$時和春香ブログ ~時を和ます春のかほりno.2~


酷く蒸し暑い熱帯夜
寝苦しい夏の夜

僕はコンビニへ
街が寝静まった頃
一人夜空を眺めながら
ゆっくり歩く


何となく
線香花火を一袋買って
ベンチに座り一息つく

決して快適ではない
けれど
このフラットな感じが僕は好きだ



おもむろに線香花火へ火をつける

赤く光る小さな丸い火の玉をつくり
静かに火花を散らす


そっと持っていなければ
容易く落ちる火の玉


儚く繊細で美しい線香花火


僕は最後まで火の玉を
落とさずに
落とさずに
いたいのに
どうしても落ちてしまう
次こそは
次こそは
と繰り返しても……


火花をぼんやり眺めながら思う事

それは
やっぱり君の事…


僕は君を何度も泣かせた
たった一度もその涙を拭う事の出来ぬまま



うるうる瞳を赤くさせ
静かに涙が頬を伝う
君の泣き声と溢れる涙が
次第に激しくなった途端
パンと僕の頬を叩き
君は去った。。。


線香花火は君の涙によく似てる



気付けば
残り一本になった
線香花火


どうか
落ちないで
落ちないで……
今度こそはと火をつけた



線香花火に
君への想いを重ね
最後まで落ちぬ様
優しく支えながら見守る


…本当は君を支えたかった…

君に会いたい
今度は泣かせても
せめてその涙を拭ってあげられる僕でありたい




星空詩:時和春香星空