今日は、私もいまいち違いが理解できなかった、IFRSと日本会計基準の違いについて解説していきたいと思います!

 

 IFRS(国際財務報告基準)とは?

 

IFRSとは、国際財務報告基準審議会(IASB)が定めた世界共通の会計基準のこと。 「イファース」または「アイファース」と呼ばれています。

世界中で比較しやすいように、 「世界共通の会計基準」へのニーズが高まったことからIFRSが策定されました。 現在では100か国以上で導入されているんです。

IFRSと日本会計基準には、特徴的な違いが6つあります。

 

 

 

 

 

 1. 財務報告に関するルール

 

IFRSは「原則主義」、日本会計基準は「細則主義」を採用しています。

  • 原則主義:基本的な会計原則のみを示し、細かい数値基準や判断基準は設けない
  • 細則主義:業種や取引ごとに、会計上の取り扱いを具体的に規定

原則主義は、幅広い状況に対応しやすい反面、 「なぜこの会計処理を行ったのか」という根拠を具体的に示す必要があります。

 

 2. 企業価値の考え方(利益計算方法)

 

日本会計基準では、期間あたりの収益を表す損益計算書(PL)を重視しますが、 IFRSでは、貸借対照表(BS)を重視します。

また、売買における収益は、 日本会計基準が「出荷基準」であるのに対し、 IFRSは「検収基準」または「引渡基準」となります。

 

 

 

 

 

 3. 連結財務諸表に対する考え方

 

日本会計基準での連結財務諸表は「親会社のために作成されるべき」という考え方ですが、 IFRSでは「親会社および少数株主のために作成されるべき」という考え方を採っています。

 

 4. 財務諸表の表記

 

IFRSの財務諸表の構成は、日本会計基準とほぼ同じです。 ただし、IFRSには「営業外損益」「経常利益」「特別損益」の概念がなく、 特別損失にあたる「減損損失」は「その他の営業費用」などに含まれます。

また、日本会計基準の場合、非上場株式は貸借対照表上「取得価額」で計上されますが、 IFRSでは非上場株式を時価評価して計上します。

 

 

 

 

 

 5. 研究開発に対する考え方

 

日本会計基準では、研究開発費はすべて「費用」扱いになりますが、 IFRSでは研究費は「費用」、開発費のうち一定の要件を満たすものは「無形資産」として資産計上します。

 

 6. のれんの償却方法

 

日本会計基準では、のれんは規則的に償却しますが、 IFRSでは、のれんは規則的な償却をしません。 代わりに減損テストを毎期実施し、減損処理を行います。

 

 

 

 

 

 IFRS導入のメリット・デメリット

 

IFRS導入には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 海外からの資金調達がしやすい
  • 海外を含めて財務情報を管理しやすい
  • 財務情報を正確に把握できる
  • 連結決算・連結業務の効率化
  • 企業イメージアップ

デメリット

  • 運用までにコストと時間が大幅にかかる

 

 2027年改正・IFRS18号の営業利益に関する新基準

 

IASBは、2024年4月にIFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」を公表しました。 これは、2027年1月1日以後に開始する事業年度から強制適用されます。

今回の改正では、損益計算書の収益及び費用を 「営業」「投資」「財務」「法人所得税」「非継続事業」の5つの区分で表示することが求められています。

これにより、投資損益は営業利益に含めないことで統一され、 企業の各活動の業績評価や企業間の業績比較がしやすくなります。

 

 

 

 

 

 IFRSへの切り替えの注意点

 

準備段階では、切り替えのタイミングを計ったり、 影響レベルを把握したりすることが大切です。 また、会計システムをIFRS対応にする必要もあります。

IFRSは、日本企業がグローバルに活躍するために ますます重要な会計基準になっていくでしょう。

決算書の会計基準がIFRSか日本会計基準の違いで見方も変わってくると思います。

決算短信などを見るときは、注意してみるとよいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

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