<あらすじ>

郊外に建つ古い借家。植物が鬱蒼と生い茂るこの家には、人生に行き詰まり、逃げてきた人ばかりが住み着く。年上の常連客との不倫の果て、駆け落ちした飲み屋の雇われママ。信者の死体を遺棄した罪で、公安に追われる新興宗教の元教祖。――安息を手に入れたはずの住人たちはやがて、奥底に沈む自身の心の澱を覗き込むことになる。傷ついた人々が、再び自分の足で歩きだすまでを描く連作短編集。

(裏表紙より)

 

 

<感想>

初読み作家さんだけど、読みやすかった。なんだか文学的な作品な感じがした。
傷つきながらも庭のあるこの家で一時的に安息を得て、再び旅立つ。どれも重い話のようで最後は希望が見えるのが良かった。特に最後の話は読んでいて辛くなった。この追い詰められる感じがリアル。でも逃げることは間違ってないし、そのことをこの家が受け入れてくれる。そんな優しさもある物語だった。

ただ気持ちが塞がっている時に読むと少し落ち込んでしまうかも。