からくり細工を生業とする墨縄一族の跡取り娘である18歳の少女。
しかも、この紫「石川五ェ門の婚約者」という、全五ェ門ファンが羨ましがる(それを通り越して嫉妬する)くらいの美味しすぎるポジションを持っている。五ェ門夢女子の皆さん激おこ案件
作中では、ルパンから借りパクした赤ジャケット+セーターという服装の他にも、
紺のセーラー服
といった服装を見せている。
作中では、飛騨の山奥で五右ェ門と結納を交わしていたが、その最中に風魔一族が現れ、壺の身代わりとして攫われた為に結納が中止に。
その後、五右ェ門達によって壺と交換という形で救出され、五右ェ門に同行するが、墨縄一族の財宝が眠る洞窟において、盗賊撃退の為に仕掛けられた幻覚ガスを五右ェ門が吸ってしまい、敵と味方の区別ができなくなって暴走。
気が動転した紫は、ルパンの静止も聞かずに五右ェ門を止めようと突っ走って目の前に立ち塞がり、そのまま腕を斬られてしまう。
紫を怪我を負わせたことで正気に戻った五右ェ門は、「自分が未熟だったから紫殿に怪我をさせた」と痛感し、風魔との戦いが終わった後、修行の旅に出ることを決意。
以上が「風魔一族の陰謀」のストーリーにして、作中における紫の結末である。
しかし、この紫、「石川五ェ門の婚約者」という設定を持っていながら、その後の作品で1度も再登場していません。
五ェ門の婚約設定についても、風魔以降の作品で特に何も言及されておらず、紫の存在をほのめかすような言動もありません。
では、再登場はできるのでしょうか?
私の考えを先に話しますと、「墨縄紫の再登場は不可能に近いレベルで難しい」と思います。
何故私がそう思ったのか、その理由を述べましょう。
①今後の作品を作る上で「石川五ェ門の婚約者」という設定が邪魔になって作品のネタが少なくなる
「バイバイ・リバティー・危機一発!」や「燃えよ斬鉄剣」などの作品は、「五ェ門がゲストヒロインに恋をする」内容が描かれています。
これは、紫の存在を排除した上で描かれていると思われます。
「五ェ門に婚約者がいる」という前提で作品を作るとなると、五ェ門に関するネタの範囲が狭まってしまいます。
それは、「女性に対してシャイな性格」という五ェ門の個性を奪いかねません。
特に、五ェ門が主役の作品なら尚更です。
その為、紫は排除せざるを得ないのでしょう。
一応、風魔でも、紫に対してシャイな五右ェ門は描かれていますが、赤面する程のタジタジ具合ではありません。
なお、紫の存在で五ェ門が「浮気者」呼ばわりされる原因となっています。正直不快・・・
②仮に紫がルパン一味に入っても、紫の役割がない
もし「風魔」が成功していたら、紫が新たなレギュラーキャラとして今後の作品にも登場していた可能性もあったかもしれません。
大好きな五ェ門と共にルパン一味として・・・という展開もあった可能性もありますが、一般人である紫がルパン一味に入った所で、役割が見つかりません。
ブレイン(謎解き担当)であるルパンを筆頭に、早撃ちのプロである次元大介、居合いの達人である石川五ェ門、色仕掛け&情報提供担当にして格闘戦もこなせる紅一点峰不二子。
もうこれだけでルパン一味は1つのチームとしてバランスが取れています。
お色気担当と情報提供は不二子で事足りるし、紫は五ェ門のような高い身体能力を持っている訳でもありません。
「紫ちゃん、五ェ門を助ける時にボーガン使ってたじゃん。弓矢関連の担当になれるよ!」
という声もあるかもですが、残念ながら弓矢関係も、五ェ門がいるので間に合っています。
というかまず、狙撃自体、次元の役目だし。
そもそも、紫自体、裏社会と深く関わっている存在じゃないし、紫がルパン一味に入ったら、足でまとい確定です。
また、五ェ門が紫を気にしすぎるあまり、ルパン達とギクシャクしてルパン一味が崩壊する恐れも考えられます・・・
さらに、ルパン達は自身の命が危険になった時は、躊躇うことなく刺客達を殺害します。
果たして、殺人とは無縁な生活を送ってきた紫がそんなことできるでしょうか?
仮に、殺害したとして、「自分は人を殺害した」ということに耐えられるのでしょうか?
例え、明るい性格の紫でも、できない可能性が高いです。
③「風魔一族の陰謀」の制作に日本テレビが関わっていない
あまり知られていない、もしくは忘れられていると思いますが、「風魔一族の陰謀」はルパン作品の中で唯一日本テレビが制作に関わっていない「ルパン三世」なのです。
その為、日本テレビが作るルパン作品の年表に、「風魔一族の陰謀」は入っていません。
また、「バイバイ・リバティー・危機一発!」以降の作品で、紫の存在が示唆されている場面や台詞もなく、紫との婚約関係や「風魔」での出来事はなかったこと、もしくはパラレルワールドとなっています。
さらに、同じく日本テレビ系列のアニメである「名探偵コナン」とのクロスオーバー作品「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」にて、「バビロンの黄金伝説」のロゼッタおばあさん、「くたばれ!ノストラダムス」のジュリア・ダグラス、1st 13話などに登場した魔毛狂介(ビジュアルは「霧のエリューシヴ」のもの)がカメオ出演(セリフなしの出演)する中、舞台は日本だというのに、紫のカメオ出演はありませんでした。
日本テレビ系列である金曜ロードショーで「風魔」が放送されないのも、制作に関わっていないことが原因でしょう。
つまり、「日本テレビ側に、墨縄紫というキャラクターの著作権はない」と考えられます。
④紫の存在そのものがルパン三世シリーズを終わらせかねない
さらに、ルパン達は、表向きには死亡したことになっており、次元に至っては裏社会とは関わらずに飛騨で穏やかに暮らそうとまで考えていました。
それはつまり、これから4人が集まる機会はないということ。
「ルパン一味が表立って泥棒することは今後ない」という、ルパン三世シリーズを強制的に終わらせようとしか思えない描き方をしているのです。
その為、「墨縄紫はルパン三世シリーズを終わらせる為に制作されたキャラクター」としか考えられません。
最終的には、五右ェ門が修行の旅に出たことで結納は延期となりましたが、仮に今後の作品で紫が再登場する時は、「ルパン一味の終わり」及び「ルパン三世シリーズの終わり」を意味する事になってしまいます。
監修の大塚康生さんとキャラクターデザイン&作画総監督の友永和秀さんはこのラストシーンに付いて、「五右衛門を(紫と)結婚させて赤ン坊を背負っているのを出すと、シリーズそのものが終わってしまう」「終わらせ方が難しかった」と語っています。
制作側は、今後もルパン三世シリーズを続ける為に、紫を再登場させないのだろうと、私は考えています。
⑤担当声優事情
紫を担当したのは、「美味しんぼ」の栗田ゆう子や「ドラゴンボールシリーズ」のチチで知られていた荘真由美さん。
「タッチ」の上杉勝也などで知られる難波圭一さんの奥さんです。
紫を担当した時、荘真由美さんは22歳(推定)でした。
荘さんは「風魔一族の陰謀」公開後も活動されていましたが、1990年末から1991年初頭にかけて、出産の為に持ち役を降板し、1992年には1度引退しています。
5年後の1997年に復帰しましたが、その際には声質が変化した為、母親役などの大人の女性役が多くなりました。
復帰後の主な担当キャラは、「おジャ魔女どれみシリーズ」のマジョルカ、マジョミラー、「ふたりはプリキュア」及び「ふたりはプリキュアMaxHeart」の美墨理恵(なぎさの母親)などです。
復帰してからは、2007年頃まで活動していました。
その後、声優事務所「ケッケコーポレーション」の取締役となり、声優業を完全に引退されました。
現在は、若手の声優さんの育成に力を入れているそうです。
上述した2点から「荘真由美さんによる墨縄紫」をもう1度聞くことは不可能に近いです。
仮に紫が再登場できても、確実に声は変更になります。
しかし、「荘真由美さん以外の紫ちゃんは認めない!」という意見も多数出てくるでしょう。
それこそ、公開当初の「風魔一族の陰謀」が「どうしてルパン達の声が山田康雄さん達じゃないんだ!」と批判されたように・・・
以上の事から、紫が再登場するのは"不可能に近いレベルで難しい"と考えられます。
カメオ出演も厳しいでしょう。
紫が原作に逆輸入されれば、紫の再登場もあったかもしれませんが、「ルパン三世」自体、逆輸入が全くないといってもいい作品です。
ましてや、原作者のモンキー・パンチ先生が故人となられてしまった為、紫の原作登場は尚更不可能となっています。
そもそも、モンキー・パンチ先生が紫の五ェ門の婚約者という設定を認めていたかどうかも不明です。
「紫の再登場は無理だから諦めろ」とまでは言いませんが、「紫の再登場は難しい」のが現状です。
もしかすると、公式で出禁扱いとなっているのかも・・・?
今後も、再登場は期待しない方がいいのかもしれません。