彼との行為後、受け皿になった手を見て、少しテンションが下がった私
部屋に戻ると、細やかな彼が、綺麗に掃除したようで、おしぼりがキチッと袋の中に結ばれ、動いたイスが元通りになっていた。
さすがA型
「あ、大丈夫？」
「うん…笑」
私がソファに座ると、
彼が私の横にピタっと座り、腰に手を回してくっついてきた。
「よしきくん…私のこと、ホントに好き笑？」
何だか口から自然に出てしまった。
いや、好きなのはわかってるんだけど、
行為がいつも以上にギラついていたのと、最後の受け皿が、性的欲望を最優先していたように感じ、少しモヤっとしたのだ
「えっ！！どういうこと？！」
「……うーん…（説明しづらい）」
焦っている彼の様子を見て、やはり悪気はないことは分かる。
実際、大して悪いことはしてないし
少しどうでもよくなり、
苦笑しながら黙っていると、
「…え、言ってよ！ちょっと、気になるから笑」
そりゃそうか笑
彼に寄りかかって、上手い言葉を探す。
彼は私の髪を撫でながら、
「手に出したから…？
」
「うーん…まぁ…仕方ないんだけど…私最初、手を繋いでくれたのかなって思って、あ、そうか受け皿か…って思ったらちょっと寂しくなったというか…笑」
彼がマジか！というような顔をして、苦笑する。
「あっ…ごめん！オレ、もう出す所に考えが集中し過ぎて、それしか考えてなくて…」
「うん…まぁ一番余裕ない時だし、分かってるんだけどね笑」
「…苦笑」
「あと、「手」ってあっさり言われて、何か慣れてる風っていうか…」
そう。あっさり言われて、今までもそんな感じでルール化されてたのかなって思ったら、少しシュンとなったのもある
「いや、結構考えたんだよ！お腹とかお尻とか…。でも、万一服にかかったら大変だし、手なら洗えば大丈夫かなって苦笑」
「受け皿の手を見てたら、モノ感というか、どーでもいーのかなって…笑」
ちょっ…みたいな感じで、苦笑する彼。
「どーでも言い人だったら、逆にどーでも良いから服に付くとか気にせずお腹とかに出してるよ！それか、口とかに出すんじゃないの笑？」
彼が平然と「口」というのにも、少し驚いた。
「くちぃ？それは私的には鬼畜って感じ。あんなのAVだけじゃない…笑？」
ちょっと引くわ…みたいな温度で言うと、
「いや、オレもそーいうの好きじゃないし！笑」
と、強く言う彼。
ていうか、この前は、私からイ◯マしてって言ったくせに、これはダメとか、彼の中で私の感覚が掴めなかったに違いない笑
すると、彼が元々握っていた私の手をさらにぎゅっと握って、
「ほら、これは今手繋ぎたくて、繋いでるよ？」
「笑！…わかったよ、理解した笑」
何だかいじめちゃったみたいでかわいそうになってきた笑
私が笑ったからか、彼がほっとした顔をした。
「よしきくんさ、あんまり好きとかも言わないし、分かりづらいんだよね笑」
なんて。
もう長い付き合いだから、分かってるけど。
言わなくても、態度で分かってるけど。
すると、彼が真面目な顔でこっちを向いた。
「…好きだよ。好きだと思ってるよ。あんま言わないけど、今日も、オレすごい楽しみにしてたし！」
……………
…きゅん
一生懸命言う彼を見て、ふっと
愛らしく感じた
頑張って言ってるのが伝わるから。
好きとか可愛いとか言うのあまり上手くないけど、大事な所で外さない。
彼がやっぱり大好きだ
「ほんと笑？私も今日すごい楽しみにしてたよ！」
満面の笑みで彼に言う
彼も安心したのか、そこでやっと雰囲気が元通り。
モヤモヤはやっぱりちゃんと言ったほうが良い。
特に婚外は、しょっちゅう会えるわけじゃないからモヤモヤは即解決すべきだ
……………
そして、カラオケを出て、夕飯を食べる。
お喋りを楽しみ、あっという間に帰る時間。
帰り、エレベーターに2人だけだったので、
ピタっと彼に寄り添うと、
「その髪型、やっぱり良いね！」
と、また言ってくれる。
「よしきくんがそんなに言うの珍しいよね。よっぽど、この髪型気に入ってくれたんだね笑」
「うん…なんか刺さった！あ、いつものも良いけどね笑」
そして、駅で仲良く別れる。
…………
長い付き合いでも
新しい発見はあるんだなぁ、と思った
私がカラオケで彼にキュンとしていたように、彼も私にキュンとしてくれてたなら、それはとっても嬉しい
やっぱり見た目は大事だな～
ときめきはほぼ外見だしね
付き合い長くても精進しなくては。