今日は『ずっとあなたを愛してる』と『カティンの森』を鑑賞しました。
『ずっとあなたを愛してる』はフランス映画で、『カティンの森』はポーランド映画でした。
『ずっとあなたを愛してる』のテーマは《愛と再生》で、人間の心の深淵、孤独と誰しもが持つ心の傷、そこに差し込む光・・・・・・。15年の刑期を終えたひとりの女性が再生していく姿を描いていました。文学で言いますと、純文学の分野の映画だと思います。村上春樹の『ノルウェイの森』、宮本輝『青が散る』、吉本ばなな『キッチン』などは、通過儀礼などを通して人間の心の再生、そしてベクトルがあり個の出発があります。そういう内容のある映画だと感じました。
『カティンの森』のテーマは、こちらは《真実》です。この映画はアンジェイ・ワンダ監督の積年の思いがつまった鎮魂のような作品でした。第二次世界対戦下、ドイツとソ連は不可侵条約を結んでいましたが、お互いポーランドに侵攻しました。1940年春、ポーランド人将校約15000人が行方不明になりました。そして1943年、カティンで数千人の遺体が発見され、事件が明らかになりました。ドイツはボルシェビキ・ソ連の仕業とし、ソ連はそれを否定しナチス・ドイツによる犯罪だと発表しました。戦後ソ連の衛星国となったポーランドは、長らく「カティンの森」事件について語ることは厳しく禁じられていました。後にロシアのエリツィン大統領は、スターリンが直接署名した命令書によって行われたことを言明しました。
戦争はお互いに正義を掲げています。しかし、その正義とはいったい何なのでしょうか?封印されていた歴史が、歴史の真実が明かされ、それが映像化され映画史に刻まれる作品だと思いました。歴史は死者は語ることができないので、勝者によってばかり語られてきていますが・・・・・・。残された者、残された物が語るもの、それも大切なことだと思います。遠藤周作が書いた『海と毒薬』、キリスト教徒としての視点でかなり創作的に描かれていると言われていますが、こういう小説の存在も忘れてはならないような気がしました。
以前、ある詩誌に発表した「土のなか」という詩を掲載します。ご笑覧ください。
土のなか
母が裏庭に
チューリップの球根を植えた
私は右の庭の
水仙の球根を植え替える
上からそっと土をかぶせた
二、三日もすると
どこに植えたのか
痕跡がなくなってしまった
そういえば小学生の頃
友だちと埋めた
タイムカプセルは
どこだったかしら?
もうわからない
「そうわからない
地雷を埋めた場所もね」
人は大地に
いろいろなものを埋める
生命を埋める人
過去を埋める人
希望を埋める人
未来へ埋める人
そして痛みや死を埋める人
「埋めてしまえば
もうわからない」
花の種も秘密の手紙も
人も核廃棄物も……
何年も前に植えた
貝母百合が笑うように
今年は咲いている
今日も最後までご覧くださり、ありがとうございます!!
(≡^∇^≡)