日本にいても同じだが、仕事の出先で、昼食時になってしまうことがある。
すると、韓国では出前が来る。いや、黙って出してくれる。まあ、相手によってはこちらの好みを聞いてくれるが、これがあまりどこで食べても差のないものが供される。
それが実に不思議な料理だ。
日本も韓国も主食は米だ。あ、中国もそうだ。東南アジアもインドもそうだ。米の種類、炊き方はもちろん異なるが、韓国はほぼ日本とおなじだ。やや柔らかいか。
韓国でのデリバリーランチは、丸いプラスティックの容器にご飯があり、その上に韓国料理が盛られている。
とろみのない中華丼のような外観だ。焼き肉だったり、キムチだったり、ナムルだったりがすべてご飯の上に乗っかっている。
食べてみるとこれがいい。
ビビンバ、ピピンパという料理があるが、pa はご飯のこと。日本語でも残飯ザンパン というように、ご飯のことだ。
ビビンはマゼマゼという意味。だからビビンパはマゼマゼご飯という意味になる。
ご飯の上に、肉やら、いろいろなナムルやら、キムチなどがのっているやつだ。
あの上にのっているおかずはなんでもいい。
それが、コリアンボックスランチになる。
これがいい。
もちろん、店によったり、日によってトッピングは違うのだろうが、飽きないのだ。
韓国の屋内ランチボックス。あれは日本に導入したらどうだろうか。
このボックスの捨て方が面白い。
海外の、日本人街ではない所にお住まいの経験のある方はわかると思うが、ゴミの捨て方が国によって全く違う。
治安が悪かったり、日本人の数が多かったりする海外では、日本人地域ができる。コンセントの形状も、電圧も日本と同じになっていたり、日本人向けのスーパーがあったりする。住んでさして不便はない。
そういうところに住んでいると日本と全てが同じで、海外居住の大変さを聞いても役に立たない。海外の家庭用電源の電圧さえ知らずに過ごす人もいる。電気炊飯器がそのまま使えるところもある。
ゴミ捨ても日本人村でやってくれるのだろう。
韓国でのごみは、道路に置いておくと誰かが持っていく。夜中に酔っ払って帰宅する途中に「誰か」と真っ暗闇の中で遭遇する。
ランチボックスで使ったプラスチックの皿とか匙とか、クリーニングでついてきた衣紋掛けとか、割れてしまったお皿とか。まあ誰でも捨てるようなものなんでも、を持っていってくれる。日本に昔あった、バタ屋などと呼ばれた業種がまだある。
この施設、昔の日本を知る人は感動するはずだ。街中のどこかに、ゴミが山になっており、そのゴミを仕分けしている人がいる。今の日本では、分別ゴミといって消費者がゴミをいつかの種類に分けて捨てる。昔の日本では、生ゴミは掘って捨て、紙類や、木材、金属類はゴミ専門の業者が買っていったのではなかろうか。あるいは街を歩いて拾っていたのか。
その仕組みは不明だが、うまくそれなりのリサイクルがなされていたのだろう。
江戸時代にも「塵溜め」と言うものがあった。これも糞尿と同じく肥料として江戸近郊の農家が持っていった。
紙はやはり紙ゴミを集める業者がいて、色々再利用された。最後に再利用不能となった紙は便所の紙にした。この紙漉き屋が浅草に多くあったので浅草紙と呼ばれた。落とし紙ともいう。
江戸も、韓国も、今の日本もさして変化はしていないのではなかろうか。