こんにちは。

 

心理学と音楽の講師をしています、はるかです。

 

 

読書が捗るしっとりとした梅雨の季節、

みなさまいかがお過ごしですか?


しっとりというか、むわっと?

雨が強い地域もありますね、みなさまお気をつけて・・・!



 

 

 

少し前に、こんなご相談がありました。

(個人の特定に繋がらないよう、少しだけ脚色を加えます。)

 

 

 

仕事でイベントを開催することになり、新卒の後輩がその招致の架電担当になった。

イベントの詳細を書いた資料は渡し、

口頭で説明した上で、

ロープレもして、FBもして、迎えた本番。

 

後輩から出てきた説明の言葉はたった2言だった。

招待状は先に配っているから概要は見ればわかるとはいえ

あれではさすがに何のための電話かわからない。

 

 

電話を切ったあと、

 

先輩:「資料読んでこなかった?FBしたこと忘れちゃった?」

 

後輩:「いえ、資料は穴が開くほど読み込みました。というか、わたしは何も教えられていません」

 

 

 

 

 

 

あれだけ、説明もロープレもFBもして、

わたしはそこまでやってもらったこともないくらい丁寧にやったのに、

教えられていないとはいったい・・・?

もうこれ以上、何をどうしたらいいんですか??

この子、一事が万事こんな感じなんです。

すごく疲れて、毎日ブチギレています。

 

 



 

このお話を聞いて、わたしが真っ先に思い浮かんだ言葉が、

 

 

「話が通じない」の正体

 

 

今日のタイトルです。

 

 

 

 



この、衝撃のパワーワード


「話が通じない」の正体
 
は、
 

人工知能(AI)研究者、
黒川伊保子さんが書かれた本。
 

正しくは、
「話が通じない」の正体  共感障害という謎

というタイトルで、新潮社から出ている本です。




黒川さんの本を初めて読んだのはもう20年近く前になりますが、


男女のすれ違いのあるあるを

脳の視点から解き明かし、原因や対応策を示してくれるものから、


「ことば」や、その「おと」そのものを解説してくれるものまで、


どれもこれも、とても面白く読んでいます!

 


そして

黒川さんご自身がシナスタジア(共感覚)をお持ちでいらっしゃることや、

テーマやタイトルによって、文章の書き方やことばの選び方も少しずつ変えていらっしゃるため、

ジャンルの違う音楽を聴いているかのような楽しみ方ができるのもまた、

わたしが黒川さんファンの理由のひとつです♡

 

 


今回このお話を伺って、久しぶりに読み返してみることにしました。

確か似たような、上司と部下でまったく話が通じない、ということが書かれていたな・・・

と思い出して。

 


 

image

 



【おしらせ】

ブログをご覧いただきありがとうございます。

こちらつたない読書感想文で、ここから、とっても長くなっております滝汗

それでも書き終わらず、後編へ続きます・・・。

お時間のない方は、どうぞこちらでさっとお戻りください!

いらしてくださりありがとうございましたキラキラ


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この本は、大きく3つの章で構成されています。

 


第1章 脳が違えば、見ているものが違う

第2章 古典的な共感障害

第3章 進化型共感障害

 

※「共感障害」とは、「社会全体の定型のコミュニケーション手法」が何らかの理由によってわからない、使用できないことによって、コミュニケーション上で軋轢が生じてしまう現象を、

黒川さんがご自身の言葉で表現されたものです。

(”障害”とついていますが、病院で診断される発達障害などとは違うようです!)

 

 

それぞれの章をざくざくっとわたしなりに要約すると、

 


第1章

個人よりもう少し大きなくくり毎にコミュニケーションの形式やとっさの選択に違いがあり、

(例えば、男女、地域、年齢、時代、SNSなど)

それは脳の認識(の枠組み)の違いからくるものだということ。


 

第2章

自閉症やADHDなど発達障害と呼ばれる人の脳やコミュニケーションの特徴、

それを個性として社会生活を送るために必要な、本人や周囲の認識と対応。

 

AERAにちょうどこのような記事がありました。

まさにこれが2章で取り上げられている現実なのかなと思います。



第3章

自閉症でもADHDでもなく、

世代間でのコミュニケーションの取り方に差異があることで "共感障害に見えてしまう" 現象


つまり、


社会のありようによって発現したのが

"進化型共感障害"である。






この本を読んでいてまず、面白いな!と思ったのが



「話が通じない」の正体



と題したこの本の、

本当のテーマに触れられるのは、第3章



はじめに、おわりに、

を除いた全178ページ中


ようやく本題に入るのは後ろから、約30ページ





ペース配分間違えた・・・?

マラソンみたいに・・・?






たぶん、そうではなくて。笑



きっと、この "進化型共感障害" を語るには、

さまざまな前提と背景を理解しておく必要がある

ということなのだと思います。



例えば会社の上司と部下の間で

「話が通じない」という現象が起きているとき、



部下が(上司が)無能だから

理解力が不足しているから

相手の立場でものを考えられないから

やる気がないから

そもそも話を聞いていないから



そんな簡単な一言では済ませられない

もっと複雑なものが絡み合っているんだということが、

ここに、既に表れています。



読んでいても、本題はあっという間に終わってしまいます。笑

が、ここまでのしっかりとした組み立てがあることで、

「言わんとしていること、知りたかったことの答えはきちんと受け取りました。」

となる、充足した読後感でした。






そもそも "進化型共感障害" なんて

そんな大変そうな名前がつく状態ではなくても、



わたしたちの日常では、

多少のコミュニケーションのギャップ、すれ違いは

頻繁に起きていますよね。




それは、感覚や考え方の違いからくるものだとわかっているのですが、


そう自覚していてもなお

自分がこれまで当たり前、もしくは普通だと無意識に思ってきたことが、

いや、やっぱりそうでもなかったか・・・!


と再確認させられるパートが、第1章。




「普通」って、環境(時代背景や文化など)と、

そのときそこで生きる人たちの意識的・無意識的な同意によってできている、

相対的ものなのよね。


とあらためて感じるエピソードの数々が描かれています。



地域ごとのコミュニケーションの差には、

読んでいて、震えました・・・



地域ごとのコミュニケーションの特色といえば

やっぱり印象的なのは、京都の「ぶぶ漬け」エピソード。

でも、この本ではそれ以上のびっくりコミュニケーションが登場します!!ポーン

気になる方はぜひ読んでみてください!

東北人で、昔から気が利かないで有名なわたしは(←東北関係ない

あぁ、東日本から出ずによかったと心底安堵しました・・・。

(ほかの地域の方を批判しているわけではありません。

ただ、あまりにもわたしの理解の範疇を超えているコミュニケーションの形なんです絶望






そして、第2章では


脳の器質的な特性によって、

認識の枠組みが作られにくかったり(ASD)

無秩序に量産されてしまったり(ADHD)

独自の認識の枠組みが多くなることで、

一般的な、定型のコミュニケーションが難しくなるケースについて語られます。




例えば


 「自閉症」は英語で「Autism(オーティズム)」と呼ばれ、


本来、日本語に直訳すると「独自主義」となるところが、



日本では


「"自" を閉ざしている、"自" に閉じこもっている」


という意味を表す漢字が、当てはめられています。




本当は、

決して自分の内側に閉じているのではなく、


外側からの刺激(5感からの刺激)に対して、脳が、

自分にとっていま大切な情報とそうでない情報の取捨選択がうまくできず、


頭の中にたくさんの情報が溢れかえってしまい

わかりやすく世界を切り取ることが難しい状態なのだそうです。



細部までよく見えるけれど、

ささいな違いも違いとして認識するため

一般化することが難しく、

"普通" といわれる認識がなかなかできない


と言い換えることができるかもしれません。



いわゆる "普通" の人は、

5感の感覚として入力は同じようにされていても

脳が要不要の判断をして切り捨てることで、

情報が少なくなり、整理され、

「これは、こうだ」というすっきりとした認識をすることができるです。



そして

この「感じすぎる」要因になっているのが、



ミラーニューロンという鏡のような反応をする脳の神経細胞が

過剰に働きすぎるためだと、


黒川さんは予想し、話が進んでいきます。




何も感じられないのではなく、


感じすぎて、辛い。




"繊細さん" が多い日本人には

多少なりとも、感覚や気持ちが理解できる方が多いのではないでしょうか。






さて、では冒頭の上司と部下のようなすれ違いは

どのようにして起こっているのでしょう?




「言わなければわからない、なんなら言ってもわからない、話しているのにうなずかない」

部下があらわれ、


「話を聞いているのか、やる気はあるのか」

と困惑し、腹を立てる上司の声があっちからもこっちからも聞こえてくる。




黒川さんはこれを、


上司の世代1990年代半ば以前生まれの世代)と、
若い世代1990年代後半以降生まれの世代)
コミュニケーション時の反応が変化してきたことで、

これまでの「暗黙の了解」が伝わりにくくなり、

「話が通じない」「理解できない」という現象が社会のあちこちで現れている。



のだとおっしゃり、




その



進化系とも言える若い世代の反応が

旧タイプ(上司世代)のそれと違う



原因を、



進化系世代はアナログなコミュニケーション体験の不足によって

ミラーニューロンが不活性化しているため


「他者への共感力」「気働き」が低くなっているから。



と、推察しています。





みなさん、どう思われますか?





もしそうだとすると、


世代間の差=時代の移り変わりに伴う環境の変化に由来しているため、

いまわたしたちは、思っている以上の大きな社会の転換点にいることになるのではないでしょうか?







ふぅ。

やっと、わたしも本題に入りました・・・チーン



やっぱり読書感想文って難しいー!

頭、ぐるぐる。もやもや

学生たちって本当に頑張ってる!えらいキラキラ



ということで、今日はここまで。


次回はわたしの体験なども交えながら、

後編を書いていきたいと思います。

黒川さんの、具体的な対応策もご紹介します!




では、みなさま。

つたない文章をここまでお読みくださり、ありがとうございました🙇🏼‍♀️

 

素敵な夜をお過ごしくださいね!