次の日、

孝志は、菜奈美と菜奈美の体が心配で、お見舞いのつもりで電話をかけた、

「もう、痛みはないよ」

菜奈美がそう答えた、

孝志はつい、菜奈美の痛いと言うあの声を思い出す、まるで拷問でも受けている様な声、

でも菜奈美は淡々とそう答えた、

平和な日常生活の中で絶対に聞かない様な声だった、

孝志はホッとした反面、菜奈美の変わらない雰囲気にあの時は凄く痛がっていたけど、

芯が強いのか?弱いのか?断定出来ない落ち着かない気持ちになる、

そんな事を思っていると、

「そろそろ教習所に通おうと思ってて」

と菜奈美の声がして、孝志は話題が変わったと思い、

「いつから?」

と問いかけると、菜奈美は、

「来週くらいに入所の手続きに行きます、大学の近くの俵上教習所に行こうと思っています」

孝志は教習所の名前を聞いて、

「俵上駅から送迎バスが出てるよね?」

と尋ねると菜奈美が、

「うん、帰りもお家に近い通学路線の駅まで送迎バスが出てるから、便利がいい」


 菜奈美は、自分の部屋のベッド際の床に座りベッドに背を預け足を投げ出していて、

その自分の足の指先を見ながら、

教習所の話に話題を変えた、

孝志も話題の変化に合わせてくれた、

処女を卒業する時のあの痛みより、痛いと訴えていても男性は快楽の結果である射精ができる事を知り複雑な思いだった、

だからこそ、孝志もご機嫌伺いの電話をかけてきたのだろう、

スマホから孝志の声がした、

「やっぱり、二、三ヶ月くらいかかりそう?」

と免許を取るための日数を尋ねてきたので、

「うん、特別早く取ろうとは思ってないからそれくらいかかるかな」

と菜奈美は返して、

再び思い出す、あの時の自分の声を、あんな情けない声を孝志には聞かれたくなかった、

自分ながら凄い声だった、

菜奈美はそう振り返り、静香や他の女性達はみんなあの激痛を耐えて女になっていたのかと思うと、

処女を子供扱いする気持ちに賛同してしまう、

死んでしまうような痛みではないが、耳たぶをペンチで挟んで引きちぎる様な感じの痛み、

でも、硬い男性が自分の中に入って来る、そして前後に動くあの感じは、

まさに筆舌には尽くし難い感覚、

次からはもう最初の痛みはないだろうから、

また、孝志に会ってゆっくりと確かめてみたい、あの感覚、

菜奈美はそう思い、

「高速道路の進入とか難しそう」

と孝志に言うと、

孝志はあっ!それねと言う感じに、

「最初はね、でもコツを掴めばなんて事ないよ」

と答えて孝志は続けた、

「じゃ、高速使ってドライブに出かけようか?コツは、ね加速させるのが大事なんですよ」

と、お説教にならない様に、あどける様に言った、

二人は次の日曜も会う約束をして、菜奈美は電話を切った。


つづく。