道の駅を出て、

孝志は、呟く様に言った、

「じゃ、下道ドライブで地元に戻るよ」

菜奈美はそっと頷いて、

田舎の風景のバックにある山の稜線を見つめた、

真っ青な空の下に新緑の広がる山々、

その景色を見ながら、

今日もホテルに立ち寄るのかな?と菜奈美は考えてしまった、

おませな友人達の話によると、

する度に気持ちよくなってくるらしい、

でも、当然自分から誘ったりはしない、

たぶん、孝志は誘ってくるはず、

菜奈美は、孝志に触られたかった、興味本意で自分で触った事はあるが、

やはり、男性に触られたい、

とそんな事を考えているけど、菜奈美はそれを表には全く出さずに、

孝志の隣に座っている、

地元に戻る峠道、

孝志はドライブが好きなだけあって、曲がりくねった峠道を、

程よいスピードで右や左にハンドルを切って進んで行く、

菜奈美は思わず尋ねた、

「峠を攻めたりするの?」

孝志は驚いた様に問いかけてきた、

「スピード出しすぎてる?」

菜奈美は答えた、

「怖い感じはしないよ」

すると孝志は答えた、

「セダンでフルノーマルの車だから、峠を攻めるような車じゃないから、でも今日も遅くならない様にお家に送るつもり」

孝志はそう言って、沈黙したがしばらくして、

「今日も寄り道する?」

その聞き方は誘っていると菜奈美は察して、

体の中で快感が蘇る思い、

でも菜奈美はクールに答えた、

「いいよ」

峠を出て街中に入る手前にラブホテルが見えてきた、

かなり年季の入った外観、

菜奈美はあそこに入るのかなと思っていると、

まだ明るい陽の中、孝志の車は田舎道を逸れて高い壁に覆われたラブホテルの駐車場に入った、

中は、二階建ての建物三棟あって、一階がガレージになっていてもう既に車が数台停まっているのが見える、

孝志も空いているガレージに車をバックで入れると車を降りた、

菜奈美も車を降りると、ガレージ内にあるドアの前に孝志がこっちを見て立っていて、

菜奈美は、車を回り込んで孝志のそばに行くと、孝志はそのドアを開ける、

中に入ると階段があって、孝志はそれを登って行くので菜奈美もその後につづく、

薄暗い階段を上り切ると横に伸びる、

やはり薄暗い通路がありその通路に各部屋のドアが並んでいる、

孝志は登ってきた階段のすぐそばのドアを開けて、部屋の中に入るとドアを押さえてくれているので、

菜奈美も部屋に入る、

作りは古いがまるでワンルームマンションの一室の様な感じで、

ベッドにテーブルと椅子が二脚、

戸棚の上にテレビが置いてあって、テーブルの上には灰皿やテレビのリモコンなどがまとめて置いてある、

壁には水回りに出入りする扉があり、狭いながらも必要最低限度のものが揃っている感じの部屋、

孝志はベッドに腰を下ろし、

「寒くない?」

と尋ねてテーブルの上のエアコンのリモコンを手に取った、

菜奈美も孝志の隣に座る、

これからまた男女の事が始まると思うと、

菜奈美はもう期待してドキドキしてきた。


つづく。