認知の手続きには、

①通常の認知の手続き(民法第779条•戸籍法第60条)

②オプション的な認知の手続き(民法第791条第1項•戸籍法第98条)

の2つがあります。

 

「①通常の認知の手続き」では、

「認知された子は母の戸籍に入ったまま」の状態で、

「母の氏」を名乗っています。

認知されても、「認知された子は、父の戸籍には入らない」

ですし、「認知をしてくれた父の氏」も名乗りません。

 

「①通常の認知の手続き」が完了すると、

子が登録されている「母の戸籍」と、子が登録されていない「父の戸籍」には、

それぞれ認知に関する事項が記載されます。

母の戸籍に入っている子の身分事項欄に「父に認知されたこと」が記載されます。

認知をした父自身の戸籍の身分事項欄に「子を認知したこと」が記載されます。

ここまでが「①通常の認知の手続き」です。

 

ここから先は「②オプション的な認知の手続き」です。

認知の手続きが済んだ後で、「追加する手続き」です。

「追加する手続き」は強制ではありません。

認知の手続きが完了した後で、もう1手間をかけたい人だけが行う手続きです。

 

具体的には、「認知された子が父の戸籍に入る」

なおかつ「認知された子が父の氏を名乗る」という手続きです。

認知という手続きが済んだ後、「認知された子」が追加で手続きを行います。

具体的には、「家庭裁判所に子の氏の変更許可の審判」を申し立てて、許可をもらいます。

許可をもらった後、審判書の謄本を添付して、「本籍地の市区町村の役所」に入籍届を提出します。

 

そうすると、父の戸籍に「認知された子」が入ります。

「父の戸籍に入る」ということは、「認知された子」が「父の氏を名乗る」ということでもあります。

「認知された子」は、父の戸籍の末尾に記載されます。

父の戸籍の末尾に「認知された子」の個人欄が新たに設けられるのです。

子に対して「一人分のスペース」とも言える個人欄が割り当てられたのです。

 

父に嫡出子が既にいるのならば、嫡出子の個人欄の末尾に「認知された子」の個人欄が追加で記載されます。

父にとっての「嫡出子」と「嫡出子ではない子(認知された子)」が、父の戸籍の中で対等に、個人欄を設けた状態になったのです。

以下は注意点です。

 

①の手続きだけでは、父の戸籍に「認知された子」の個人欄は、設けられません。

①の手続きだけでは、父の戸籍の「父の個人欄」の中の身分事項欄に「子を認知したこと」が記載されるだけです。

「父の個人欄」の中の身分事項欄の記載を読んで、初めて「子を認知したこと」がわかるのです。

 

つづく…