ウンスが夫の姿に

気づくより先に

チェヨンは当然ウンスの姿を

認識していた

 

どれだけ人混みの中にいても

ウンスの姿は見逃さない

そこだけ

ぱあっと光を当てたように

風景が輝いているのだ

 

長男は昨年十歳になり

あと数年で家督を譲るような

歳なのだが

そんなに大きな子供がいるとは

まったく思えないほど

妻は綺麗でシュッとした立ち姿も

様になっている

どこぞの着飾った令嬢よりも

かなり目を引く存在だ

 

 

あれ?医仙様だ

相変わらずお美しいなぁ

あれでお子様が五人とか

信じられん

うちの母ちゃんとは

えらい違いだ

 

 

警備の兵士達も

ウンスに気がついて

ヒソヒソ話をしている

ところが

どこかから鋭い圧が・・・

 

その圧の方向に

ふと顔を向けると

妻贔屓で有名なチェヨンの

威圧的な顔があった

思わずおののいてしまうほど

恐ろしい顔つきで

兵士達を睨みつけている

 

 

ああ ヒィイ

上護軍様

 

 

兵士達はウンスから視線を外し

生真面目な表情を繕って

前を向いた

 

チェヨンの後ろを歩いていた

民衆姿の王様が

口の端をひくっと上げて

笑っている

 

 

上護軍・・・

相変わらずよのぅ

仲間の兵士にも悋気か?

 

 

王様が露店をお忍びで

見たいと言い出して

チェヨンは現在その護衛任務に

着いているわけだが

どうやら事の次第を

王様に見透かされたようだ

 

 

いえ 某は・・・

 

 

言葉を濁すが

長い付き合いの王様には

誤魔化しは効かないようで

王様は鼻でふんと笑ってから

言葉を続けた

 

 

娘達も随分と

大きくなったのぅ

すっかり娘らしくなって

 

 

いえいえ

まだまだ目が離せぬ子供です

 

 

チェヨンは少々苦々しい口調で

王様に答えた

チェヨンは妻が異性の対象として

見られることにも我慢できぬが

愛娘達のことも非常に心配している

 

二人は七歳になったばかりだが

ウンスに似てとても美しい

 

スニョンは幼い頃は

たいそう引っ込み思案で

家の中で静かに過ごすことが

好きな子だった

儚げで少し影があるような子で

守ってやらねばと思わせた

ところが

剣術に目覚めてからは

利発さや凛々しさが

前面に押し出されてきて

魅力を増している

血は争えないもので

性格も剣の筋も叔母にそっくりで

チェヨンは頭がいたい・・・

 

ユニョンは一層

見た目も性格もウンスに似ていて

心配でならない

そしてイサの嫁になると

公言してはばからないのにも

手を焼いている

王家の跡取りであるウ王子が

未だに密かに

ユニョンに熱を上げているのも

承知している

 

どうしてこうも

我が家の女人達は

揃いも揃って

人を惹きつけるのだろう

 

カゴの中に閉じ込めて

いっそ隠しておきたいのだが

ウンスも愛娘達も

そんな性分ではないから

困ってしまう・・・

 

娘達の行く末を思うと

心配と悋気で

頭の中がぐちゃぐちゃに

なりそうで

いずれ嫁に出す日が来るのか

と思うと倒れそうになる

もちろん妻には

そんな父親の繊細な気持ちを

気取られないよう

注意をしてはいるが・・・

 

だから チェヨンは

三つ子の中で唯一の男子で

よく言えば天真爛漫

やんちゃなくせに泣き虫で

後先考えない困り者だが

まっすぐな心根の

子供らしい子供のサンの存在に

ホッと一息つけるのだった

 

 

ウンスは背の高いチェヨンの

後ろに隠れている王様の姿にも

気がついた

 

二人はなにやら話をしていて

チェヨンが時々

苦笑いをしているから

王様にやり込められている

のかもしれない

 

王と臣下というよりも

兄と弟のように

仲睦まじく見えるのは

長年の信頼関係のおかげだろうか

そんなことを思っていたら

露店見物に来ているアジュンマ

(おばちゃん)達の黄色い声が

耳に届いた

 

 

やっだ

あれ 上護軍様じゃないの?

相変わらず見目麗しいお姿

背が高いわよねぇ

あんなにかっこよくて

若々しくて

筋肉隆々で男前

神様も不公平だわねぇ

うちの亭主に爪の垢を

煎じて飲ませてやりたい

ああ 

医仙様が羨ましいわぁ

あっちの方もすごいのかしら

あらやだ ほほほほほ

 

 

アジュンマ達の

噂話を聞いていると

なんだかくすぐったいような

照れくさいような気になって

ウネに何か言われる前に

ウンスはその場を立ち去ろうと

目論んだのだが・・・

 

 

ウンスさん

あっちの方はどうなのよ?

あはは

みんな気になるよね〜

 

 

もう!ウネさんまで!

 

 

ウンスは耳を赤くして

プイと横を向いた

しかめっ面のチェヨンと

目があったが

またウネにからかわれそうで

ウンスはちらっと見ると

慌てて視線を外した

 

 

ねえ オンマ

あっちってどっちのこと?

 

 

ウネの話を聞いていたサンが

首を傾げて聞いて来る

 

 

なんでもないわよ

ほら あっちにヨンが・・・

いるでしょう?

 

 

ああ ほんとだ

アッパァ〜〜〜〜

 

 

悪気なくサンが大声を出すと

振り返ったアジュンマ達が

ウンスに気がついて

気まずそうにすごすごと

去っていった

 

 

いや〜

サンちゃんには敵わないわねぇ

あははは

サンちゃん

あんた将来大物になるよ

その時はこのおばちゃんのこと

思い出してご贔屓に〜

 

 

とウネは豪快に笑って

サンを抱き上げた

 

 

ウンス達の集団から

やや遅れて

後ろを歩いているのは

イサとユニョンだ

 

ユニョンは少々不機嫌そう

イサはその理由がわからず

戸惑っていた

 

イサは診療所の若先生で

人気者

通りを歩いていると

ウンス同様あちこちから

声がかかった

 

先日はお世話になって〜

とか

あの薬 効きました

とか

また往診をお願いします

なんて言われることも・・・

 

医者としてイサが

信頼されている証しで

ユニョンは誇らしく

思っていたのだ

が・・・

 

 

あらあら

本当の親子みたいだねぇ

若先生もそれっくらいの

お子さんがいても

おかしくない歳だよ

誰かいい人いないのかい?

そろそろ身を固めても

いい頃合いだろうに・・・

 

 

患者のハルモニが

二人の姿を見て

そう言ったのだ・・・

イサにとってみれば

そんな戯言は慣れっこで

大して気にも止めなかったが

ユニョンの

心中は穏やかではなかった

 

自分とイサが

親子に見えることも

誰かがイサに

結婚を進めることも

嫌なことだった

そんなユニョンの気持ちに

イサは気づいていない

いや 気づかないふりを

しているだけかもしれないと

ユニョンが勘ぐっていた

 

ユニョンはイサの手を

つねるように

ぎゅっと握りしめた

一瞬イサは顔をしかめたが

その手を優しく握り返し

囁くように尋ねた

 

 

オレ 

何かやらかしたか?

 

 

イサのばか

教えてあげない!

 

 

あぁあ やっぱりなんか

やらかしたのかぁ

すまん ユニョン姫

 

 

わけもわからず

頭をかいているイサが

ちょっとばかり可愛く思えて

ユニョンは不機嫌を忘れ

吹き出した

 

 

もういいよ

ケンチャナヨ

 

 

ユニョンは考える

あと何年経てば

自分は大人の女人として

イサに見てもらえるのだろう?

十年先かな??

 

その時間がとてつもなく

長く感じるユニョンだった

 

 

*******

 

 

『今日よりも明日もっと』

親の心子知らず

彼女の心彼知らず

彼の心もまた然り・・・

人の心は難しい

 

 

 

神社くま猫うさぎねずみトラお祝いケーキ

 

 

 

haruは明日が仕事始めです

よし 今年も頑張ろう!

と一応気合を入れてみた

 

みなさま

年始も安寧に

お過ごしくださいませ

 

お話に

またおつきあいくださいね

 

 

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