HaruCollabo日和 | 五感で整える睡眠とからだ

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ヘルスコーチ・薬剤師・整体師・ガーデナーとして、睡眠、食事、運動、香りを通じてからだとこころのリズムを取り戻すためのヒントをお届けします

 

海からと、大地の奥から——わたしのミネラルとの付き合い方

 

地球が何億年もかけて作り出したものを、ちゃんと理解して体に還す。

 

それがわたしの考える、ミネラルとの付き合い方です。

 

ミネラルって、意識していますか?

 

カルシウムや鉄は耳にする機会が多いけれど、体に必要なミネラルは実は70種類以上。

 

そのどれが、どんな形で、どこから届くか——そこまで考えることって、意外と少ないかもしれません。

 

わたし自身、薬剤師としての知識がありながらも、長いあいだ「天然塩や海藻から摂っておけば大丈夫」と思っていました。

でも実際に体で試して、学びを重ねるなかで、少しずつ考え方が変わってきました。

 

今日はそのお話を。

 

天然塩という、豊かな恵み

 

天然塩は海の恵みそのもの。

 

にがり成分としてマグネシウムやカリウムが含まれ、精製塩とは全く異なる複雑な味わいと栄養を持っています。

 

わが家の台所では今も天然塩が主役です。

 

味噌を仕込むとき、ぬか床に加えるとき、塩麹や醤油麹をつくるとき——発酵の世界では塩の質がそのままものの味になる。

 

だから天然塩へのこだわりは、これからも変わりません。

 

料理における天然塩の役割は、ミネラルの「量」だけではなく、素材を活かす・発酵を助ける・食文化をつなぐ、という広い意味があると思っています。

 

気づいたこと——ミネラル補給の手段としての限界

 

ただ、「ミネラルを補給する」という目的だけで天然塩に頼ろうとすると、少し事情が変わってきます。

 

必要な微量ミネラルの量に達しようとすると、どうしてもナトリウムを先に摂りすぎてしまう。

 

また、無機塩型のミネラルは体内で使われなかった分を腎臓が濾過・排泄しなければならず、積み重なると腎臓への負担になることも。

 

薬剤師として、これは正直に伝えておきたいことです。

 

海藻(昆布・ひじき)も素晴らしいミネラル源ですが、毎日必要量を食べ続けるのはなかなか難しい。

 

そんなことを考えているうちに、別のルートを探しはじめました。

 

 

大地の奥から——ヒューミックシェールとの出会い

 

辿り着いたのが、ヒューミックシェール(腐植頁岩)由来のミネラルです。

 

数千万年分の植物や微生物が地層のなかで分解・凝縮されてできたもので、フルボ酸という有機物にミネラルが包まれた状態になっています。

 

この「有機キレート型」という形態が、細胞に届きやすいと言われる理由。

 

無機塩型と比べて、体内での利用率が高く、余剰が出にくい構造なのです。

 

実際に取り入れてみて、わたし自身に大きな変化がありました。

 

以前は体調を整えるために漢方薬を飲むこともあったのですが、その頻度が激減したのです。

 

劇的な何かが起きたわけではなく、静かに、じわじわと——体の土台が整っていくような感覚。

 

それがわたしにとって一番の実感です。

 

海と大地、それぞれの役割

 

今のわたしにとって、天然塩とヒューミックシェールは「どちらが正しい」ではなく、得意なことが違う存在です。

 

天然塩は料理・発酵・食の豊かさへ。

 

ヒューミックシェールは細胞レベルのミネラル補給へ。

 

海の恵みと、大地の奥に眠っていた恵みを、それぞれの場所で活かす——そんな付き合い方が、今のわたしには一番しっくりきています。

 

ミネラルは「摂ればいい」ではなく、「どんな形で、どこへ届くか」まで考えると、セルフケアがもう一段深くなると思います。

 

選ぶときに確認してほしいこと

 

市場には様々なフルボ酸ミネラル製品が出回っていますが、正直、品質にはかなりばらつきがあります。わたしが選ぶ際に確認していることは——

 

フルボ酸の含有量が数値で明記されているか。酸ではなく水で抽出されているか。

 

重金属検査の結果が開示されているか。産地と製造工程が透明かどうか。

 

 

「自然由来だから安心」というだけでは、判断材料になりません。

 

地球の恵みだからこそ、きちんと見極めて選んでほしいと思っています。

 

ひとつの参考になれば嬉しいです。

 

💬 どの製品を選べばいいか迷っている方は、LINEでお気軽にご相談ください。あなたの生活スタイルに合ったものを一緒に考えます。

 

ヘルスコーチ・薬剤師・整体師・整体サロンHaruCollaboの西本春子です。

 

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🌸 梅干しという奇跡――何千年もの知恵が、一粒に宿っている

塩シリーズをここまで書き続けてきて、最後にどうしても外せない存在がありました。

梅干し。

 

 

味噌・醤油・ぬか漬け・塩麹……

 

どれも素晴らしい発酵食品ですが、梅干しにはそれらとは少し異なる、特別な存在感があります。

 

酸っぱくて、しょっぱくて、ひと粒でご飯が進む。

 

疲れたときにふと食べたくなる。旅のお供に、お弁当の隅に、風邪をひいたときの枕元に。

 

梅干しは日本人の暮らしの中で、何百年もの間、そっと寄り添い続けてきました。

 

今回はその奥深い世界を、歴史・科学・東洋医学・手作りの知恵という4つの視点からたっぷりと紐解いていきます。

 

 

梅干しの歴史――平安の貴族から戦国武将まで

 

梅そのものの歴史は古く、中国から日本に伝わったのは奈良時代以前とされています。

 

当初は薬として用いられており、「烏梅(うばい)」と呼ばれる燻製にした梅が漢方薬として重宝されていました。

 

梅干しとして本格的に記録に登場するのは平安時代。

 

村上天皇が梅干しと昆布茶で病を癒したという逸話が残っており、この時代にはすでに薬効のある食べものとして宮中でも重んじられていたことがわかります。

 

鎌倉・室町時代になると武士の間にも広まり、戦国時代には梅干しは兵糧・薬・消毒薬という三役を担う戦場の必需品となりました。

 

傷口に梅干しを当てて殺菌し、梅酢で水を消毒し、疲弊した兵士の食欲を呼び覚ます。

 

梅干しなくして戦は語れないとまで言われるほど、戦国武将たちに重宝されていたのです。

 

江戸時代には庶民の食卓にも広まり、「弁当の梅干し一粒が食中毒を防ぐ」という知恵が全国に定着しました。

 

日の丸弁当――白いご飯の中央に梅干しをひとつ置くだけのシンプルな弁当は、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた、日本文化の粋そのものです。

 

明治・大正・昭和と時代が変わっても、梅干しは日本人の食卓から消えることなく、家庭の台所で毎年仕込まれ続けてきました。

 

何十年も梅仕事を続けてこられた方々が今もいらっしゃるのは、この長い歴史の流れの中にある、ごく自然なことなのです。


塩が梅を変容させるしくみ――梅酢という奇跡の副産物

梅干しの製造は本質的にとてもシンプルです。

 

梅に塩をまぶし、重しをして漬け込む。

 

たったこれだけで、あの複雑な味わいと驚くべき保存性が生まれます。

 

塩を加えると浸透圧の作用で梅の細胞から水分が引き出され、容器の底に美しい琥珀色の液体が溜まってきます。

 

これが梅酢です。

 

梅酢はただの「梅から出た水」ではありません。

 

梅のクエン酸・リンゴ酸・コハク酸などの有機酸、ポリフェノール、そしてミネラルが凝縮した、まさに液体の宝石です。

 

強い酸性と塩分を持つ梅酢は殺菌力が高く、料理の調味料として、野菜の即席漬けとして、うがい薬として、さらには皮膚のケアにも使われてきました。

 

 

梅を漬けることで梅干しが生まれ、その過程で梅酢が生まれる。

 

ひとつの素材から余すことなく恵みを引き出す、まさに「何も無駄にしない」日本文化の象徴がここにもあります。

 

さらに赤しそを加えることで、梅酢は鮮やかな赤紫色に変化します。

 

この赤梅酢はさらに風味豊かで、紅しょうがを漬けたり、ドレッシングに使ったり、活用の幅が広がります。


赤しその役割――色だけじゃない、相乗効果の知恵

赤しそは梅干し仕込みの途中で加える脇役ですが、その役割は見た目の色づけにとどまりません。

 

赤しそに含まれる**ロズマリン酸・シソニン(アントシアニン)**などのポリフェノールは、強い抗酸化作用を持ちます。

 

梅のクエン酸と赤しそのポリフェノールが合わさることで、梅干しの抗菌・抗酸化効果がさらに高まると考えられています。

 

また赤しそ自体も、東洋医学では「紫蘇(しそ)」として古くから薬草として使われてきました。

 

気を巡らせ、胃腸を整え、魚介の毒を消すとされ、刺身に添えられるのも単なる飾りではなく、食の安全を守るための知恵です。

 

梅と塩と赤しその三位一体。それぞれが単独でも優れた素材でありながら、組み合わさることでさらに強い力を発揮する。

 

これもまた、日本の発酵食文化の深い知恵といえるでしょう。


健康・養生としての梅干し――現代科学と東洋医学の両視点から

梅干しの健康効果は古くから経験的に知られてきましたが、現代科学もその多くを裏づけています。

 

クエン酸の力

 

梅干しといえばまず思い浮かるのがクエン酸です。

 

クエン酸はエネルギー代謝(TCAサイクル)に深く関わり、糖質・脂質をエネルギーに変換する過程を促進します。

 

運動後の筋肉疲労の原因となる乳酸の蓄積を抑える働きがあるとされ、疲労回復食としての梅干しの評判は科学的にも理にかなっています。

 

また梅干しはアルカリ性食品です。

 

現代の食生活では肉・加工食品・砂糖などの酸性食品に偏りがちで、体内の酸塩基バランスが崩れやすくなります。

 

梅干しを日常的に摂ることで、体液のバランスを整える一助となります。

 

殺菌・抗菌作用

 

梅に含まれる梅リグナン・クエン酸・カテキン酸などは、食中毒菌(O-157・黄色ブドウ球菌など)に対する抗菌作用が研究で確認されています。

 

お弁当に梅干しを入れる日本の知恵は、冷蔵庫のない時代に先人が経験から積み上げてきた、科学的に正しい食の知恵だったのです。

 

東洋医学からの視点

 

東洋医学では梅は「酸味」に分類され、五行の「木」・肝(かん)と対応します。酸味は「収斂(しゅうれん)」――引き締め・まとめる作用があるとされ、汗のかきすぎを抑え、気を引き締め、消化液の分泌を促します。

 

また梅干しは「三毒を断つ」という言葉が古くから伝わっています。

 

水の毒・食の毒・血の毒を断つとされ、体の解毒・浄化を助ける食品として位置づけられてきました。

 

「一日一粒」という知恵

 

江戸時代から伝わる「梅干し一日一粒で医者いらず」という言葉は、決して大げさではありません。

 

ただし現代において注意したいのは「塩分」の問題。

 

伝統的な梅干しの塩分濃度は18〜20%と高めですが、だからこそ何十年も保存できる保存食たりえるのです。

 

一日一粒という量は、この塩分量を考慮した上での先人の知恵。

 

一粒を丁寧に味わうことが、梅干しとの正しい付き合い方です。


市販の梅干し、ラベルを見てみましょう

スーパーの梅干し売り場に並ぶ商品を見ると、「はちみつ梅」「かつお梅」「減塩梅」など、バラエティ豊かな商品が目に入ります。

 

価格の差も大きく、同じ容量でも数百円から数千円まで幅があります。

 

原材料欄を確認してみてください。

 

本来の梅干しの原料は「梅・塩(・赤しそ)」のみ。

 

ところが市販の多くの梅干しには、様々なものが加えられています。

 

**調味料(アミノ酸等)**は旨みを人工的に補うもの。**甘味料(ステビア・アセスルファムKなど)**は減塩によって失われた味のバランスを補うために加えられます。

 

**着色料(赤102号など)**は色を鮮やかに見せるため。

 

**漂白剤(次亜硫酸Na)**が使われているものもあります。

 

さらに注目したいのが製造工程です。

 

多くの市販の調味梅干しは、一度塩漬けにした梅を脱塩してから砂糖・調味料に漬け直すという工程を経ています。

 

つまり塩漬け発酵の工程で生まれるはずのクエン酸や有機酸の多くが、脱塩の過程で失われてしまうのです。

 

見た目は梅干しでも、発酵食品としての力はほとんど残っていないものも少なくありません。

 

本物の梅干しを選ぶ基準は明快です。

 

原材料が「梅・塩」または「梅・塩・赤しそ」のみのもの。

 

塩分濃度が15%以上のもの(減塩梅干しは保存性と発酵力が低下します)。

 

「天然醸造」「昔ながらの製法」という表示があるもの。

 

価格は高くなりますが、一粒の力が段違いです。


手作り梅干しのすすめ――仕込みから土用干しまで

「梅干しは難しそう」と思っている方も多いかもしれませんが、基本の工程はとてもシンプルです。

 

何十年も作り続けてきた方が今もいらっしゃるのは、それだけ手作りに値する喜びと豊かさがあるからにほかなりません。

自分や家族の健康を守る頼もしい梅干しがなかなか手に入らない方はぜひとも手作りにチャレンジしてみてください。

 

【基本の材料(梅1kgの場合)】

  • 完熟梅 1kg
  • 天然塩 180g(梅の重量の18%)
  • 赤しそ 100〜150g(梅が漬かってから追加)
  • 焼酎(35度) 少量(消毒用)

【仕込みの流れ】

6月上旬〜中旬・梅の下処理

 

完熟した黄色い梅を選びます。

 

青い梅は追熟させてから使いましょう。

 

やさしく水洗いし、竹串でへたを取り除きます。

 

水気をしっかり拭き取ることがカビ予防の大切なポイントです。

 

塩漬け

 

消毒した保存容器に梅と塩を交互に重ね、最後に残りの塩を上にかぶせます。

 

焼酎を全体にまわしかけてから、梅の重量の2倍程度の重しをのせます。

 

 

梅酢が上がるのを待つ

 

3〜7日で梅酢が梅全体を覆うほど上がってきます。

 

ここまでくれば一安心。梅酢が上がらない場合は重しを増やしてみてください。

 

6月下旬〜7月・赤しそを加える

 

赤しそは葉を摘み、塩でよく揉んでアクを絞り出します。

 

この作業を2回繰り返してから梅酢を少し加えて発色させ、容器の梅の上に加えます。

 

鮮やかな赤紫色に変わっていく様子は、梅仕事の醍醐味のひとつです。

 

7月下旬〜8月・土用干し

 

梅雨が明けた晴天の日が3日続くタイミングを狙って、ざるに梅を並べて天日干しにします。

 

昼は日光に当て、夜は夜露に当てる(または室内に取り込む)。

 

この土用干しによって余分な水分が飛び、皮がやわらかくなり、保存性が格段に高まります。

 

干し終えた梅は容器に戻して保存。時間とともにさらに味が深まっていきます。

 

 

【天然塩を使うことの大切さ】

 

梅干し作りにこそ、ミネラルを含む天然塩を選んでいただきたいと思います。

 

精製塩と天然塩では、梅から引き出される旨みの深さ、梅酢の色と風味に違いが出ます。

 

塩はシンプルな素材だからこそ、その質が最終的な味わいに大きく影響するのです。


おわりに――一粒の梅干しが語るもの

梅干しは、日本の食文化のすべてが凝縮された食品だと思います。

 

塩の力で素材を変容させ、時間をかけて発酵・熟成させる。

 

副産物の梅酢も赤しそも余すことなく活かし切る。

 

薬として、保存食として、ご飯の友として、何千年もの時を越えて人々の暮らしに寄り添ってきた。

熱が出て食欲がないときにも、梅干しのおかゆだけは食べられたという経験をされた方もいることでしょう。

 

現代の食卓では、手軽な調味梅干しに押されて本物の梅干しが少なくなっているのは少し寂しいことです。

 

でも、毎年梅が色づく季節に、丁寧に梅仕事をする人がいる。

 

その手から生まれた一粒が食卓に並ぶ。

 

それだけで、食卓はずっと豊かになります。

 

一粒の梅干しの中に、自然の恵みと先人の知恵と作る人の思いが宿っている。

 

そのことを感じながら、今日もご飯と一緒に味わっていただければと思います🌸


written by Haruko

 

ヘルスコーチ・薬剤師・整体師・整体サロンHaruCollaboの西本春子です。

 

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🌾 米・水・大豆・麦・塩――シンプルな素材が生む、発酵調味料の世界

米・水・大豆・麦・塩。

 

たったこれだけの素材から、醤油・味噌・塩麹・醤油麹・ぬか漬けと、まったく異なる風味の世界が生まれることを、あなたは意識したことがあるでしょうか。

 

色も香りも食感もまるで違う。

 

なのに、材料はほぼ同じ。

 

それを可能にしているのが「発酵」という、目には見えない微生物たちの働きです。

 

そしてもうひとつ、日本の発酵文化を支えてきた大切な思想があります。それは**「すべてを無駄にしない」**という精神です。

 

精米すれば米ぬかが生まれ、そのぬかで野菜を漬ける。

 

大豆を搾れば豆腐ができ、おからが生まれる。

 

酒を醸せば酒粕が生まれ、それもまた漬物や粕汁に活かされる。

 

日本の発酵文化は「捨てるものが何もない」という思想の上に、長い時間をかけて育まれてきたものです。

 

今回は発酵調味料たちを、素材・選び方・手作りという3つの視点から見つめ直しながら、その奥に流れる日本文化の美しさもご一緒に味わっていただければと思います。

 

 


発酵とは何か――微生物が素材を「進化」させる

発酵とは、微生物(麹菌・乳酸菌・酵母など)が食材の糖やたんぱく質を分解し、新たな成分を生み出すプロセスです。

 

この過程でアミノ酸・有機酸・ビタミン類・酵素などが生成され、素材そのものにはなかった旨み・香り・栄養が生まれます。

 

同じ大豆を原料にしても、麹の種類・塩の量・温度・時間・職人の手によって、味噌にも醤油にもなる。

 

同じ米が、塩麹にも酒にも酢にも変わる。そしてその過程で生まれた副産物もまた、別の発酵食品の素材として生まれ変わっていく。

 

発酵の多様性とは、微生物と人間が長い歴史をかけて育ててきた、奇跡のような知恵の集積なのです。


醤油――大豆と小麦が出会って生まれる旨みの結晶

醤油の原料は大豆・小麦・塩、そして麹菌と酵母。

 

これらが1〜2年かけてゆっくり発酵・熟成することで、300種類以上の香気成分と豊かな旨みが生まれるとされています。

 

醤油の種類と特徴を知ると、料理の幅が広がります。

 

もっとも一般的な濃口醤油はどんな料理にも使いやすいオールラウンダー。

 

薄口醤油は塩分がやや高めで色が淡く、素材の色を活かした料理に向きます。

 

たまり醤油は大豆の比率が高く、深いコクと濃厚な旨みが特徴で、刺身や照り焼きに◎。

 

白醤油は小麦主体で色が淡く、上品な甘みが京料理などに活用されています。

 

市販品を選ぶときのポイントは、まず原材料欄の確認です。

 

本来の醤油の原料は「大豆(または脱脂加工大豆)・小麦・食塩」の3つのみ。

 

「アミノ酸液」「カラメル色素」「甘味料」が加えられているものは、熟成期間を短縮して添加物で補ったものである可能性があります。

 

また脱脂加工大豆は丸大豆から油脂を取り除いた原料で、コストは下がりますが丸大豆醤油に比べて風味に差が出ることも。

 

「丸大豆」「天然醸造」「本醸造」の表示を目安にすると、より本来の醤油に近いものが手に入ります。


醤油麹――醤油をさらに「育てる」発酵食品

醤油麹とは、米麹を醤油に漬け込んで発酵させたもの。

 

麹の酵素が醤油の旨みをさらに引き出し、とろりとした食感とやわらかな甘みが生まれます。

 

作り方はとてもシンプルです。

 

米麹と醤油を1対1の割合で混ぜ、常温で1〜2週間、毎日かき混ぜながら発酵させるだけ。

 

麹が醤油を吸ってふっくらしてきたら完成のサインです。

 

使い方は万能で、刺身の漬け・肉や魚の下味・卵かけご飯のたれ・豆腐にのせるだけでも絶品。

 

通常の醤油より旨みと甘みが凝縮されているため、少量で深い味わいが出ます。

 

醤油の消費量が自然と減り、塩分コントロールにも役立つという嬉しい副産物もあります。


塩麹――塩を「発酵」させると何が変わるか

塩麹は米麹と塩と水を混ぜて発酵させたもの。

 

麹菌が生み出すプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)やアミラーゼ(でんぷん分解酵素)の働きで、食材をやわらかくし旨みを引き出す力があります。

 

単なる「塩の代わり」ではなく、塩麹は食材を内側から変容させる調味料です。

 

鶏肉を塩麹に漬けて焼くと、酵素の働きでたんぱく質が分解され、格段にやわらかくジューシーに仕上がります。

 

野菜に塩麹をまぶせば、浅漬けとはまた違う、まろやかな旨みのある一品が生まれます。

 

手作りの基本は、米麹100gに対して塩35g・水100mlを混ぜ、常温で1〜2週間発酵させるだけ。

 

毎日一度かき混ぜることで均一に発酵が進みます。

 

麹の粒がとろっとなじんできたら完成です。冷蔵庫で3ヶ月ほど保存できます。

 

市販の塩麹を選ぶ際は、原材料が「米麹・食塩・水」のみのものを。

 

アルコールや調味料が加えられているものは発酵が止まっている可能性があります。


ぬか漬け――精米の恵みを余すことなく活かす知恵

ぬか漬けは、玄米を精米する際に生まれる米ぬか・塩・水で作ったぬか床に野菜を漬ける、日本古来の発酵食品です。

ここに、日本文化の「もったいない」精神の真骨頂があります。

 

白米を得るために削り取られた米ぬかは、かつて「精米の副産物」として生まれたものです。

 

それをただ捨てるのではなく、塩と水と混ぜて発酵床とし、野菜を漬け込む食文化へと育てていった。

 

この発想の豊かさは、世界に誇れる日本の知恵だと思います。

 

ぬか床の中には乳酸菌・酵母・酢酸菌など多種多様な微生物が共存しており、野菜を漬けるたびに乳酸発酵が進み、独特の酸味と旨みが生まれます。

 

さらに米ぬかに豊富に含まれるビタミンB群が野菜に移行するため、ぬか漬けにした野菜は生の状態よりもビタミンB1が大幅に増加することが知られています。

 

疲労回復・神経系のサポートという観点からも、優れた養生食といえます。

 

ぬか床の始め方はシンプルです。

 

米ぬか1kgに対して塩130g・水1リットルを混ぜ、昆布・唐辛子・干し椎茸などを加えて捨て漬けを1〜2週間繰り返します。

 

毎日かき混ぜることで酸素を供給し、雑菌の繁殖を防ぎます。

 

慣れてくればぬか床は育っていき、年単位で使い続けることができます。

 

ぬか床は毎日手を入れることで、手の常在菌も加わり、その家ならではの「うちのぬか漬け」の味が育っていきます。

 

これも立派な、生きた発酵の醍醐味です。


味噌――大豆だけじゃない、ひよこ豆という選択肢

みそ汁の記事でも詳しくお伝えしましたが、味噌もまた米・大豆・麦・塩という素朴な素材から生まれる発酵食品の代表格です。

 

手前味噌という言葉があるように、自分で作る味噌には格別の愛着が生まれます。

 

材料を自分で選べるため、国産大豆・天然塩・こだわりの麹を組み合わせることで、市販品にはない「自分だけの味噌」ができあがります。

 

さらに一歩進んで、大豆をひよこ豆に変えてみるという選択肢もあります。

 

ひよこ豆は大豆に比べてクセが少なくマイルドな甘みがあり、初めて手作り味噌に挑戦する方にも取り組みやすい素材です。

大豆アレルギーのある方にとっても嬉しい代替品となり、食物繊維・鉄分・葉酸も豊富。発酵によって旨みが引き出されたひよこ豆の味噌は、大豆味噌とはまた異なる、やさしく豊かな風味を持っています。

 

「味噌は大豆で作るもの」という思い込みを手放すと、発酵の世界はさらに広がります。

 

素材を変えることで生まれる新しい味わいを探求することもまた、発酵の楽しさのひとつです。


おわりに――すべてを活かし切る、日本文化の美しさ

米を精米すれば米ぬかが生まれ、そのぬかで野菜を漬ける。

 

大豆を搾れば豆腐ができ、おからが生まれ、煮汁も出汁になる。

 

酒を醸せば酒粕が生まれ、それもまた漬物や粕汁に活かされる。

 

醤油を絞れば醤油粕が残り、味噌の熟成過程で生まれるものも余すことなく食卓へ届けられてきた。

 

日本の発酵文化を俯瞰してみると、そこには一貫したひとつの思想が流れていることに気づきます。

 

**「捨てるものは何もない」**という、自然への敬意と感謝の精神です。

 

素材を無駄にしない。

 

副産物もまた新たな命として活かす。

 

その積み重ねが、米・水・大豆・麦・塩というシンプルな素材から、これほどまでに豊かな発酵食品の世界を生み出してきたのだと思います。

 

市販品を上手に選びながら、気が向いたときに塩麹やぬか床を仕込んでみる。

 

慣れてきたら醤油麹や手作り味噌へと挑戦してみる。

 

ひよこ豆で味噌を作ってみる。

 

その一歩一歩が、食卓を豊かにし、体を内側から整えていく旅になります。

 

シンプルな素材の中に、無限の可能性が宿っている。

 

そして何ひとつ無駄にしないその姿勢の中に、私たちが受け継いでいきたい日本文化の美しさがある。

 

発酵調味料はそのことを、毎日の台所で静かに教えてくれています🌾


written by Haruko

ヘルスコーチ・薬剤師・整体師・整体サロンHaruCollaboの西本春子です。

 

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