「この世は不平等と思え」

 「自分だけの時計を持つ」

 劇団四季創設者の一人である演出家の浅利慶太の言葉だ。

 

 ドラゴンズには血行障害で手術まで踏み切った投手が3人いる。

 岡田俊哉投手が2017年に・・・

 藤嶋健人投手が2019年に・・・

 そして、鈴木翔太投手は2018年に・・・

 

 彼らは、さあ、これから!と言う時にアクシデントに見舞われた。

 岡田投手は、その年にはワールド・ベースボール・クラッシックの日本代表に選出されていた。

 藤嶋投手は、手術前には新人として3勝をマークし、さらなる飛躍が期待されていた。

 そして、鈴木翔太投手は2017年のシーズンには5勝を挙げた。ドラフト1位で入団し、期待をかけられながらも伸び悩み、そして、ようやく3シーズン目に手ごたえを感じ始めたところだった。

 

 そして、2019年・・・

 岡田投手は、シーズン後半には「守護神」として「抑え」を担う活躍をした。

 藤嶋投手は、術後の経過もよく、今シーズンでは「中継ぎ」を担い一時期は無失点のピッチングを継続して「0の男」とまで呼ばれた。

 

 「なのに俺は・・・」

 鈴木翔太投手の心中は・・・

 焦り・・・苛立ち・・・

 現時点で、まだ投球時に「指のかかり」がしっくりこないという。

 元々、鈴木翔太投手の課題は球速のアップとコントロールであり、この「かかり」の感触は重要だ。

 

 だからこそ言いたい・・・

 「この世は不平等と思え」

 「自分だけの時計を持つ」

 そう、今は自分だけの時を刻む時計を胸に調整してほしい・・・