夏鈴ちゃんとする時は、誰とするよりも気持ちよくて悲しかった。
いつか私の元から消えてしまいそうで怖かったから。
だから依存し過ぎないように、、期待してしまえば離れてしまった時に耐えきれなくなる。
別れてしまっても悲しくないように、私は別の男と身体の関係を持っていた。
でもそこで得られるのはただの罪悪感しかない。
いつものように家に呼び込み行為に及んでいると家のインターフォンがなった。
藤「れな?」
まずい。夏鈴ちゃんだ。
私は急いで男にクローゼットへ隠れるよう指示し、衣服を全てベッド下に隠した。
数秒後、夏鈴ちゃんは慌てた様子で寝室まで駆け寄ってきた。
藤「れな!!」
守「あれ、?夏鈴ちゃん。」
夏鈴ちゃんの目は充血しており今にも涙を流しそうだった。
私の返事を待つ前に首筋に顔を埋め目一杯に空気を吸い込んでいる。
もうバレていることは分かっていた。
藤「体調、大丈夫?」
守「うん。それより連絡してよ〜びっくりしたじゃん!」
藤「ごめん…あれ?なんで下着なん?」
分かっていて聞いてるのなら正直に答えてみようか。いや、答えて何になる。クズな私の口から出てくるのは歪みきった嘘だった、
守「熱くて……夏鈴ちゃん、?どうしてそんな悲しそうな顔してるの、れなが居なくて寂しかった?」
あぁ、情けない。
こんなにも恋人が悲しんでいるのに。
藤「…」
守「泣かないでよ、」
藤「ウゥ、」
抱きしめて慰める。慰める権利なんて私にはないのに、そうすることしか出来ない。
藤「夏鈴のこと…好き?」
守「ん?大好きだよ。」
藤「じゃあ今から夏鈴に抱かせて。」
守「なに?今日はやけに積極的だね。」
藤「別に。」
そうしていると私は強引にベッドへ押し倒された。夏鈴ちゃんの目は今まで見た中で1番、私を求めているように見えた。
完全に溺れた。
貴方の愛に。
貴方の細くて長い指が私の中に入ってくる感覚だけで果ててしまいそうで、必死に背中に爪を立てる。
もうなんにも考えられなくなって頭が真っ白になった瞬間、私の鎖骨付近に強い痛みが走った。
夏鈴ちゃんが噛み付いたのだ。
血が滲み深い噛み跡が付いている。
そのまわりに付着している血液は夏鈴ちゃんが丁寧に舐めとった。
次の日から私は男の連絡先は全て消し関係を絶った。
数ヶ月経っても私のこの傷は変わらず付いている。
変わったことと言えば私の元から夏鈴ちゃんが消えたこと。
でも不思議と昔のように怯えた感情は私にはなかった。
また何処かで巡り会える気がしたから。
だって運命の赤い糸ってそういうものでしょ?
だから私は、残されたこの真っ赤な愛を抱えて生きていく。