後編、パリーグ編です。

  球団別ドラフト採点 【パ】


 北海道日本ハムファイターズ 80点


​大卒中心でもミーハー心は忘れず


「その年の1番良い選手を狙いに行く」…という、有名すぎるハムのドラフトキャッチフレーズ。今年、その枠に選ばれたのは、西館(中央大)投手でした。


伝説の菅野ドラフト以来?となる、読売とのくじ引きタイマン対決。ここでは痛烈にリベンジを食らい、ハズレ1位の前田(大阪桐蔭)投手抽選でもハズレ。


結果的には、ハズレハズレ1位で細野(東洋大)投手を(3度目の抽選で)獲得。制球力は暴れ馬、課題だらけの素材型ながら、積んでいるエンジンのデカさは今ドラフトでもトップクラスの大型左腕。…を、この位置で獲得できた事は不幸中の幸い。時間はかかっても、その間ずっとポジれる素材なのは間違いなく、この手のタイプをある程度待てるハムとは、双方にとって良いマッチングだったのでは。


全体14番目となる“2位指名”では、進藤(上武大)捕手を。この2001年生まれ世代は、2019年時の即戦力ドラフトの弊害をモロに受けている世代で、今ドラフト時点での世代保有数はゼロ。


高校生投手の豊作年であったにも関わらず、高卒選手は内野手の上野選手(育成落ち→オリックス育成)のみで、他を高卒社会人投手や大卒投手で固めた当時の『即戦力ドラフト』から4年を経て、当時の判断がかなり微妙だったように思える出来栄え。


2位の進藤捕手は世代屈指のみならず、近年でも屈指の捕手評価。当然、伏見ーアリエルの併用路線が機能しなくなる頃には、正捕手を勝ち取って欲しい存在。ただ、高卒5年目の田宮捕手もシーズン後半に輝きを見せたり、同じ上武大出身の先輩捕手である古川選手の(複雑な)心境も考えれば、手放しでは喜べないような気も…。


まあ、それでも全体14番目の2位指名で捕手を固めたので、来年以降のドラフトでは、獲ったとしても下位の高校生ぐらいでバランスがとれる良い形には整ったかと。


更に2019年ドラフトの穴を埋めるかのように、3位でも大学生外野手の宮崎(山梨学院)選手を指名。今シーズンに大ブレイクした万波よりも歳下の右打者がいないところを、この宮崎選手と、5位の星野選手で二重に固めたのは、補強ポイントに見合った判断。上がしっかりしている内に次(星野)を育てる、タイプの違う守備型(宮崎)を加えて厚みを持たせるという意図は感じるところ。


内野手に左打者が多い関係か、外野手は右打ちでできるだけ三拍子揃った大型の選手を狙うという明確な姿勢は理解できる。


4位では、右の“攻撃力全振りタイプ”である明瀬(鹿児島城西)選手を。こちらはマニアの評価とプロの評価が乖離していたようにも感じるものの、巷では上位指名も囁かれていたスラッガータイプ。(一応)内野手登録という事で、ポジション的にも2歳上の有薗選手とキャラが丸被りしているのは気になるところだが、切磋琢磨してくれればという意味の指名か。


投手力は比較的安定していて、得点力の低さで星を落としてきた印象もあるシーズンだっただけに(1位以外は)野手ドラフトに振ってきたのもわからないでもないが、時間のかかる捕手(2位)と守備型外野手(3位)というチョイスは即効性という点では微妙。


野手はとにかく年齢層が若いので、一軍は既存戦力の底上げで対処しようという事なのかもしれないが、他球団なら野手のコアである万波(23歳)と清宮(24歳)のところに投手を分厚く補強していくのが定石なのではないかな?という気もするので、2位・3位指名の立ち回りで違う世界線があったかもしれない所を考慮。


採点としては無難な80点とした。


勿論「あの時、進藤を獲っておいて本当に良かったね」という世界線も全く否定はしない。


別枠で、台湾の超大物高校生を育成(外国人枠)指名で獲得しているので、そこも足せば90点でもいいのかもしれないが、あくまで日本人枠対象の通常ドラフトを採点するとなるとこれぐらい。


何年までなら連続最下位でも許せるのだろうか…という疑問が生まれるぐらい、来季にはあまり(上積みとしての)影響が無さそうなドラフト内容ではあるので、その辺りはどうしたものか……。気長に2年後あたりでAクラスを狙うというなら、全然悪くない。


来年は『宗山ドラフト』と巷では呼ばれているものの、遊撃手“も”確かにハムのウィークポイント。根本と同世代となる左投手は華麗に干して、篠木投手などの剛球右腕にいくか、それとも外野手含めた野手に特攻するかはみどころである。


 埼玉西武ライオンズ 90点


投手は良しも、野手は深刻


三球団競合で、一番人気の大卒左腕・武内(國學院大)投手を獲得。2位では大卒右腕の上田(大商大)投手で畳み掛ける。この2人は1年目から上で勝負できそうな完成度の高いタイプ。エース高橋光成も今オフのポスティングは見送られ、来季も『投手力のライオンズ』は健在と言えそう。


3位以降も投手中心。3位では高卒左腕四天王の杉山(横浜)投手、4位では右腕の成田(弘前工)投手と、次世代のプロスペクトを左右で獲得し、更なる投手補強に余念がない。


即戦力では、5位で宮澤(独立・徳島)投手、7位で糸川(ENEOS)投手と、経験豊富な今井世代の右投手も2枚獲得し、更に厚みを増した。


ただ、野手にコアの選手がいないというのは深刻極まる状況。いつまでも栗山・おかわり、源田に外崎といった山賊打線の生き残りに頼っていられない時期が直ぐにくる。ただでさえ強くない攻撃力の更なる低下を招けば、いかに強力投手陣を揃えたところで厳しい。


中でも、28歳以下の若手野手が壊滅的。2020年1位の渡部内野手、2022年1位の蛭間外野手がどこまで早い段階で数字を作れるようになるか。


そんな中、本年は6位でスケール“は”どデカい村田(皇學館大)内野手を獲得したものの、地方リーグ出身という事で即プロのレベルに対応できるかは未知数。まだまだ全体としてのコマは足らない。


投手の次世代コア層である、右の平良・左の隅田がFA権を手に入れる前までに、野手の陣容を整えて上位を狙いたいというのが算段なのだろうが、なかなか野手は1年〜2年で激変しそうもない雰囲気ではある。


せめて(スケール感のある)高校生野手を1人でも間に挟んでいればなあ、と言ったところがマイナスポイント。育成では投手も野手もバランス良くとってはいるものの、よほど化けない限りは一軍戦力で抜けた存在にはならない時代。支配下までこぎつけたとて1.5軍戦力を大量生産しただけでは上位進出は難しい。


来年は、ギリギリ繋いだ明大ルートを駆使して宗山遊撃手に特攻するか、今年できた(作った?)大商大の流れで渡部外野手にいくか。いずれにせよ、2020年でイマイチ不発だった野手ドラフトを取り返しにくるものとみるが、はたして。


富士大に候補が多い珍しい年になるが、監督が代わっている(のとYの件でキレた感も若干ある)ので以前ほどの影響はないのかもしれない。その線もなくはないが、中位ならあるかもなぁというぐらい。


 東北楽天ゴールデンイーグルス 68点


親会社も球団も大丈夫?


1位入札は、気前よく人気どころの常廣投手にいってハズレ。続いて高校生左腕の前田投手に変更も、またもや抽選は当たらず。2回くじをハズしたところで、大卒左腕の古謝(桐蔭横浜大)投手を獲得。


20年ドラ1の早川を筆頭に、右はともかく左はなかなか素材をモノにできない楽天だけに、この指名がどう転ぶか。その後、古謝投手が活躍するかどうかの結果論は一旦置いておいて、楽天自体の選択としては2度外している事実を捉えて、ここはマイナス評価とするのが妥当。逆にこれで「自己評価100点満点です」とか言っている球団があるなら頭がどうかしている。誰でもいいんかい、と。


2位・3位では、高校生の大型右腕を連続指名。6位の中島(青山学院大)外野手を除いて、4位〜8位では、そこまで有名どころではない地方系の選手を獲得。良くも悪くもしがらみのないルートからの獲得をここ数年あえて選んでいる気もするのは、あの問題とも若干リンクしているのかも…と思ったり思わなかったり。


しかしながら、アマチュア時代に主だった実績がない、ゴリゴリの素材型の成功例がほとんどない球団。おまけに、外様以外でマトモな右打者が全くと言っていいぐらい育たない育成環境。毎年、素材型の右打者を取り続けているものの、浅村が衰える前に1人でも育ってこないと球団創設期並の暗黒時代が到来する可能性も。


今年は、育成ドラフトに参加しなかったのも色々と引っかかるところもある。


親会社が楽天モバイルと心中しかねない大勝負に出ており、数千億の巨額赤字も計上。オーナーも野球への関心は薄く(それどころではないのかもしれないが)最悪、球団の身売りもあり得る状況。


羽振りよくブイブイ言わせていた時期にFAで獲得してきた主力選手達も、軒並み30代半ばを迎え、先発投手陣はそろそろピークを過ぎた感もある。(特に◯ーくん)


加えて、来季は守護神・松井裕樹もメジャー挑戦で抜ける可能性は大で、戦力は穴だらけ。


完全にチームとしては過渡期といえる。


となると、その手の話に敏感な有名強豪ブランドチームが、環境・育成面・体質などを総合的に判断して選手を供出するのかは微妙なところ。


今回指名されたのも、監督問題でゴタゴタしていた滝川二・東海大菅生、同校初のプロ野球選手となる日本ウェルネス沖縄、日本ウェルネス宮城、氷見と8名の指名中5人が高校生で、いわゆる『強豪校』ではない、地方の公立や新興勢力、強豪だけど内部がゴタゴタしていたタイミングの間隙をついた(足元を見た)指名にも見えてしまうところも。


はたして、来年以降はどんな内容の指名となるだろうか。今回の騒動もあり、来年以降は確実にスカウト陣の苦労は増すだろう。


球団内部もGM制で二転三転したりとかなりのバタつきで「他球団がトレードを申し込もうにも窓口がわからない」なんていう記事も、ネットに転がっていたぐらい。


親会社があんななので当然FA補強もやれず、新外国人獲得も運用も例年うまくいっておらず、そもそも当たり外国人自体が球界では激減しており、期待薄。ドラフトも機能しないとなると、戦力は落ちる一方。


東北の希望として、何とか持ち直してもらいたいところだが、本当に明るい話が見当たらない。ファンの方は、本当に気の毒。


まあ、あの件で『雨降って地固まる』的に風通しが良くなり、27歳以下の投手陣が軒並み(謎の)覚醒をして一気に世代交代の投手王国化する可能性もゼロではない。そこに一縷の望みをかけるしか。なったらなったで、それも「今まで何だったんだよ」と笑うしかないけど。


来年のドラフトの事などフロントが考えられる状況ではなさそうだが、イメージ的にも組織の在り方としても、超がつくようなアマチュアの名門からは「ソフト出禁」とされてもおかしくなさそう。割と素材型の高校生や、地方の大学生を入札でいれてきたら「ああ、そういう事なのかな…」と察する。数年後は知らんけど、クリーンになった証明を何年かかけて行わないとなかなかこういうのはね…というナーバスな話題。


ただ、中島(青山学院大)選手を6位で獲っておいた事が、今後(来年)活きてくる可能性も否定はしない。一番欲しい(であろう)ピンズドの外野手スラッガーは、指名するだけならできるかもしれないし、やっぱりネガティブ要素が強すぎてできないかもしれないし。


結論、何だかなあと。

何かため息しか出てこない。

息が白い。ハァ。


 福岡ソフトバンクホークス 85点


一部、失敗を認めて路線変更



ここ10年ぐらいの傾向とは一変。


どれだけ批判を浴びようとも『素材型高校生偏重の上位指名路線』を一貫して続けてきたソフトバンク。それを180度覆しての、(ドラフトマニアが指名していそうな)ミーハー路線への路線変更。間違いなく無難で、失敗のリスクは低いやり方。だから、ほとんどの球団はそれでいくわけで…。支配下に関しては、それがおそらく正解。ただし、それを認める事はほぼほぼ機能していないといっても過言ではない【四軍制】の失敗も認めるという事。そこに関しては大幅な変化はなく、例年通りの8名を指名。一気に全てが変わらないとはいえ、育成制度を成功させるなら『支配下枠の確保』は必須だと思うが。


20〜30年前の野球人口ピーク時ならともかく、これだけ野球人口が激減してきた今ならこそ、NPBジュニアから始まる野球エリート街道を常に世代トップで突き進んできたような素材でいくのが間違いは少ない。柳田や小笠原みたいな野手が転がっている可能性は低い。


ただし、投手は別。良い指導者、トレーナーとの出会いで二十歳を過ぎてからでも一気に化ける世界。伸びしろよりも、ドラフト直近の評価でミーハー的に獲得し、使って壊れたなら一回は治るまでリハビリ。その間は、また違う新しい靭帯でイニングを埋めるというような時代に突入している。まさに消耗品。


入札では、ここ数年ではなかなかなかった“大学生左腕の一番人気”に入札特攻。その武内投手はクジで外したものの、ハズレ一位で、これまた3球団競合となった前田(大阪桐蔭)投手を獲得。出力よりはテクニカル面で勝負するタイプで、怪我さえしなければ大ハズレはないであろう世代No. 1の優良物件。


全体20番目となる2位では、大卒右腕で先発型の岩井(名城大)投手を。4位では、村田(明治大)投手、6位で大山(東日本国際大)投手と同世代3枚を重ねがけ。獲れる順位の中では最適解に近く、高卒時に確保できなかった投手豊作世代を厚めに確保。早い内から戦力化しそうな指名内容でコレは良い選択かと。


5位の大卒社会人・澤柳(ロキテクノ富山)投手という選択が、唯一旧体制の残り香のような指名。在籍中、一度も一軍に上がってこないという大ハズレの懸念もないだろうけど、年齢を考えても、中継ぎタイプなのを考えても、今いる2〜4軍の育成選手にこれ以上の投手が1人もいないのか?と思うところも。


そしてこちらも深刻な野手。得点力不足、ひいてはポイントゲッターの右打者がずっと課題であるところで、3位で廣瀬(慶應義塾大)内野手を獲得。タイプ的にも、補強ポイント的にも、(ズブズブになってきている)ルート的にも、順位的にも合っているピンズドの指名。後は結果(本人と現場)であり、目利きの問題。


7位の藤田(福岡大大濠)捕手は地元枠?込みでの支配下指名かと思うが、一人歩きしている強肩評価だけではない、打撃含めた総合力の魅力もあり。ポジション、タイプ的に本人の頑張りと関係ないところで育成に落とされたりしなきゃいいけど…と思うところもあり。


本来、一番働いてもらわなきゃいけない(来季)25歳〜30歳の層が激薄で、それより下の世代を含めても野手の栗原ぐらいしかコアがいない悲惨な状況。


投手も野手も、その下の世代で一気に建て直したいという意図は感じる指名内容で、運用バランスがとれた他の球団ならば90点でもいい内容。


ただし、ホークスに関しては話がやや異なる。大幅に下の人材を抱えていて、そこを機能させる為には上の(競争で勝ち取る為の空けておく)枠は常にある程度必要。そこに蓋をしたり、モチベーションを下げるような、過剰な外国人選手の獲得とFA補強。その辺りも事情としては密接に絡む。


特に、ホークスは外国人の年俸が他球団(相場)よりもお値段以上。そこに過去のメジャー実績だけで、大した成績も残さない数億円の選手が名実共に支配下枠の蓋をしているのだから、育成選手のやる気なんて起きるわけがない。


近藤健介並に初年度から異次元の活躍をする高年俸外様がFAで入ってきたとて、そこは生え抜きも納得するしかないのだけれど、働かない外国人がチーム総年俸の半分近くも持っていく状況が非常にマズイのは明白。そこを切り崩して、活躍した生え抜き日本人にしっかり還元するニンジンの使い方にした方が良いのではないだろうか。


サファテのアレがケチのつけ始めだと思うが、オスナの年10億(以上?)なんてのは論外。こんなアホなことをしているうちは、黄金期は戻らないかなと。外国人の気質的に、そんな条件の4年契約なんてもらったら絶対にフルで働かない。働くわけがない。そして全体のモチベーションを下げる。まさに、目に見える地雷。


ドラフト採点にこれらの要素を加える事はないが、これらの要素がどんな良い素材でも殺すという事実は無視できないところ。


育成3位・佐倉内野手、同4位・中澤内野手、同6位・藤原投手など、一昔前なら支配下下位で指名されていそうな面白い素材もいる。1位の大泉外野手のロマンぶりも素晴らしい。今いる育成の面々でも環境で開花していない選手も多数いるだろう。


指名した以上はしっかりと出口(ダメだった時のグループ雇用だけではなく)も用意して、育成の責任もしっかりと果たしていただきたいもの。


 千葉ロッテマリーンズ 72点


1位で紆余曲折、2位以降で…


度会に競合特攻するもハズレ。草加→細野と大卒投手2名も連続で外し、最終的には上田(明治大)内野手へ。紆余曲折を経て、広義では同タイプの野手に戻ってきたという感じで、1位に関しては『大外しもしていないけど大当たりでもない』という、現時点では非常に微妙な結果に。


上田選手は、ポジション的にも、タイプ的にも、2017年ドラフト1位の安田と若干被るところが運用面では気掛かり。無理を承知で打撃型の二塁として舵をきるか、外野起用が基本線となるのだろうか。


チーム方針としては【佐々木朗希がいる間に悲願の優勝を】という事なのだろうから、年齢の近いところで1人でもコアになる投手・野手を確保していった過程は間違いではなく、ここまでは紆余曲折を経て「まあ…」といったところ。


やや物足りないのは、2位以降の立ち回り。リーグ2位で全体22番目という遅い位置で、独立リーグの大谷(富山サンダーバーズ)投手を。27番目の3位で、関東No. 1右腕ともいわれる木村(霞ヶ浦)投手を指名。


ハズレ1位を2回外してめぼしい大卒投手が残っていなかったのもあるが、独立でもそこまで圧倒的な成績を残していなかった大谷投手を上位でいったのはかなりの博打。出力の高さが魅力なのは理解できるが、制球面でかなり苦労しそうなリリーフタイプというのも評価が難しい。


3位の木村投手は茨城の霞ヶ浦高校で、ある意味お膝元(チバラギ)といえるような土地柄。霞ヶ浦は、甲子園出場こそ少ないものの、長身右腕の好投手をコンスタントに輩出し続けている隠れ名門。今まで広島カープに持っていかれていた、チバラギルートの構築としては悪くない選択。フォーム的にもロッテ指導との相性は良さそう。今後を見据えると、この関係は大事にしていきたいところで、順位も絶妙かと。市場相対的には、悪くないどころか、よく残っていたなというラッキー案件ともいえる。


4位の早坂(幕張総合)投手も、高校ラストで一気に伸びた素材評価は認めるものの、投手としての経験値は未知数で、実戦投入までには相当時間がかかるタイプ。地元すぎる地元選手という事で是非とも獲りたかった選手なのだろうけど、この後の他球団の動向(高校生投手の指名)が楽天7位までガッツリ空くという巡り的にも、5位以降でも余裕で取れたような気もする。


となると、大谷投手にさえ固執さえしなければ、2位で別の選手も取れた事になるし、中位の人選もまた変わったものになったのではないかと。


ロッテの長年の課題でもある弱点の左腕に絞ったとしても、高卒なら『東松投手』や『武田投手』を2位で、木村投手を2位に繰り上げれば3位で『杉山投手』を取れた位置取りになる。大卒でも、この時点の2位では『滝田投手』は残っていたので、そこを当てはめてみるとまるで違う景色となった可能性もある。


その辺りも、大谷投手の今後の活躍次第で評価がかなり変わってくるところだが、ドラフト時点の評価としてはどうなんだろうねと思うところもあり。


野手も、今オフには4名を戦力外として野手総数自体が多くない。2位・3位を左右の高校生投手でいったとしても、4位で百崎内野手や、堀捕手が取れた計算。ロッテの評価的に寺地選手が最優先だったとして、堀選手は指名対象外としても、うまく立ち回れば4位あたりで野手1人分は多く取れた計算となる。


結局、1位で外しまくった結果、後手に回って弱気になり、その後のパズルでも高値掴み傾向となった感は否めない。


そもそも投手の支配下枠も他球団と比べると多すぎて、年齢構成も高すぎるチーム。投手の支配下枠を1枠多めに削って、ドラフトで6名を指名する方向でいけば、プロスペクトの野手も確保しつつ、中〜下位で大谷投手(か、相当の近しい実力を持った独立投手)を取れたんじゃないかなと。


その辺りを総合的にみると、ガッツリ減点対象。


育成では、これまた一昔前なら支配下の5位〜8位あたりで指名されていたような選手がズラリ。有名どころでは、1位の武内投手2位の松石投手(指名時)は色々と課題もあるものの世代屈指の速球派。化ければ面白い素材…なのだが、松石選手は野手でいくそうで。そこは完全に想定外。2年〜3年で結果がどうなるかは見どころではある。


全体的に、支配下指名では補いきれなかった23歳以下の野手を集めて、1人でもモノになればという意図なのかと。


来年1位は、左の大学生投手でいきそうな気もするし、上田→宗山の流れで明大様々路線な気もするし、右打ちの外野手が欲しい気もする。大穴ではないものの、そこそこの穴はいくつかあって、そこにハマるピースも多数。ドラフト直前まで悩ましい選択が続きそうではある。


 オリックスバファローズ 80点


横山選手の評価次第


大前提として、投手の目利きと育成がとんでもない球団なので、指名した選手は大体ものにしてしまいそう、というイメージは誰しもが持っている。


そこは事後の評価として、ドラフト指名時点の採点となるこの手の記事としては、できるだけそこのバイアスは取り除いて考えたい(全部は現実的に無理だけど)。


さて、1位指名。


指名順位の関係しない入札の一発目から、高校生遊撃手の横山(上田西)選手を指名で一本釣り成功。これをどう見るか、どう評価するかで採点がまるで変わってくる。


タイプ的にもカタログスペック的にも、高校時代の遠藤成(東海大相模→阪神)選手がチラつくのはワシだけだろうか。何十試合も、成長過程まで含めて観ているとまた感想も変わるのかもしれないが、この夏の数試合を見た限りでは1位は随分高く評価したなと思える。


市場に出た中で、同タイプがあまりいなかったという点を差し引いてもそう思うので、現時点の評価としては、完全に好みと目利きの問題かもしれない。ワシ的には、高くても2位評価だったので、ここは微妙に減点材料。


以下、2位河内投手・3位・東松投手で左右の本格派高校生投手を、全体24.25番目の位置で連続指名。この辺りは、大学生投手確保に奔走した他球団を尻目にしてやった感がある。自慢の投手育成で確実に仕上げてきそうな未来も見え、コレは会心の指名といっていい。


4位では、地元・報徳学園の堀捕手を。素材として考えると4位の最後まで残っていたのはラッキー。タイプ的には、ポスト若月としてじっくり育てていきたいタイプ。


5位〜7位の社会人投手3連続指名は、オリックスの個性爆発でもあり、これからのトレンドにもなりうるかもしれない指名スタイル。東・椋木と同世代で3人を固め、支配下枠内でサバイバル。山本由伸と山﨑福のローテ2枚が抜けた穴を、数で埋める戦略かと。


4位までを高卒・大卒のトッププロスペクトで占めて、下位指名は1年目から勝負という即戦力枠。下位指名なら批判も(プレッシャーも)緩やかになるし、ダメなら3年で切っても全方向的に納得といった形となる指名。


うまい事やりおる。


トッププロスペクト枠には入らなかった素材が育成上位で、寿賀(英明)投手や宮國(東邦)投手といった甲子園組の有名どころから、独立の上がり馬的な選手もない混ぜにして蠱毒にぶち込むという競争社会。


育成→支配下も年間3〜4名が上がれる『枠』は用意されている良い環境ではあるので、同じ育成でも比較的恵まれているといっていい。育成選手も腐らずに支配下登録を目指して頑張っていただきたい。




遅筆すぎるのと、眠気に勝てなさすぎる…。

こんなに遅いドラフト寸評もなかなかないなと、我ながら感動すら覚えます。


目標は本年中にドラフト番付v1.0を上げることです。


では。