに向き合うことに悲鳴を上げ始めています。

 

これは、もう少し短い時間で文章を書きあげるべき時が来たのだと感じています。

 

先に、

「強迫性障害の患者さんは図形のような視覚的記憶を脳の中から取り出す作業(想起)になんらかの欠陥があるといえます。」

という久保木富房氏の文章を引用させて頂きましたが、先生は、

 

「(前略)強迫性障害の患者さんは言葉の記憶能力には異常がないわけですから、鍵をかけたときに「私は鍵を確かにかけました」と声を出して、自分で自分に言い聞かせ、「鍵をかけた」という行動の視空間的な記憶を言語的な記憶に転換し、記銘・保持・想起を正常化し、鍵をかけたことをきちんと意識することによって、鍵かけ行動を繰り返す必要をなくすることができるかもしれません。(後略)」(p.18)

とも、書いてくださっています。

 

脳科学に偏見を持ってきた私ですが、やりたいことをやり続けていくために、その力を借りようと思っています。

 

 

 

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