高校2年の夏、ひいちゃんに出会った。
お互い一目惚れで、気が付いたら私達は求めていた。
そしてその年の冬、一線を超えてしまった。
付き合っている訳でもなく私達はただの友達
だからある意味一線を超えてしまったことに関してはそこまで問題視していなかった。
私は。
森「もう、友達には戻れないかもしれない。」
田「え?」
森「私、保乃ちゃんが好き。」
田「付き合いたいってこと?」
森「うん。だから今日、本当はしたくなかった」
田「……」
森「恋人として保乃ちゃんとしたかったから。」
田「ごめん、保乃は…」
森「…分かってる。初めから保乃ちゃんは私のこと友達だって思ってるんだよね?」
田「そういう訳じゃ、」
森「お願い。保乃ちゃん、これで最後にしよ?今日で会うのおしまい」
田「それは嫌や、」
森「これ以上保乃ちゃんといるとおかしくなりそう。」
田「保乃はひいちゃんとおりたい。これからもずっと」
森「じゃあ私と付き合える?」
田「それは…」
森「それが答えだよ。もうお互い求めすぎちゃダメなの。好きの違いにこんなにも苦しめられるなんて思ってなかった。」
田「初めてひいちゃん見た時、運命やって思っとったけど、違ったんかな。」
森「きっとそれは運命だと思うよ。だから私は今日ほど運命を憎んだ日はない」
田「……」
森「ありがとう保乃ちゃん。さよなら」
そう言って笑顔をこぼしたひいちゃんは保乃の前から消えた。
藤「2人って喧嘩したん?」
田「え?」
藤「最近一緒におるとこ見かけんから」
田「いや、そんなことはないけど……」
藤「……」
ベシッ
田「いたっ!」
いきなり夏鈴ちゃんにデコピンをされた。
藤「テンション低すぎ。話せるんなら話して?力になるから」
田「ありがとう。でもほんとに大丈夫やから」
藤「分かった。じゃあまた話せるタイミングで話して」
田「うん。」
やっぱりいきなり関わらんなったら皆不思議に思うよな。
でもひいちゃんとは目も合わへんし…
学校でたまに見かけることはあったけど完璧に避けられ続け、結局何も話さないまま私達は卒業した。