仕事が終わってまーなの待つおうちへ急ぐ僕。

帰り道…二人で食後に食べようとシュークリームなんか買ってさ。

いつも通りの日常。

仕事が終われば頭の中にはまーなの事だけ。

いや…仕事中でも頭の中はまーなで一杯だった。そんな毎日で。


「ただいま!」

「おかえり!」


本当にいつも通りだった。


リビングのテーブルにバックと携帯おいて…僕はそのままシャワーへ。

まーなは晩ごはんの仕度をしてて。

僕にとっては複雑な時間帯だったシャワータイム。

何が複雑かって…

自分の身体を自分で隅々までチェックする時間でもあったから。

女性化し始めた当初ではドキドキしてた身体チェック。

この頃にはもう慣れっこで。ワクワクしてる部分すらあった時期。

あれ?おっぱい少しおっきくなったかな?とか…。


普段通りにシャワーを浴び終えてリビングに戻る僕。

髪をアップした状態で頭にタオル巻いて。バスタオルは胸から巻いて。


「はるかりん…もう本当に女の子だね…」


台所からまーなが僕に話しかける。

僕はお風呂上りの姿がちょびっとセクシーだったかな?とかノンキに構えてた。

だけど…ふと、まーなの方に目をやると…何故か背中を向けたままだった。

僕が、あれれ?って思ってると…まーながこちら側に体を向けた。

うつむいたままで。


泣いてる?!


僕は状況がまったく飲み込めず…何にも考えず言葉を発した。


「まーな?どしたの?泣いてるの???」


すると、間髪いれずまーなは、、


「当たり前じゃん!!泣くに決まってるじゃん!!!」


僕はぜんぜんわからない。何がなんだかサッパリ。

でも、その理由を悟るのに大した時間はかかんなかった。


まーなの手には僕の携帯電話。開いた状態で握り締めてた。

もしかして…。僕の中ではある事が思い浮かんだ。

そう……直樹くんの事。


「ごめん…。勝手に携帯見たのは謝るね…。」


泣きながらまーなは僕に謝りはじめた。謝る必要なんかないのに…。

僕とまーなはお互いの携帯にロックをかけない約束をしてたから。

見たいときにお互いの携帯を見てもOKってしてたから。


僕がシャワーを浴びてる時に彼からメールが入って…

気になったまーながメールを読んでしまった…


僕は黙ったまま…そっとまーなから携帯を返してもらって。

彼からのメールの内容を読んでみた…。


[こんばんは!この間はありがとう!すげー楽しかった!(^^)/

今週末って時間ある?もし良かったらドライブでも一緒にどうかな?

今度はお酒抜きのシラフな俺を見せたいからさ!連絡待ってるね!]


最悪だった。この内容から想像すれば……。まーなが泣くの当然だった。

しかも…ご丁寧に彼は自分の写メまで添付してくれてて。


「ごめん…。」


思わず僕からでた言葉。もうどうしていいのかわからなかった。

言い訳をすれば余計怪しくなるし…黙ってれば誤解すら認めてる事に…。

でも、頭の中は真っ白で…。ぜんぜん頭が回らなかった…。


「当然…なのかも。はるかりん。」

「身も心も女の子になる事をあたしが望んだんだもん…」

「本当の女の子に近づけば近づくほど…当たり前なのかもしれないね…」

「男の子を意識して…恋して…結ばれる…当然の流れだよ…」

「あたしが怒っちゃいけないのかもしれない…」

「ぜんぶぜんぶ自分のせい。はるかりんは悪くないよ…ごめん…」


僕は、まーなの言ってる事が理解できなかった。

いや、、…………………………………………………できてた。

でも、なぜかなんにも言えなくて…。言葉が出てこなくて…。


「経験してみたい?」


僕は、固まった。まーなの言いたい事がすぐにわかったから…。


=女の子として男の子から愛されてみたい?=


思わず僕はその場にしゃがみ込んじゃって…。涙が出てきて…。


「やっぱり…。だよね…ごめん…。」

「苦しめてたんだ…あたし。はるかりんの事を苦しめてた…。」

「いつから我慢してたの?いつから男の子に興味あったの……?」


違う…違うよ…そうじゃない…そうじゃないのに…。まーな…。

ただただ…涙があふれてきて…止まんなくって…。

誤解はどんどんと深まってく一方なのに…僕は喋れなかった…。


その夜…結婚して初めて、、僕とまーなは別々に眠る夜を経験した。