以前、世界の屋根の中腹まで一緒に散歩した仲間と、
「5年後に富士山登ろうぜ!」
なんて、熱い約束と握手を交わしていたんだけど、
そんな5年後の2008年の夏。
俺は鹿児島の与論島でブルーシールを食べながら釣りをしていた。
子供が産まれたのでお流れなのである。
だから、海にいるのである。
そして、1年後の2009年夏。
子供も大きくなり、俺が背負えば行ける!
・・・
と、思いきや、
こんなご時勢なのに、第二子懐妊。
さすがに嫁も一緒に背負うのは無理なので、
嫁は娘とお留守番。
隠岐の高校教師 30歳
スチールカメラマンのアシスタント 26歳
の2人と俺。
男だらけの山登りです。
レンタカーで河口湖まで快適なドライヴィングだが、
東京出発が遅れたので、登山口までのバスを逃す。
ハイエナのように暗闇で目を光らせるタクシー。
「すいませーん、五合目までいくらですか?」
「有料道路の料金と合わせて13000くらいかな。さぁ乗って」
・・・
白タクじゃないし、
ここまで来て引き返すわけにもいかないし、
3人いるからシェアすればいいけど、
でも、高くない?
・・・
「お願いします。さぁ行こう」
唯一、公務員のアンドさんが、頼もしいジャッジ。
5年前は、みんな国際的に住所不定で
長期的に無職だったのに、5年の歳月ってやつは長いもんだ。
なんて、感慨に浸っていたら、登山口に到着。
・・・なんて短い距離じゃないのよね。
40分くらい走った。 そりゃ高いはずだわ。
雨の予報を蹴散らし、強行登山開始。
以前、ネパールの山奥で、
雨季の豪雨、
増水した川、
襲い掛かるヒル、
という三重苦で遭難しかけたので、
強行ながらも慎重な山登り。
カネは掛けても命は掛けまい!
自慢じゃないが、俺はアウトドア人間である。
しかし、スポーツマンではない。
野球もサッカーもオリンピックも見ない。
格闘技も相撲も見ない。
もちろん自分でもやらない。
興味がゼロに近いのである。
なぜかと自己分析すると、
他者に対する興味が薄いため、応援する気がないんだと思う。
っていうか、なぜみんな我が事のように、
勝った負けたで喜べるんだと、昔から不思議でした。
日本代表は他者じゃなくて、日本の代表なんだから応援しろ!
なんていわれそうだけど、
サミットやG8で応援してる人なんて見たことないので、
スポーツの場合だけ右寄りになる愚民には言われたくないのであるが、
今回はそんな愚民の国の象徴を足蹴にしてきたわけであります。
ネパールの山岳民族シャルパ族は、
ゴムサンダルで富士山より高いところを歩き回り、
そこでバレーボールやサッカーを楽しむという天才なんだが、
例えばエベレストやアンナプルナは神様の棲家だから、
頂上に立つことは神に対する冒涜だと言って、
苦労して登っても、ニュースに載るのは、白人や東亜人ばかりなわけです。
信心の浅い国の象徴は、
ゴミのせいで世界遺産になれなかったそうだけど、
自然遺産じゃなくて、文化遺産で登録すればいいぢゃん。
ヒロシマ、アウシュビッツに倣って、負の遺産でね。
なんでユネスコがそんなにありがたいのか分からないが、
『世界遺産』の4文字で人が集まるなら、観光で外貨を稼ごう!
河口湖近隣の寂れ方はヒドかったぞ。
なぜ、こんなにも自分で苦労して登ってきた山に関して
悪態をつくのかというと、
富士山は
見て楽しむものである!
シロートが偉そうな事を言う気はないけど、
①活火山のため、樹木が無く景観が悪い
②完全な円錐型なので単調な道のり
③周囲の山と高さが明らかに違うので、他の山を眺める楽しみがない
④(俺のような)にわかハイカーが多くマナーが最悪
エトセトラ エトセトラ
ということですが、
山に登ること自体は楽しくなくても、
そこから見える朝日は格別だったりします。
高度があるので、青空が蒼空ですな。
雲と雲のサンドイッチ
合掌。
雨の予報に耳を貸さずに登ってきただけに、
他のお客さんが少なかったのが良かった。
俺はナイーブな人間なので、
どんなに素晴らしいものでも、くだらない人間の隣で見ると
ちっとも楽しくなくなってしまうので、
大声で万歳三唱するような学生や、
Yhaaa! とシャウトする白人とか、
ところ構わずゴミと痰を撒き散らす支那人とか、
「カンパ~イ」なんて声が聞こえなかったのがよかったのであります。
ようするに、僕は人間嫌いなわけですね。
・・・
寂しい響きですが、その通りであります。
・・・
まぁ、いいや。
友達と呼べる人間も10人くらいだしね。
でも、そんな少ない友達との約束を果たせたことが満足であり、
富士山の頂上に立つのが目的ではなかったんです。
富士山は誰もが知っているとおり、
日本一の山ですが、
標高以外にも日本一を発見しました。
これこれ。
ダイドーです。
DIE DO DEATH!
四百圓也!
「つめたい」っていうのは、飲料の温度なのか、
値段設定した人の心なのかはわかりませんが、
侘び寂びです。