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続き

 

お昼ご飯を食べ終えてゆっくりしているところに、1人の女性が歩み寄っていた。

ショートカットの黒髪で眼鏡をかけていて、リュックを背負ってウォーキング用の格好をしていた。

胸には赤い勾玉のペンダントをかけていた。



「こんにちは!お休みのところすみません。

『湯出野(ゆでの)遺跡』に行きたいんですけど、道はこっちで合ってますか?」
パパ)「はい、合ってらよ。珍しすな(※はい、合ってますよ。珍しいですね)」
「そうですよね。私、大学で『考古学』を勉強しているんです。

それで、地元の遺跡を巡っているところなんで」
すい)「『湯出野遺跡』?」
パパ)「今田植えしてらどごろがら歩いで行げるどごろに、『湯出野遺跡』があるんだよ。

   すいはまだいったごどねべ?一緒さ行っておいで!

   (※今田植えしているところから歩いて行けるところに、『湯出野遺跡』があるんだよ。

   すいはまだいったことないだろう?一緒に行っておいで!)」
すい)「うん!行ってみる!」
さくら)「すいちゃんっていうのね。私は神代(かみよ)さくら、よろしくね!」
すい)「さくらお姉ちゃん、ですね。よろしくお願いしますぃ」
おじいちゃん)「こいも勉強だ。いっぺ教えでもらってけ(※これも勉強だ。たくさん教えてもらっておいで)」
すい)「おじいちゃん、分かった!」

大学生のさくらはすいのおじいちゃんに頼まれて、『湯出野遺跡』にすいと一緒にいくことになった。

由利本荘市出身ですいの通う高校のOG、今は岩手にある大学に進学して『考古学』を勉強しているという。

そのきっかけはおばあちゃんが誕生日にプレゼントしてくれた《勾玉》で、

まだ分かっていないことが多くそれを知りたいからとすいに教えていた。

すい)「きれいな勾玉さんですね」
さくら)「んだべ?ふふっ、ひさしぶりに秋田弁が出ちゃったわ!県外に出るとしゃべることが少なぐなるがら、忘れることがあるのよ」
すい)「そうなんですね。」
さくら)「つだね、『湯出野遺跡』」
すい)「…これが、遺跡、なんだぁ」
さくら)「教科書で習うようなのと違うから、『あれ?』って思ったかな?

    ここは、縄文時代のお墓なの。縄文時代ってとっても長かったけど、そのうちの後期から晩期の辺りなの」

さくらはすいでも分かりやすいように、『湯出野遺跡』について教えながら写真を撮っていた。

ここでも石器や土器・土偶、そして勾玉も出土していた。

実際に出土した位置を調べていたさくらは、すいに場所を教えた。

さくら)「ここから勾玉が出てきたんだよ」
すい)「ここなんですねぇ!おじいちゃんもお手伝い、したことあるって聞いたことあるかも」
さくら)「そうなのね。たくさんの人のお手伝いがあって、こうして今知ることができるように

    なったことに感謝ね。縄文時代は争いがなく、皆が仲良く協力して生活していたんだって。

    この東由利にも言えることだと、私は思っているの」
すい)「ふぇ?そうなんですか?」
さくら)「冬休みに戻ってきていて『大平スキー場冬まつり冬花火』に来ていたの」
すい)「えっ!?すいも行ってたよ!花火、きれいだったなぁ」
さくら)「冬に上げる花火もいいわよねぇ。名前も顔も知らない私でも気軽に話してくれる人が多くて、

    それが忘れられなかった。小さなスキー場に花火を打ち上げる、それだけでもたくさんの

    支援や協力があって出来た。私、他の地域でそだったけど、ここまでではなかったわ。

    時代の流れなのか、分からないけど…。『祭りが調和を生むカギになる』って聞いたことあるの。

    それは確かに生まれていたわ!」

さくらはずっと思っていたことを、すいに伝えた。すいにとっては日常的なことがさくらにとっては

忘れられない大切な思い出になっていること。縄文時代もお祭りを通じて、自然とのつながりだけでなく

他の地域に住む人たちのつながりを生んでいたことをさくらはすいに教えた。

さくら)「すいちゃん、私の話にも付き合ってくれてありがとうね」
すい)「こちらこそ、授業では分からないことを教えてもらえて嬉しかったですぃ」
さくら)「あっ、これをすいちゃんにプレゼントするね!」
すい)「えっ?水色の勾玉、ですか?」
さくら)「すいちゃんにぴったり!アクアマリンっていう石でできているの。確か5月5日の守護石ね」
すい)「すいの誕生日だ!いいんですか?」
さくら)「いいのよ。日本古来のお守りと言われている『勾玉』を広めたいのも、

    私の夢でもあるから。バッグに付けやすいようにしてあるからね」
すい)「わぁ!ありがとうございますい!大切にします!」



こうしてすいは、さくらから勾玉をもらった。さすがにすいのパパもママもびっくりしていた。

さくらは笑顔ですいたちと別れた。

さくら)(あの子なら、大丈夫そうね。水神様が側にいるなら)
玉祖命)(それを分かったうえで渡したのであろう?)
さくら)(そうですよ。玉祖命(たまのおやのみこと)様がご一緒でなければ分かりませんでしたよ!)
玉祖命)(そうじゃろうな。…また帰ってきてよかったじゃろ?)
さくら)(…はい。その時が来ればまた…)


外伝・完

 

 

 


神代さくら(かみよ・さくら)
■大学生(鳥海山高校OG)
■誕生日:4月4日
■身長:154cm
■由利本荘市出身(岩手県の大学に進学)
■神社と遺跡が好き・日本神話やその他記紀にも詳しい
■埋蔵文化財センターに就職を考えている
■特技:勾玉づくり(文化祭でワークショップを開く位)
■サークル:勾玉研究サークル(全国で発掘されている勾玉について調べている)
■好きな食べ物:由利牛・とろろめし
■好きな花:桜(ソメイヨシノ)
 

 

あとがき

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
今回『第2回大平スキー場冬まつり冬花火』成功を記念して、
『黄桜すい物語』の《外伝》を二次創作として書かせていただきました!

自分の分身を登場させていますが、フィクションとノンフィクション混ぜています。

実際に昨年と今年参加して思ったことを込めて書きました。

続けていくことは大変ですが、祭りを開催できた《喜び》や《達成感》は代えがたいものです!

私はこれからも出来る範囲で応援していきたいと思います。